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1980年代にスマート工場の発想が! 産業用コントローラで時代を先取り


IoTを予見した分野からの未来への提言

「この破壊は、核燃料施設で使われていた業界最大手の産業用コントローラがウィルスに感染したことが原因だと言われています。物理的に人が工場に侵入しない限り、制御システムは安全だ、という神話が崩れた瞬間でした。

2000年初頭から工場でもコントローラのOSやネットワークの汎用化が進んでおり、私自身はセキュリティについて問題視していましたが、それが現実のものとなり、とてもショックだったことを覚えています」(岡庭氏)

現在、堅牢なセキュリティは産業用コントローラに欠かせない要素の一つ。岡庭氏が手掛ける「type2」という東芝の産業用コントローラは、国際的に認められた第三者認証機関であるCSSC(※)認証ラボラトリーによる審査にも合格している。

※CSSC(Control System Security Center):技術研究組合制御システムセキュリティセンター

nvシリーズ「type2」

nvシリーズ「type2」

また、工場では高いセキュリティの他、常に求められるのがリアルタイム性だ。

「皆さんが普段使っているパソコンはソフトの起動に少し時間がかかったり、同時に多くの処理を課すと動作が遅くなったりしますが、ロボットやベルトコンベアなどの設備を動かすコントローラでそうした遅延が起こると、工程全体が滞り、大きな問題となります」(岡庭氏)

IoTではインターネットを介しクラウド上にデータを蓄積して分析を行う。しかし、膨大な量のデータがクラウド上に集まるため、データ処理に時間がかかり、リアルタイム性が損なわれる、といった課題も指摘されてきた。

ここで重要となるのが、データが生成される場所の近くでデータを処理し、処理時間の遅延の最小化を図るエッジコンピューティング。昨年リリースした「typeFR」は1台の産業用コントローラでコンピュータの機能も果たし、クラウド上にデータを上げることなく、コントローラ内でのデータ分析を可能にしている。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティング

産業用コントローラとコンピュータを統合する――この発想に聞き覚えはないだろうか。まさに岡庭氏が入社時から目指していたCIE統合だ。1980年代から東芝が目指していたCIE統合は、インターネットの時代に入り大きく飛躍、IoTやスマート工場につながっている。その中で産業用コントローラはキーコンポーネントとして大きな役割を果たしているといえよう。

一方、岡庭氏は産業用コントローラで実現されようとする自動化の問題も指摘する。

「人が介在しなくなることで、これまで現場から吸い上げられていたニーズが収集しにくくなる事態が起こりえます。そうなると、現場の改善やさらに次の時代の技術革新を滞らせる懸念があります。我々としては、人のいない産業の現場から、いかに課題を見つけていくかを考えながら、開発を進めていく必要があるでしょう」(岡庭氏)

ユニファイドコントローラnv-packシリーズ「typeFR」

ユニファイドコントローラnv-packシリーズ 「typeFR」

これは過去にIoTを予見した先進的なジャンルだからこそ見える未来の課題である。