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東芝の技術者が教える 半導体開発入門


東芝の技術者が教える 半導体開発入門

この記事の要点は…

半導体の開発フローを分かりやすく解説!

開発途中の手戻りを防ぐ秘訣とは?

人類の歴史を初めからやり直すとしたら、人類は再度半導体を発明できるのか!?

「物心がついたときから、壊れた家電やパソコンから取った部品をいじって遊ぶことが大好きな子供でした。いわば半導体はおもちゃ。何らかの電子部品を見つけるとそれを分解し、中身を確認するのが楽しみだったんです。といっても半導体は、ぱっと見ではその役割がわかりません。自分なりに本で調べて勉強するうちに、すっかりこのジャンルの虜になっていました」

半導体とは、シリコンなど電気を通すものと通さないものの中間の性質を持つ物質のこと。だが、一般的には、そうした物質の性質を利用して作られる電子部品や回路の総称も指している。身の回りではパソコンやスマートフォンなど、「機械」と呼ばれるものにはほぼ使用され、昨今では自動運転に向けた車載用半導体などが大きく注目されている。

今回、幼少期からこよなく半導体を愛し、東芝で研究開発を手掛けて10年目になる佐野徹氏に半導体開発のいろはを教えてもらおう。

半導体開発のフロー

「現在の半導体は、私の幼少期とは比べ物にならないほど、サイズが小さく高性能になっています。半導体の技術が凄まじい速さで進歩を続ける分、研究開発では3~5年先の市場を予想し、そのときに求められる機能やアルゴリズムを考えなければなりません。半導体の開発は、市場予測のほか、顧客へのヒアリングなどを通し、どのような機能を持つ半導体にするか、細かくアプリケーションを決定するところから始まります」(佐野氏)

東芝デバイス&ストレージ株式会社 半導体研究開発センター 佐野徹氏

東芝デバイス&ストレージ株式会社 半導体研究開発センター 佐野徹氏

例に挙げて説明するのは、必要な機能を担う様々な回路を一つのチップに集約した半導体「システムLSI」、中でも、佐野氏が実際に携わっている画像認識プロセッサ「Visconti™」の開発フローだ。一般にシステムLSIは、プログラムに書かれた手順で動作するソフトウェアと、あらかじめ設計された通りにデータを処理し続けるハードウェアの組み合わせで成り立つ。佐野氏が担当するのはハードウェアの設計だ。

システムLSIのハードウェア(一例)

システムLSIのハードウェア(一例)

前述のように、アプリケーションを決定した後、ソフトウェアで担う機能とハードウェアで担う機能を分担。サンプルアプリをPC上で動かしつつ、ハードウェアの開発では、任された機能を何個の回路に分配するのか、入力されたデータに対して、どのように計算などの処理をし、どのような結果を出力するのかという仕様書を策定する。およその回路のサイズなどを決めるのもこのときだ。仕様書の作成後、それに基づき実装する。

半導体の開発フロー

半導体の開発フロー

「しかし、すんなりと実装に移れるわけではありません。進歩の速い半導体技術にキャッチアップすることも必要ですし、仕様が固まりかけたときに機能の追加の要望が入ったり、またチップ全体の性能や消費電力の関係から設計を見直したりするケースもあります」(佐野氏)

だが、佐野氏よると、こうした手戻りを最小限に抑えるためのポイントもあるという。

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