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食糧問題の切り札へ 最新技術が支える野菜づくり


食糧問題の切り札へ 最新技術が支える野菜づくり

現在約72億人といわれる世界の人口は年々増加を続けており、国連の人口推計によると2050年までに96億人に達する見通しだ。インドが28年ごろに中国を抜いて人口第1位となり、アフリカなどの発展途上国でも大幅な人口増加が見込まれる。世界の人口が100億人を超える可能性も徐々に現実味を帯びてきた。

耕地の減少による食糧問題の深刻化

一方で地球温暖化白書の調べによると、現在、地球上にある陸地の約4分の1(36億ヘクタール)が砂漠となっている。これは日本の国土の95倍に相当する面積であり、砂漠化の影響は耕地の減少につながるなど、人類に多大な影響を及ぼしている。

また世界の砂漠は年に6万平方キロメートルものスピードで広がっており、耕地として利用できる土地は今後さらに減少していくことが予想される。

日本においても耕地面積の減少が進んでおり、農林水産省の調査では、1975年には550万ヘクタールほどあった耕地も、2010年には450万ヘクタールと約100万ヘクタールも減っている。

後継者不足も深刻で、以前は耕地であったものの耕作を放棄されてしまった「耕作放棄地」の面積は、1975年比で約3倍に達した。食糧問題はいまや国内外で大きな問題となっており、世界全体で解決を図る必要がある。

問題解決の糸口となる新しい野菜づくり

食糧問題の解決に向けて始まった新しい試みのひとつが工場での野菜づくりだ。特に砂漠化が進行する中東諸国や、冬が長く野菜を育てられる季節が短い北欧などでは、元来植物の栽培が難しかった。

工場での栽培は、そういった地域でも安定した食糧の確保が可能になるほか、地方から都市部への人口流入が続いているような場所では、耕作地域の機能と都市部の機能とを両立させることもできる。

東芝では2014年より、神奈川県横須賀市にある植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」にて、野菜の栽培を開始した。新工場では、付着している雑菌数が土耕野菜と比べて1000分の1程度にまで抑制された環境で栽培ができ、年間300万株のフリルアイス、コスレタス、ベビーホウレンソウ、ミズナ、スイスチャードなどを生産する。菌の侵入を制限したクリーンルームで育成されることから、雑菌による傷みが少なく長期保存が可能なほか、虫害の心配がないため、農薬を使う必要がなくなる。

●単位面積あたりの農薬使用量の国際比較

単位面積あたりの農薬使用量の国際比較

OECD2010の調査によると、日本の農薬使用量は世界第2位となっており、欧米諸国に比べ非常に多くの農薬を使用している。温暖多雨な気候で、病害虫・雑草の発生が多く、農薬を使用しない場合の減収や品質低下が大きいため、農薬が多く使われてきたのだ。

残留農薬を落としきることは容易ではないし、国の基準を満たしていたとしても、健康への影響がないとは言い切れない。工場で栽培された野菜ならば、そういった不安も払拭できる。

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