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逆境をチャンスに! 受け継がれる超電導技術の未来とは?


ガントリーを回転?!誰もが驚いた新発想とは

――2010年頃、放射線を発生させ、がんの患部に照射を行う構造体「ガントリー」に使用される超電導磁石の開発に携わったと前編で高見さんからお聞きしました。ガントリーを小型化して回転させることで、患者の身体を傾けなくても治療できるようになったのでしたよね。

重粒子線がん治療装置 回転ガントリー(協力:量研/放医研)

重粒子線がん治療装置 回転ガントリー(協力:量研/放医研)

高見氏:実は、このガントリー用の超電導磁石に、シリコン引上げ用で培った技術を応用したんです。シリコン引上げ用ではコイルの形を変形させましたが、この形をさらに改良し複雑化させると、ガントリー用の磁石になります。超電導線が少なくて済むため、より小型化できたのです。

シリコン引上げ用の技術が応用された

シリコン引上げ用の技術が応用された

加えてヘリウムフリー技術もここに生かされました。実は、従来、「超電導磁石を搭載したガントリーを回すなんてクレイジー」と言われていたんです。それもそのはずで、超電導状態にするためには液体ヘリウムが必要です。磁石を逆さにして、万一液体ヘリウムがこぼれるとなると、大変な事故になりますから。

しかし、シリコン引上げ用磁石の開発時に生み出した、冷凍機を使って超電導状態を作り出す技術のおかげで、誰もが実現不可能だと思っていたことを現実のものにできたのです

ガントリー回転試験。青いアーチ部分が超電導磁石。(協力:量研/放医研)

住吉氏:リーマンショックに伴う厳しい事業背景の中でも、技術を維持してきたことが、今の東芝の超電導技術につながっているのです。逆に言えば、私たちは超電導技術を次の世代へと継承していく義務があると思っています。

入社したての頃、私は超電導開発を始めていた先輩たちから、様々なことを教わりつつ、超電導技術に携わっていました。そのような中で東芝の超電導が成長していったのです。

だから、次の世代の高見さんに技術をきちんと伝え、高見さんにはさらにそれよりも若い技術者に継承していってほしいという気持ちを強く持っています。東芝には技術を継承していく土台があるはずですから。

住吉氏(左)、高見氏(右)

住吉氏(左)、高見氏(右)

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