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マレーシアで実証事業スタート! EVバスがもたらす環境都市の未来とは?


EVバスの稼働率を向上させるソリューション

東芝の二次電池SCiB™の特長は長寿命だけではない。急速充電性能に優れ、バスターミナルに実装されたパンタグラフ式充電装置を用いることで、10分間の超急速充電運行を可能にし、EVバスの弱みだった稼働率の向上を実現する。

バスターミナルに実装されたパンタグラフ式充電装置

バスターミナルに実装されたパンタグラフ式充電装置

SCiB™以外にも、プトラジャヤ市で稼働するEVバスソリューションには東芝の最新技術が投入された。東芝が提供するクラウド情報システムは、電池の温度や充電時の電圧、電流の状態をモニタリングしデータを常にクラウド上に保管している。正常に機能していることをリモートモニタリングするとともに故障時には迅速な対応を行うことが出来る。これはメンテナンスを行う事業者にとっても非常にメリットがある。

遠隔地からEVバスをモニタリングするクラウド情報システム

遠隔地からEVバスをモニタリングするクラウド情報システム

こうした技術を武器に6年以上も前からEVバスソリューションの開発を手掛けてきた武井氏でも、今回のプロジェクトには非常に苦労したこともあったのだとか。

「技術を事業として成り立たせることが重要です。また東芝はバスメーカーではありませんのでバスメーカーとの協力が重要です。事業リスクを軽減、分散させるために、プロジェクト参画会社の既存事業の範囲で水平分業する方針とし、バスの製造からシステム試験まで4か国で行われました。主要部品の変更や現地で必要な許認可が多く、いろいろな局面で壁にぶち当たりましたが、これらを全て予算内、期間内で乗り越えなければならないソリューション事業の大変さを実感しました。
 ただ、運開までたどり着くと、これまでこちらがお願いする立場だった関係者が、今度は向こうから積極的にアプローチしてくるなど、過去とは違うステージに立ったということを感じています。少し結果が出ると、当初想定していなかったチャンスが訪れることがあります。プロジェクトを計画通りに進める管理能力も重要ですが、新規事業では途中で訪れるチャンスを生かせるか、生かせないかの動的な能力が必要な気がします。」(武井氏)

NEDOや日系コンソーシアムと協業することになった現地企業、Putrajaya Public Transport Travel & Tours社のCEO、ハジ・ラヒム氏は、今回のプロジェクトについてどのように考えているのだろうか。

「当初からディーゼル車ではなく天然ガス車両を活用してきた我々としては、EVバスは非常に魅力的なアイデアでした。市民からもEVバスに対して、走行中にまったく音がしないことに新鮮な驚きを持ち、歓迎する声が多数寄せられています。ドライバーの育成や車両の扱い方についてはまだまだ教育が必要ですが、今後の安定運行を目指して努力していきたいと思います」

Putrajaya Public Transport Travel & Tours社のCEO*、ハジ・ラヒム氏

Putrajaya Public Transport Travel & Tours社のCEO*、ハジ・ラヒム氏

プトラジャヤ市のダトー・ハシム・イスマイル市長のEVバスソリューションに対する期待も大きい。

「こうした超急速充電を採用したEVバスの導入は、ASEAN初の事例と言われています。実際、環境先進都市に向けた取り組みの中でも、EVバスはとりわけ重要なアイテムの1つであると私は考えています。私たちは、2025年までに温室効果ガスの排出量を2015年の60%にまで削減する計画を打ち出していますが、こうした日系コンソーシアムとの協業を通し、今後もチャレンジを続けていきたいと思います」

EVバスシステムの実証事業の運開式の様子

EVバスシステムの実証事業の運開式の様子

この実証事業は2020年まで続けられる予定で、そこで得られた成果やノウハウは、さらに世界中へと拡散していくに違いない。

「道にごみを捨ててはいけない、というのは既に根付いた習慣ですが、大気へのエミッションについてはまだ罪悪感が低いままだと感じます。温暖化ガスを出さない、排気ガスを出さないというゼロ・エミッション規制が望ましいのですが、環境技術とのバランスがとれないと実行不可能になります。環境技術ができて始めて規制が実行可能になり、産業界もそれに対応していきます。今はまだ環境技術が普及可能レベルに達していません。この技術があればバスはゼロ・エミッション化できる。だから規制しても大丈夫。そういう転換期を作りたいと思っています。」(武井氏)

そう遠くない未来には、日本の技術がゼロ・エミッション社会を強力に後押しする展開がみられるかもしれない。その時、我々が暮らす街がどのように風景を変えるのか、今から心待ちにしておこう。

この動画は2017年12月19日に公開されたものです。

※役職については取材日の2017年11月9日現在。

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