軌跡が光の文字になるwordee™ 新しいアイデアが「Toshiba Startup」できらめく

2016/08/03 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • スタートアップとのオープンイノベーションで新製品を開発
  • 東芝初の海外のクラウドファンディング
  • 音声・映像活用クラウドサービス「RECAIUS™」とも連携
軌跡が光の文字になるwordee™ 新しいアイデアが「Toshiba Startup」できらめく

雪だるまのような不思議な形のデバイスをシートに滑らせると、光る文字列が次々に浮かび上がった。大人たちは息を呑んで見守り、子どもたちは我先にと手にして動かし始める――他に例を見ない斬新なアイデアがきらめきを放つ”光のお絵かきロボット”。それが「wordee™」だ。

裏面のLEDが明滅することで光の文字が蓄光シートに浮かび上がる。表示できる文字はひらがな、カタカナ、漢字にアルファベット、何でもOK。もちろん文字だけでなくイラストも自由に表示できる。東芝の音声・映像活用クラウドサービス「RECAIUS™」とも連携し、音声の読み上げまでカバーするのが驚きだ。この新感覚の”光のお絵かきロボット”はどのような発想から生まれたのだろうか。独創的なアイデアを具現化したプロジェクトリーダーに聞いてみよう。

メディアインテリジェンス商品推進部 衣斐秀輝氏
メディアインテリジェンス商品推進部 衣斐秀輝氏

「wordee™のベースになったのは、ローラーシューズの進んだ軌跡が光る文字になる『言葉の軌跡(Word Spur)』というアート作品です。ローラーシューズを履いて出社して怒られたりしていた私が、「軌跡が文字になったらカッコいいんじゃないか?」という思いから個人でハンドメイドした作品です。
その後、星野さんと共同でブラッシュアップを行ない、JellyWareの崔さんがかつて手がけたものづくりコンテスト『Gugen2013』や、第17回文化庁メディア芸術祭で受賞するなど、いろいろなアワードで評価されるようになってきました。そこで、このアイデアを社内の新規事業アイデア公募『Toshiba Startup』に応募することにしたのです」(衣斐氏)

リーンスタートアップ×クラウドファンディングで立ち上がるwordee™

左から、デザインセンター 星野泰漢氏、衣斐氏、JellyWare株式会社 代表取締役 崔 熙元氏

左から、デザインセンター 星野泰漢氏、衣斐氏、JellyWare株式会社 代表取締役 崔 熙元氏

衣斐氏が応募した「Toshiba Startup」は、新しいものづくりを奨励する社内スタートアップ制度だ。チームでの応募が前提になるため、衣斐氏はデザインセンターの星野氏を招聘。共同で試作を進めていった。

 

「試作品でデモ出展をしてみたところ、子どもの反応が非常に良かった。光る文字のお絵かきに1時間近くも夢中になってくれる姿を見て、衣斐のアイデアを子ども向けおもちゃにしたらいいのではないかと考えました。
実際に子どもに触ってもらいながらどんどんデザインを変更していきました。最初は普通にたまご型のマウスのようなものを考えていたのですが、子どもが手に取りたくなるように顔をつけたり、サイズも一番欲しくなる大きさを子どもに選んでもらいました。」(星野氏)

子どもが手に取りたくなるカタチを追求したwordee™のデザイン
子どもが手に取りたくなるカタチを追求したwordee™のデザイン

「Toshiba Startup」の採用を経て、本格的な製品化も視野に入った。ここで存在感を発揮するのが、崔氏率いるJellyWare。設計・製造に、試作から量産体制の構築、そして販売、マーケティング、セールスプロモーションに至るまでワンストップで手がける企業だ。

社内外から同志が集結し、開発に向けて走り出す

東芝のwordee™開発陣と強固なパートナーシップが結ばれた経緯を、崔氏は笑顔で振り返ってくれた。

 

「『言葉の軌跡』を見た時の第一印象ですか? それはもう、『何てクレイジーなアイデアなんだ!』ですよ(笑)。もちろんそれはいい意味ですけどね。簡単には真似されない、まったく独自のアイデアだと直感しました。
ものづくりでもクラウドファンディングが盛ん。世の中では多彩なアイデアが登場してきていますが、目新しいものはなかなかありません。しかし、『言葉の軌跡』、そこから発展したwordee™は衣斐さんしか考えつかないものですよ。
私はそのアイデアに賭け、応援していこうと思ったのです。wordee™にどこまで可能性があるかは未知数。ただ、応援していくことで衣斐さんのようなチャレンジャーが続々登場するんじゃないか、という期待もあったのです」(崔氏)

 

崔氏のアドバイスも得ながら、wordee™は「リーンスタートアップ」で開発が進められた。これはコストをかけずにミニマムな製品を作り、顧客の反応を見ながら新規事業に育てていく機動力重視の経営手法だ。

 

8月にクラウドファンディングがスタートし、量産・製造の工程も近づいてきました。しかし、クラウドファンディングはゴールではなくスタートです。国内はもとより、海外のユーザーからもフィードバックが寄せられ、それを反映することで、wordee™のありようもダイナミックに変わっていくでしょう。多言語対応など、新しい仕様が加わることにワクワクしています。まさにリーンスタートアップです。これをきっかけに、第二、第三のwordee™がどんどん生まれる場づくりを考えていければ」(衣斐氏)

 

プロジェクトが順調に進めば、12月には出資者にwordee™が発送される予定だ。これまで触ったことのない”光のお絵かきロボット”――世界中の子どもたちにきらめくクリスマスプレゼントが届く日は、そう遠くない。

*RECAIUS、wordeeは、株式会社東芝の登録商標または商標です。

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