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時代は三次元へ フラッシュメモリの進化


時代は三次元へ フラッシュメモリの進化

2015年5月からSIMロック解除義務化が始まるなど、今後ますます利便性が高まり普及が進むとみられているスマートフォン。この秋にも各社から続々と新モデルが登場したが、スマートフォンは高機能化のスピードが著しく、4K動画など扱うデータ量も急増しており、1台に使うメモリ量は増え続けている。デバイスが進化をするためには、フラッシュメモリの性能向上が不可欠だ。

東芝は記憶容量を従来の2倍の256ギガビットに高めた3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH™」を開発し、9月からサンプル出荷を開始した。フラッシュメモリは、スマートフォン、SDカード、USBメモリ、デジタルオーディオプレーヤー、SSD(ソリッドステートドライブ)など身近な製品に使用されており、フラッシュメモリの性能向上が、私たちの生活に与える影響も大きい。

世界でも最高水準の性能となる「BiCS FLASH™」だが、同社がこれまで半導体の主力製品としてきたNAND型フラッシュメモリと比べ、どのような特徴があるのだろうか。最新技術の秘密に迫った。

NAND型フラッシュメモリの進化を支えた2つの技術

そもそもNAND型フラッシュメモリは、人体における細胞のように、膨大な量の「メモリセル」と呼ばれる素子からできている。「メモリセル」には、「浮遊ゲート」と呼ばれる電子を取り込む場所があり、その中に電子が「ある」状態と「ない」状態の、いずれかの状態を作ることができる。その状態の違いにより情報を記憶するというのが、NAND型フラッシュメモリの仕組みだ。

微細化や多値化による大容量化

つまり、NAND型フラッシュメモリの容量を増やすには、セル自体の数を増やすか、あるいは、ひとつのセルにより多くの情報を記憶できるようにするということが必要になる。

前者の方法は「微細化」と呼ばれ、メモリチップの中にある、目には見えない無数の配線を更に細くしていくことで、同じ面積の中でより多くの配線を引けるようにするものだ。セルは配線の交わる点にあるため、線の微細化が進めばセルの数も増え、それだけ大容量の情報を記憶できるようになる。

後者の方法は「多値化」と呼ばれ、電子が「ある」状態と「ない」状態の他に、電子が「少しある状態」「少しない状態」などを加えることで、記憶できるパターンを増やし、メモリの記憶容量を増やすことができる。

2次元構造から3次元構造へ

しかし「微細化」と「多値化」だけでは、限界がある。特に「微細化」は、たとえるなら「同じ面積の敷地の中にどれだけ多くの部屋をつくれるか」という問題と似ている。ひとつひとつの部屋を小さくすれば多くの住居を確保できるが、その分隣人との距離も近くなり騒音問題などトラブルが起きやすくなる。これはフラッシュメモリでも同様で、セルを小さくしすぎると、情報となる電子同士が干渉しエラーが起きやすくなってしまうのだ。

積層化による大容量化

そこで登場したのが「BiCS FLASH™」に使用されている、セルを上に積み上げていく「積層化」という技術だ。先の住居の例にならうなら、「同じ面積の敷地の上に高層ビルを建てる」という考え方で、部屋を上に積んだ分、横には広い部屋をつくることができる。そのため、セル同士の干渉が減りエラーが起きにくくなるので、データの高速処理が可能になる。また書き換え寿命も長寿命化するなど、信頼性も向上した。東芝では48層のチップを積み上げることができ、これは世界最高水準の技術になる。

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