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IoT×SDGsがもたらす変革 デジタルソリューションに宿るモノづくりのスピリット


1日20億件のビックデータを解析し、工場の生産性をアップ

沖谷:最新のケースとして、東芝メモリ株式会社の製造拠点である四日市工場の例をご紹介しましょう。工場では製造装置や検査装置から1日約20億件ものデータが集まります。AI技術を用いることで、これまで熟練の技術者が担ってきたデータ解析の精度やスピードを大幅に向上することができました

例えば、工程間で欠陥をチェックするための検査において、目覚ましい向上が見られました。従来の技術では49%だった検査画像に対する自動分類が、AIによる画像処理により83%もの高効率で自動分類できるようになったのです。この生産性改善は「2016年度人工知能学会 現場イノベーション賞・金賞」として表彰されました。

東芝メモリ株式会社 四日市工場

東芝メモリ株式会社 四日市工場

相馬:モノづくりの「現場」と日々進化するAI技術との融合ですね。東芝のIoTソリューションで大切にしていることは何でしょうか?

沖谷:東芝はこれまでも、郵便区分機での文字読み取りに利用されるOCR技術をはじめ、航空会社向けの運行情報システムや総合案内表示システム、高速道路の渋滞状況を表示する高度交通システムなどを提供し、社会インフラをICTで支えてきました。いわゆる「情報系の技術」がICTと言われますが、私たちは、機器をネットワークにうまくつなげることで、現場の保守要員やオペレーターの負荷をいかに軽減し効率よく作業してもらえるかということを考え続け、ソリューションを提供してきました。

私たちはメーカーとしてモノを作って納めるだけでなく、お客様がその製品を使い切るまで、製品のライフサイクル全般にわたってサポートをします。そこには二つの側面があります。ひとつは機器が壊れる前に故障予知をして工場やプラントを止めないようにすること。もうひとつは機器の上手い使い方を提案し、その機器を通して作られる製品の品質や生産性を高めることです。IoTやAIなどの技術を導入して、これらの取り組みを進めています。

情報テクノロジーを「IT」、現場のオペレーションテクノロジーを「OT」と呼び、これを融合する技術がIoTです。以前は「この機器を壊れないようにしよう」という局所的なものでした。しかし今は、工場やプラント全体の最適化を図ることで生産性を上げるということにIoT技術が使われています。部分最適から全体最適へ、局所的から広域的に、視点が変わってきています。

相馬:先ほどおっしゃったように、単なるビッグデータ解析ではなく、モノづくりとしっかり紐づいたイノベーションは「IT」と「OT」のベースがあってこそ、ですね。

沖谷:はい。工場という製造現場を持ち、機器を供給しているからこそ、納めた機器に起こりうる物理現象を把握できる。ここにメーカーとして歴史を重ねてきた東芝の強みがあると言えます。最近の取り組みとして「デジタルツイン」と呼ばれる、リアルな空間とバーチャルな空間で双子を作ろうという考え方があります。例えば、モーターという製品をバーチャル空間にも作る。もしそれが何らかの要因で停止した場合、現場から収集した時系列データがあるので異常な動きがあった時点に遡ることができ、モーターのどの部分で何が起きたのかが分かります。また、予めシミュレーションもできるので、今の状態だと例えば3日後にどうなるかが予想できるようにもなります。製品を作っている東芝だからこそ、機器のデジタルツインが作れ、より高度な診断や予測ができるようになるのです。

デジタルツイン(イメージ)

デジタルツイン(イメージ)

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