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帰郷した名機関車は何を想う ブルートレインをけん引した「EF65 535」


帰郷した名機関車は何を想う ブルートレインをけん引した「EF65 535」

この記事の要点は…

1970年代、ブルートレインブームで注目を浴びた名機関車「EF65 535」

惜しまれつつ引退。保存に向けたその後の動きとは?

東芝府中事業所で余生を過ごす「EF65 535」の今

東芝府中事業所の一角に、静かにたたずむ機関車がいる。その名は「EF65 535」。1967年にここで貨物用の77号機として製造されたこの一両は、高速旅客用の535号機への改造というキャリアチェンジを経て、寝台特急の先頭に立ち、晩年は貨物用として2008年に引退するまで、昭和の高度経済成長期から平成まで日本の鉄道の大動脈を支えて長く駆け抜け続けた。

後輩機関車が物流最前線に飛び出す姿を見ながら、名機関車は何を想うのか。電気機関車の設計・製造を手掛ける宮崎玲氏、山田真広氏のコメントを交えながら、昭和の風格を漂わせる「EF65 535」の軌跡に、幾多の電気機関車を送り出してきた東芝府中事業所の歴史を照射してみよう。

東芝インフラシステムズ株式会社 鉄道システム事業部 宮崎玲氏(左)、府中事業所 交通システム部 山田真広氏(右)

東芝インフラシステムズ株式会社 鉄道システム事業部 宮崎玲氏(左)、府中事業所 交通システム部 山田真広氏(右)

ブルートレインをけん引し続けた名機関車

時は20世紀、1970年代末のこと。スーパーカーブームでメカへの興味を高めていた子どもたちの関心が、ある列車にフォーカスされた。姿を消した蒸気機関車への憧憬もあいまって起こった、空前の「ブルートレインブーム」である。

ブルートレイン――それはブルーの車体で統一された寝台特急の愛称だ。東京~山陽・山陰・九州方面に名だたる寝台特急が走り、多くのファンが虜になった。そのブルートレインを文字通りけん引した機関車のひとつが、東芝府中事業所で製造された電気機関車「EF65 535」だ。「EF65 535」の「EF65」は形式名、「535」は500番代の35番目に製造された機関車という意味で、数多く製造されたEF65形のうち、500番代は高速列車を専門にけん引する機関車にのみ与えられる栄光のナンバーだ。

さくら、みずほ、はやぶさ、富士、あさかぜ……ブルートレインと総称された多くの寝台特急の先頭車として、EF65 535はけん引する客車と一体感のある「特急色」と呼ばれる塗装を身にまとい、ファンの注目を浴びながらブームの先頭を駆け抜けた。カラフルなヘッドマークを誇らしげに掲げて疾走する姿は時代のアイコンとして、鉄道ファンならずとも多くの人の目に焼きついている。

現役時代のEF65 535

もともと、EF65 535は貨物用として製造された電気機関車だった。しかし、当時の国鉄が寝台特急専用に改造。思わぬことから花形である青い流れ星ブルートレインの先頭に躍り出て、東海道・山陽路を連日駆け抜けることになった。このエピソードは、電気機関車版のシンデレラストーリーといったところだろう。

現在、東芝府中事業所で電気機関車の設計・製造に携わる宮崎玲氏に、EF65 535への思いを聞いてみよう。

「私は1982年入社なので、ブルートレインブームやEF65 535の製造を東芝社員として見てきたわけではありません。しかし、寝台特急がどんどん増える中、貨物用機関車として製造されたEF65がブルートレインを引くことになった経緯が多くの人の関心を呼んだのは覚えています。そんな経緯があったので、ブルートレインが運行を止めた後も根強い人気でした。貨物用として高崎機関区(注)で活躍することになっても、多くのファンが注目していて、貨物用機関車を引退してからは保存会が結成されたほどです」(宮崎氏)

注:群馬県高崎市にある日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)の現業機関(車両基地および乗務員基地)

東芝インフラシステムズ株式会社 鉄道システム事業部 宮崎玲氏

> 次ページ ブルートレイン用機関車としての後半生を終え、故郷に帰還

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