日本企業の出番!! バングラデシュの大いなる可能性

2017/07/05 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 成長途上にあるバングラデシュは、日本企業にとってチャンスの宝庫
  • 現地駐在員が伝える親日国としての実態は――
  • 日本×バングラデシュでどのような可能性が生まれるのか?
日本企業の出番!! バングラデシュの大いなる可能性

インドとミャンマーに挟まれた南アジアの一国、バングラデシュ。これまでビジネスシーンにおいてはあまり話題に挙がることのなかった国だが、実は日本企業にとって大きなポテンシャルを秘めていることをご存じだろうか。

 

現在の人口は約1億6,000万人。すでに人口ボーナス期(※1)にあり、2040年には1億9,000万人に拡大することが見込まれている豊かな市場。今まさに「伸び盛り」の時期にあることは、毎年6%以上というGDP成長率にも表れている。

バングラデシュ

大の親日国として知られるこの国に、今あらためて目を向けるのは有意義であるに違いない。

現地駐在スタッフが語るバングラデシュのポテンシャル

早くからこの国のポテンシャルに着目する企業は決して少なくなく、急速な経済成長に対するインフラ整備を支援するための、日本政府による多額の円借款貸付の影響もあってか、2016年10月時点でバングラデシュに拠点を置く日系企業は245社に上る(ジェトロ調べ)。規律正しくロジカルな思考を持つバングラデシュの人材は、すでに日系企業にとって重要なパートナーとなりつつあるのだ。その数や規模は、今後も右肩上がりで拡大すると目される。

バングラデシュ

発展途上にあるバングラデシュでは、何よりも社会開発こそが最重要課題となっている。政府が掲げる目標として、2021年には中進国に、そして2041年には先進国入りを果たすため、社会の底上げは不可欠。これはそのまま、日系企業にとってのビジネスチャンスとなるはずだ。バングラデシュに駐在経験のある東芝・営業統括部 海外マーケティング担当の金川明佳氏(所属は2017年6月時点)は、現地の様子を次のように語る。

 

「たとえば首都のダッカでは、時に1キロ先の目的地へ移動するのに30分以上かかることもあるなど、慢性的な渋滞に苛まれています。唯一の公共交通機関であるバスも、暑い中で空調もなく、乗車率100%越えの大混雑。しかし、現在は急速に道路の建設が進められ、政府が渋滞緩和に本腰を入れ始めていることは間違いありません。さらに10年前に比べ停電も大幅に減少し、電力の質も改善しています。また、街には新しいビルが次々に建ち、少なくともダッカに関しては、先進国とのギャップは日に日に小さくなっているように感じます」

営業統括部 海外マーケティング担当 金川明佳氏

入社2年目の2012年に、休職して青年海外協力隊(※2)に参加し、初めてバングラデシュを訪れたという金川氏。2年間の農村でのボランティア活動を経て復職した後、変電機器の海外営業部門で市場開拓を担当し、同国の成長に立ち会ってきた。金川氏もまた、バングラデシュの将来に大きな期待を抱く1人である。

ビジネスパートナーとしてのバングラデシュの魅力

もちろん、未発展の土壌ゆえ、苦労がないわけではない。

 

「組織の立上げ経験が無かった私が主体となりスタッフの採用からオフィスの選定までさまざまな手続きを一から進めていくことに始めは戸惑いもありました。また、自分の両親より年上の、しかも社長経験者をチームメンバーとして迎え入れたこともあり、メンバーへの接し方に悩んだ時期もあります。それでも、青年海外協力隊時代に身に付けたベンガル語とバングラデシュの文化や習慣への理解を駆使し、まずはとにかく語り合い、毎日同じ釜のカレーを分け合い、家族ぐるみの付き合いを通して、同僚であると共に彼らの家族のような存在、そして理解者であるよう努めました。そうすることで、安心してチーム内での居場所を見つけ、東芝の一員であるという意識を持ってもらえたのだと思います。時にビジネス文化の違いに奮闘することもありましたが、一方で、本音と建前を使い分けたり、ビジネスにおいても持ちつ持たれつの精神が強く働いたりするところは、非常に日本人的だなと気付かされることもありました。」

営業統括部 海外マーケティング担当 金川明佳氏

興味深いのは、ビジネスシーンにおいても聞こえてくるバングラデシュ人の親日ぶりで、金川氏は「国民全体が掛け値なしに日本人を信頼し、親しみを持ってくれている」と証言する。バングラデシュが東パキスタンから独立した年に、日本が先進国でいち早く独立を承認したことや、その後も日本政府は継続的にバングラデシュの開発支援を行ってきたことなどが村人にまで知られており、とても感謝されているという。実際、東芝の現地法人東芝アジアパシフィック社バングラデシュ事務所(Toshiba Asia Pacific Pte., Ltd., Bangladesh Liaison Office 以下、(TAPL)-BD)に籍を置くメンバーからも、次のような声が聞かれるのだ。

 

「(ベンガル語の教科書にしばしば日本が例として出てきていたこともあり)幼少期から日本の人々に対しては、『とても慎ましく、正直で勤勉である』というイメージがあります。それが我々の国民性にも近いこともあり自ずと日本企業に対しても親近感を持っていました。こうした大企業の一員になれたことに誇りを感じていますし、自分自身を成長させるいい機会となっています。」((TAPL)-BDメンバー)

 

「私たちの仕事の醍醐味は何といっても国づくりの一端を担えるという点。『まさに今自分たちが将来のバングラデシュを作り上げていく』という志をメンバー一同が共有しながら活動できる幸せを噛み締めています。」と金川氏は語る。

営業統括部 海外マーケティング担当 金川明佳氏

(TAPL)-BDは現在、発電事業や送配電、交通網整備、水処理施設の整備など、さまざまな領域に携わっている。それは1つの国の社会課題を解消し、成長を支える柱に等しい。
その背景でものをいうのが、こうした信頼関係であるに違いない。

 

「かつては最貧国といわれたバングラデシュですが、8年前にはすでにおよそ9割の携帯電話普及率で、それが国の急速な発展につながりました。実は日本人が思うよりも遥かに速いペースでこの国は前に進んでおり、最新技術への関心も高いです。一見まだ早いと思われる技術でも、それをいかにこの国で活用できるか、アイデアを出し合って積極的に広めていきたいですね」(金川氏)

 

日本企業の最新技術が、国の発展のカギを握る。その先の未来には、日本とバングラデシュの強固なパートナーシップによる、豊かな社会が見えてくる。その時、バングラデシュでは日本にとって重要な一大マーケットを築いているのかもしれない。

 

■用語説明
※1:人口ボーナス期
総人口に対して、生産年齢(15 歳~65 歳)の人口比率が多い、または上昇している時期のこと。
※2:青年海外協力隊
独立行政法人国際協力機構(JICA)が、日本政府がODAの一環として実施する海外ボランティア派遣制度。

関連サイト

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ニュースリリース (2015-05-28):バングラデシュ事務所の設置について | ニュース | 東芝

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