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オゾンの力でおいしい水を 高度浄水処理設備の水面下の革新


なぜ、オゾンで水がきれいになるのか?

より良質な水道水を作り出すオゾン。その仕組みを同じく水・環境システム事業部の牧瀬竜太郎氏に解説してもらった。

オゾン(O3)は強い酸化力を持ち、水中のさまざまな有機物を酸化分解し、脱色、脱臭、消毒する働きがあります。オゾンを使用した高度浄水処理によって水質が飛躍的に上がり、最終的に投入する塩素の量を大きく削減することができ、トリハロメタンの発生なども抑えることができるのです」

東芝インフラシステムズ株式会社 水・環境システム事業部 牧瀬竜太郎氏

東芝インフラシステムズ株式会社 水・環境システム事業部 牧瀬竜太郎氏

オゾン発生装置は、蜂の巣のように放電管(※)をいくつも集積した構造となっている。ここに高電圧をかけ、放電によって酸素分子(O2)から酸素原子(O)を解離させ、さらに他の酸素分子(O2)と結合させることでオゾン(O3)がつくられるのだ。TGOGSTMには東芝の技術の粋が結集されているが、その中でもひときわ注目されるのがステンレススパッタリング技術だ。

※放電管
陽極と陰極との間で放電を起す管のこと。

オゾンが発生する仕組み

オゾンが発生する仕組み

「『TGOGSTM』で採用している放電管は、ガラス管の中にステンレスの薄い膜を設けたもので、この薄膜を作る技術がステンレススパッタリング技術です。従来、ガラス管の口径を小さくしつつ、このステンレスの薄膜を作り出すのは至難の業でした。ステンレス膜を形成する際には、ターゲット棒と呼ばれるステンレスでできた棒に電圧を加え、そこからステンレスの粒子をガラス面に飛ばします。しかし、均一にステンレス膜を作ろうと思うと、ターゲット棒とガラス管の内部に一定の距離が必要となり、そのためにガラス管の口径を大きくせざるをえませんでした」(久保氏)

ステンレス薄膜を形成するステンレススパッタリング技術の仕組み

ステンレス薄膜を形成するステンレススパッタリング技術の仕組み

そこで、東芝はターゲット棒を細くし、ガラス管との適切な距離を探ることで、ガラス管の小口径化を模索。従来比約60%の口径となる放電管を作ることに成功した。口径を小さくすることで、オゾン発生装置そのものの小型化が可能となっただけではなく、より多くの放電管を集積し、さらに製造精度を上げることで、高効率でオゾンを発生できるようになった。

放電電力とオゾン発生量の比較―TGOGSTMは従来型より放電電力を約20%低減できた

放電電力とオゾン発生量の比較―TGOGSTMは従来型より放電電力を約20%低減できた

放電管にはステンレス以外の材質を用いたオゾン発生装置もある中で、あえてステンレスにこだわった理由は、ステンレスが放電管そのものの耐久性に寄与するからだという。

「オゾンは酸化力が強く、また、オゾン生成の過程では硝酸も生まれます。これらに耐えられる材質であり、さらに軽量であることから組み立て時やメンテナンスの際の効率化にもつながるため、ステンレスの薄膜がベストだと私たちは判断しました」(牧瀬氏)

こうした水面下の技術革新により、すでに、東京の利根川水系、大阪の淀川水系に関しては100%、高度浄水処理の導入が完了しているという。こうなると当然、見据える先は世界の市場だ。

「新興国では高度浄水処理はほとんど行われていない状況です。そうした国々でも高度浄水処理が導入されるためには、例えば気温の高い国では現地の気温でも耐えうる素材を使用したり、メンテナンスの簡素化を試みたり、用品の現地調達を考えたりするなど、その国々の事情に合わせてTGOGSTMに改良を加え、使いやすいものを提供していかなければなりません」(久保氏)

TGOGSTMは日本が誇る安全でおいしい水を生み出す技術の一つとして、世界のさまざまな水問題の解決につながる、大きな可能性を秘めているのだ。

久保貴恵氏 牧瀬竜太郎氏

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