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クレイアニメーションが魅せる ボーダーレスな世界


伊藤有壱氏に聞く、CM制作の舞台裏とは?

―今回、CM制作の依頼を受けてどういったイメージを持ちましたか?

伊藤:
日本以外にも複数の国々で放映されるものだと聞いて、クレイアニメーションはすごく親和性があるものだと感じました。それと同時にすごいハードルが高いなぁというドキドキもありました。

アニメーションディレクター/演出家・伊藤有壱氏

アニメーションディレクター/演出家・伊藤有壱氏

―発電所や水処理など、一般に目に留まりにくい社会インフラのイメージをクレイアニメーションで表現することにハードルを感じましたか?

伊藤:
発電所や浄水場などの具体的な役割を伝えるというところにはファンタジーはないのですが、そういったものを手掛けている企業のスピリットを伝える手法としてクレイアニメーションは最適だと思いました。一方で、大人に伝えたいメッセージをファンタジーや子どもっぽいカラーに流されないようにする温度感のコントロールが難しいと感じました。

―社会インフラという現実的なモノとクレイアニメーションが作るファンタジーな世界観の掛け合わせは難しかったですか?

伊藤:
だからこそやりがいがありました。そういうところで成功したCMはなかなかないと思います。CMを見る方には幼児も高齢者もいて、それぞれの層が見たときの感じ方は違うと思います。違うものを感じながらも最終的には一つのイメージにつなげるというのは、もっともハードルが高いけどやりがいもありました。そのためにクレイアニメーションという選択がベストだと思い、自信をもってお受けしました。

クレイアニメーションで作る社会インフラのイメージ

―東芝の姿を表現するうえで、ここは難しかったというところは?

伊藤:
手で生み出す「Shape」というところがあるのですが、粘土をこねておしまいというということではありません。イメージや情報など、いろいろなものがネットワークでやり取りしながら、これからの未来の社会を良くしようという最後のシーンで、ネットワークを示す光の無数のラインが生き物のように行き交いし、あやとりのような形で手に戻ってくる。そしてそれが最後には蝶になり、クレイで出来た地球をひらひらと舞う。最後はそういった形のファンタジーにしました。

大きな未来のイメージを出すにはファンタジーという要素はすごく危険でありデリケートなのですが、成功した時の期待感を持たせるには必要なラストシーンだと思っています。そういったアイデアを出しました。

CMのラストシーン

―こういったストーリーを描くには、クレイアニメーションは最適な手法でしたか?

伊藤:
絵で描くアニメより、CGで精度の高いものを技術で見せるより、見る人のそれぞれの立場を超えて届くという意味で、私たちは地球で生まれて地球で出来た物に触れて暮らしているので、土を感じさせるクレイアニメーションというのは誰もが共感できると思います。

クレイアニメ制作工程

―人種・文化・慣習を超えるという点は、もはや意識する必要はありませんでしたか?

伊藤:
そこは関係者のみなさんと話を重ねながら、真意の部分を吸収して理解することにまずは全力を使いました。そのうえでクレイアニメーションでしかできない表現を提案し、それが今一つであれば何度でも案を出し合いました。

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