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人型ロボット最前線 アンドロイドは人を癒す存在へ


人型ロボット最前線 アンドロイドは人を癒す存在へ

近年、ロボットの進化が目覚ましい。二足歩行を行うアシモや移動型のロボットともいえるドローンなど、様々なロボットの開発が進んでおり、中でもお掃除ロボットなどの人間の代わりに作業をするロボットは、すでに市民権を得ているものも多い。いまやロボットはSFの世界だけの空想上の存在ではなく、私たちの生活においてもかなり身近な存在になってきている。

そんな中、注目を集めているのが人とコミュニュケーションができるアンドロイドの開発だ。人間国宝の落語家・桂米朝氏をモデルにした「米朝アンドロイド」など、イベント会場やメディアに登場するアンドロイドも出てきた。ヒト型のコミュニュケーションができるロボットとしては、ソフトバンクが開発した「pepper(ペッパー)」も有名だ。


東芝からも、最先端のアンドロイドが登場している。人間らしい容姿と自然な腕や手の動きに加え、独自の音声合成技術を用いて日本語・英語・中国語の3か国語を流暢に話す「地平(ちひら)ジュンこ」だ。

アンドロイド「地平ジュンこ」

ジュンこは、平成27年12月17日より臨海副都心の「アクアシティお台場」にて、観光案内を行っている。観光案内所に設置してある3言語対応の入力端末を操作すると、ジュンこが身振り手振りしながら案内をしてくれる。コミュニケーションアンドロイドがサービスを行う世界初の観光案内所として、連日多くの人がジュンこに会いに来ている。

(ニュースリリース「3か国語を話すアンドロイド「地平ジュンこ」の観光案内所を12月17日に開設」
 http://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_12/tp_j0901.htm

お台場の新しい案内役に

観光案内を行うアンドロイド「地平ジュンこ」

「地平という名字は、地球の平和を願ってつけられました。新たな地平を目指すという意味もあります」

そう説明してくれたのは、なんとジュンこ自身だ。流暢な言葉遣いと、細やかな仕草や表情は、驚くほど人間に近い。アクアシティお台場では、ジュンこの横に設置してある入力端末を操作することで、観光案内の他にジュンこにいくつかの質問をすることができる。案内も身振り手振りを交えて伝えてくれるため、非常にわかりやすい。

その精密さから、遠目に見ると本物の人間と見間違えるという人も多いというが、一体どのような経緯でこのように高度なアンドロイドが誕生したのだろうか。ジュンこの生みの親、東芝研究開発統括部マーケティング戦略室の徳田均氏にその誕生秘話を聞いてみた。

人に伝わりやすいコミュニケーションを

「地平ジュンこ」の生みの親 徳田均氏

「地平ジュンこ」の生みの親 徳田均氏

「東芝グループでは、新しいコンセプトに基き、社会の横断的な技術をさらに活用することで大きなビジネスに結び付けるという、新たなテーマを考えていました。その中にロボティクスというのがあったんです。ロボットというのは、今まで培ってきた技術や総合力を活かせます。これはなかなか電機屋としては、いいお題なんじゃないかと思いました」

そこでどのようなロボットをつくっていけばいいかと社内からアイディアを募集したところ、その中に「手話ができるロボット」という案があった。手話そのものに社会性があることに加え、技術的にも非常に難しくやりがいのあるテーマだということになり、開発が決まった。そこから展示会などに出すにあたって、ディスプレイや音声合成と組み合わせることで、さらに強みを持たせていき、今の形態になったという。

「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、2015年1月、米国ラスベガス)という展示会にジュンこの姉にあたる初代アンドロイドの「地平アイこ」を出したのですが、その時はロボットとディスプレイと組み合わせて説明をするという方法をとりました。それに先立ってアイこを出したCEATEC(シーテックジャパン2014、2014年10月、幕張メッセ)という展示会のときには、一方的にアイこが話すスタイルで、来場者から名前の由来だとか、これからどうするつもりなのかなど、いろんなことを質問されたのですが、CESのときにはロボットがディスプレイを使って全部自分で説明してくれたので、ほとんど質問がない状態でした。

CES出展時の「地平アイこ」

CES出展時の「地平アイこ」
(ジュンこの姉にあたる初代アンドロイド)

このとき初めて、”このロボットを人に分かりやすいコミュニケーションをするためのツールにしよう“というコンセプトが固まったのですが、極端なことをいうと、そもそもコミュニケーションというのは、ディスプレイさえあればできてしまうんです。例えば、TVのニュースを例に挙げると、ニュースというのは映像や声、テロップなどが出ていれば十分に情報は伝わります。しかし、なぜかニュースキャスターという人たちがいる。

それは、私たちは、どういうわけか人間の形をしたものが説明すると分かりやすい気がするからです。というより、”気がする”のではなくて、本当に分かりやすいんですね。ですから、これはもう人間の本性にも近い話になってくるのですが、コミュニケーションを行うためのディスプレイとしては、人間の形をしているものがかなり有効なのではないか、というのが今の私の仮説です」

実際に地平アイこを百貨店入口付近のサイネージの前に設置した時(日本橋三越本店、2015年4月)には、サイネージの情報を見た人はアイこが来る前に比べ、なんと10倍以上になったという。もちろんこれはサイネージを見に来たわけではなく、アイこを見に来たわけだが、それだけでなく、きちんとサイネージの情報を届かせるという効果もあるようだ。例えば、三越の7階に「Hajimarino Cafe」というイベントスペースがあるが、アイこの側のサイネージから情報を取得したことで、その存在を初めて知ったという方が非常に多くいた。

日本橋三越本店 サイネージ前で案内をする「地平アイこ
」

日本橋三越本店
サイネージ前で案内をする「地平アイこ」

当然、今後アンドロイドによる案内が珍しくなくなってしまった時でも同等の効果が出るかは疑問ではあるが、少なくとも現時点においては、ロボットが横にいるということで、より多くの人に情報を届けられるということが実証されている。

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