安全・安心な移動を提供する “隙間のない”エレベーター

2016/06/01 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 業界初!隙間のないエレベーターが誕生
  • お客様の声から生まれた製品
  • 営業と開発の連携が開発成功のポイント
安全・安心な移動を提供する “隙間のない”エレベーター

エレベーターで、扉と建物の隙間にうっかり物を落としてしまった経験はないだろうか。

 

あるいは何かを落としそうになってヒヤリとしたり、落とさないように気を遣ったような経験はないだろうか。
鍵やカードなど、また近年ではスマートフォンの落とし物や、女性の場合だとヒールが挟まってしまうこともあるという。この隙間に物を落としてしまったという事例は、東芝製のエレベーターだけでも年間200件以上も発生している。

 

東芝では、より安全で安心なエレベーターを利用してもらうため、業界初の”しきい間すきまレス”機能を搭載した最新エレベーターSPACEL-GRⅡを開発した。
今回は業界初の製品を誕生させるまでの取り組みと、”東芝ならではの製品”について担当者に話を聞いた。

お客様と社員の声から生まれた最新エレベーター

熊谷将一氏(左)と吉田拓氏(右)
熊谷将一氏(左)と吉田拓氏(右)

“しきい間すきまレス”は、元々お客さまの声がきっかけで生まれました。お客様の声をお聞きすると、隙間をのぞき込むと怖い、不安を感じるという高齢者の方や、隙間に物を落としてしまうことを防ぎたいという意見がありました。」

 

そう語るのは、東芝エレベータ株式会社の技術本部所属、熊谷将一氏だ。同社では新たなエレベーターを開発するにあたり、顧客の声(Voice of the Customer : VOC)を大切にしているというが、同時に社員の声(Voice of the Employee : VOE)にも耳を傾けている。

 

「お客様の声に耳を傾けるのはもちろんですが、さらに社内に向けてもアンケートを取りました。すると、社内からも隙間をなくした方が良いという意見が挙がってきました。利用者の方が物を落とした場合、お客様から連絡を頂いて、保守員が現地へ急行します。より安全で安心なエレベーターが欲しいというお客様の要望に応えることが前提ですが、そういった社内の負担を減らすためにも、隙間のないエレベーターを開発することになりました

 

細部までこだわり抜いた営業と開発の共創

開発を担当した吉田氏
開発を担当した吉田氏

同社で機械開発担当を務める吉田拓氏は、隙間をなくす機構を考える上で、営業担当者との関係も重要だったという。

 

「初めにこの計画を聞いたときは、どうしたら実現できるのか、困惑したことを覚えています。”しきい間すきまレス”は、エレベーター着床後、扉が開くのとほぼ同時に隙間を塞ぐ仕組みですが、隙間を埋めるためにモーターを使用するなど電気駆動の構造にすると、省エネの視点からは好ましくありません。また電気駆動にすると故障リスクも高まるため、扉が開閉する力を活用することが開発の前提条件となりました。しきい部で可動する用品は扉しかありませんが、扉の開閉方向と、隙間を埋める器具とは動く方向が異なっている中、確実に動作する構造を実現するのは技術的に非常に難しく、どうしたらよいのか悩む日々でした。開発期間中は幾つも試作と試験を重ね、これだ!というアイデアに辿り着くまでには本当に苦労しました」

 

今回の製品開発にあたっては、試作品を事前に営業部門が確認するなど、営業部門と開発部門のコミュニケーションをタイムリーに図れたことで、より良いものが生まれたという。

 

「試作品を営業部門の担当者に見てもらったところ、”扉が開く直前から隙間が埋められているようにしてほしい、また扉が閉まる直前まで器具を収納せずに万一物があっても落ちないようにしてほしい”という要望が挙がりました。この時も正直なところ、もう無理かな、簡単にはできないな、という思いがありました。しかし何度も試作を繰り返し、営業部門の担当者と密に意見を交換しあいながら開発にあたったことで、結果的にはエレベーターをご利用いただくお客様にとって、より安心していただけるタイミングで隙間を埋められるようになり、自信を持って使っていただける商品に仕上がったと思っています」

営業部門との密なコミュニケーションが生んだ
営業部門との密なコミュニケーションが生んだ”しきい間すきまレス”

 

しきい間すきまレス

より良い社会に貢献する東芝のビジネスサイクル

今回開発された最新エレベーターSPACEL-GRⅡは、VOCやVOEの傾聴からはじまり、社内部門間の連携強化など、さまざまな声を拾い上げることで業界初となる高い技術を持つ製品が完成した。社内外の声を丁寧に拾い上げてきた東芝の地道な取り組みの成果となる。

技術本部の熊谷氏
技術本部の熊谷氏

今後は安全で安心であることはもちろん、お客様が快適に移動できるエレベーターを目指していきたいという熊谷氏。次はどんな”業界初”が生まれるか期待が高まる。東芝の製品は、これからも社会の声を丁寧に拾いながら、より安全で安心な製品を作り続けていく。

関連サイト

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