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モノづくり現場の「技」の伝承 若きホープと匠の絆


「俺の背中を見て学べ」は通用しない?!変化する技能伝承の形

「使用する道具が発展した分、年々大会で求められる課題の難易度が上がってきています。指導員の方から教えてもらったことを自分なりに解釈しながら、今の課題に合わせた作り方を考えていかないといけません」(江頭選手)

指導員たちの言葉に耳を傾けながら、現在求められる技能レベルに照準を合わせていく。従来の伝承方式では現状の技能レベルとスピードに追い付けないという意識の表れだろう。

「東芝グループのみならず、技能伝承は他の企業でも大きな課題となっています。我々ができることは、技能五輪全国大会のような機会を活用し、後輩の指導を通じて、次世代に技能を受け継いでいくことだと思っています。指導した選手たちが大会で結果を出すことも大事ですが、各々が職場で活躍し、技能だけでなく、人間的にも成長してもらうことも指導員としての願いです。そういう人材を輩出していくことが我々の役目だと思っています」(三重氏)

まさに、組織を挙げて人材育成に取り組むことがカギとなってくるのだ。1963年に開催された第一回技能五輪全国大会に出場した東芝の選手は、現在60歳を超え、世代交代が不可避だ。

「江頭選手や若手技能者たちには、その先輩たちから可能な限り学び取ってもらい、モノづくりの飽くなき探求心と情熱をもって社会に貢献していくという東芝のDNAを受け継いでもらいたい。そして、いつか今の選手たちには技能五輪の指導員として将来活躍してほしいと思っています」(三重氏)

時代の波の影響を受けるのは技能継承の方法だけではないだろう。ICTやAIなどテクノロジーの進化により、さまざまな仕事がロボットに置き換わり、人の仕事が奪われていくという議論もある。

「ロボットなどの機械はモノをつくることはできても、壊れたものを直していけるのは人間だけだと思うんです。特に、美しさを追求する場合や、唯一無二の部品が求められる場合には技能者の力が不可欠だと思います」(江頭選手)

技能五輪全国大会に出場した江頭雄大選手

技能五輪全国大会に出場した江頭雄大選手

現場での人材不足が顕在化しつつある中、今後はITやロボットなどを活用した合理化や省力化に重点が移ると見込まれるものの、製造プロセスにおける最終的な調整や品質管理には必ず人の手が必要となる。特に大型の重電システムやインフラ設備を製造し、維持していくためには、壊れたものを再生させる技能が今後も必ず必要となる。そのためにも、教育法を進化させ続け、技能を継承していくことは欠かせない。

江頭選手が初めて大会に挑戦した1年前は2次予選落ちを経験し、今回、彼はそのどん底から這い上がってきたのだという。練習は一日9時間、週5日。それが2年間続いた。一方の三重氏は25年以上、製造現場で技能者としての経験を積み、その後5年間、指導員として若手技能者の育成に携わってきた。現場では安全第一であるため、三重氏は、作業中は厳しく指導を行うものの、時には“おやじギャグ”を挟んで、選手にはゆとりと余裕を与えているという。そのおかげか、年齢が35歳離れている指導員と選手の関係は実の親子のようだという。

2017年11月の技能五輪全国大会に挑んだ選手と指導員たち

2017年11月の技能五輪全国大会に挑んだ選手と指導員たち

自らの頭で考え、手を動かしてモノを作れる技能者を育てるための組織的な「人づくり」による、日本のモノづくり産業の未来が垣間見える。今後のモノづくり産業を盛り上げていくためにも現場の若い力に期待したい。

技能五輪全国大会の結果はこちら!
http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/zenkoku/saishin_taikai.html

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