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見て、考えて、動く! 受け継がれるロボットづくりのDNA


人間に代わって働くロボットの進化

従来のロボットは、決まった作業を繰り返し続けることで活躍してきた。これは今後も続くが、さらに人間に近い仕事ができるようになるためには、もっと多様な動作ができるロボットや、見て考えて動く自律的なロボットが必要だ。

その一例が、製造や物流の現場での活用が進められている、自動搬送ロボット(AGV)(※1)だ。
※1:Automated Guided Vehicle
人間が運転操作を行わず自動走行する搬送車のこと。

「当社グループの工場で稼働しているAGVは、搬送するだけでなく、ロボットアームによって自動で荷物の積み降ろしを行っています。床に引かれたラインを読み取って動く従来型のAGVと、レーザーや画像センサーなどのAIとを融合し、周囲の状況を把握して障害物を避けるなど、自律的に動く次世代タイプの開発も進めています。これができると、製造現場だけでなく物流現場でもAGVが活躍できると期待しています」(宮内氏)

SLAM技術(※2)によって地形や障害物を自動認識し、工場や物流現場で安全に物を運ぶAGV。これが一段高いレベルで実用化に至れば、労働力不足の解消に大いに貢献するに違いない。
※2:Simultaneous Localization and Mapping
自己位置の推定と環境地図の作成を同時に行う技術のこと。

物流現場での活躍が期待される次世代AGV(本研究開発の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務を受けて実施しております)

この動画は2018年11月05日に公開されたものです。

また、製造現場で各種部品の接合部分の強度をチェックする非破壊検査(※3)の分野でも、次のステップが近づいている。

※3:非破壊検査
機械部品や構造物を破壊せずに内部を検査する手法のこと。

「現在販売している『Matrixeye™ST』は、検査対象に超音波を当ててスポット溶接部分を検査するハンディタイプの機器で、人間が超音波プローブの当て方を微調整して検査していますが、自動車など溶接箇所が膨大な数に及ぶ場合はロボットに任せられないか、という要望があります。そこで、この微調整をAIにより自動化するアルゴリズムを開発し、ロボットアームと融合することで、自動検査を実現しようとしています」(宮内氏)

ロボットアームとAIを融合した最新の非破壊検査ロボット

この動画は2018年11月05日に公開されたものです。

このように、着々とロボット化が進められているが、現時点での課題は何か。

「当然、コストダウンと作業のスピードアップは重要な課題ですが、その他に重視している課題は安全性です。決まった動作を行う従来のロボット同士の環境だけでなく、予測できない動きをする人間と同じ空間で作業することを想定すると、やはり入念な安全対策が必要となります」(石川氏)

こうした課題が解消されれば、「やがて人はクリエイティブな仕事に専念する時代も来るでしょう」と石川氏。ロボットはただ人手に置き換わるだけでなく、限られた環境で最大限の生産効率を生むために、人と連携する存在になりつつある。

こうした技術はやがて、介護や家事などの不便を解決するために、家庭に進出することもあるだろう。現在のロボット開発の最前線には、そう思わせるだけの可能性が秘められている。