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塗って作る、軽くて曲がる電池!? ペロブスカイト太陽電池の可能性


世界最大面積、世界最高効率実現の裏側

2018年6月、東芝とNEDOは、世界最大面積、世界最高エネルギー変換効率を実現したフィルム型ペロブスカイト太陽電池を共同開発した。

フィルム型ペロブスカイト太陽電池製造にあたり、東芝が採用したのが「メニスカス塗布法」。
東芝は、有機ELの研究をしていた2008年からこの塗布法を開発し、その後、有機薄膜太陽電池の製造法としてさらに技術開発を進めてきた。10年以上にわたる技術開発のノウハウがペロブスカイト太陽電池製造で花開いた。

「一度の塗布でペロブスカイトの膜を基板上に形成しようとするとペロブスカイトが早く結晶化してしまい、良質な膜ができません。これを、ペロブスカイトを形成するヨウ化鉛(PbI2)とヨウ化メチルアンモニウム(MAI)の溶液に分けて、1液目はPbI2溶液、2液目にMAI溶液の順番で塗布することで、基板上で結晶成長する速度を調整し、均一なペロブスカイトの膜を形成しました。その他にも、インクの組成を工夫したり、膜を形成する際の乾燥条件を工夫したりすることで、大面積でも結晶膜質の均質性を高めることに成功しました」(天野氏)


メニスカス塗布法

メニスカス塗布法
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こうして作られたフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールは、実用的と言われる900cm²に大きく近づく703cm²で、エネルギー変換効率も目標の15%に近い11.7%を実現した。さらに将来的には20%、あるいはそれ以上まで引き上げられる見通しで、当初、実用化想定は2025年とされていたが、早まる可能性もあると言われている。

開発したフィルム型ペロブスカイト太陽電池

開発したフィルム型ペロブスカイト太陽電池

「面積を大きくする難しさの他に、課題がないわけではありません。例えばフィルムを用いることによる耐久性を確保する難しさがあります。しかし、これまでのように建物の屋根に設置して、向こう20~30年の利用を見込むものと違い、改装などの事情に合わせてフレキシブルに付け替えられる特性を踏まえれば、20年までの耐久性の確保は必要ないかもしれません。」(水口室長)

将来の展望 農業ともコラボ!?

ペロブスカイト太陽電池が活躍する場の一つとして考えられるのが、太陽光発電と農業を農地で両立するソーラーシェアリング

「ペロブスカイト太陽電池は、薄く塗布することで透明度をコントロールすることができます。そのため、例えばビニールハウスに導入し、農作物を育てるのに必要な光を透過させながら、同時に農地で必要な電力を生成するようなことも可能になります。既に、その最適な比率を探るための実験を、国内で実施しています」(都鳥氏)

こうした特性を生かせば、オフィスビルや高層マンションの窓ガラスに発電モジュールを搭載することも可能ということになる。もはや都心型のメガソーラーが実現可能になりつつあるわけだ。

エネルギー事情を一変させる可能性を秘めたペロブスカイト太陽電池。さらなる高効率化、大面積化に期待したい。

ペロブスカイト太陽電池の実験機と 左から株式会社東芝 研究開発センター天野昌朗氏、都鳥顕司氏、水口浩司室長

ペロブスカイト太陽電池の実験機と
左から株式会社東芝 研究開発センター天野昌朗氏、都鳥顕司氏、水口浩司室長

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