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基礎研究と製品開発、二人の技術者が拓く、待望の自動運転の未来


途絶えかけた研究開発を救った1本の問い合わせ

自動運転が現実のものとなりつつあるなか、Visconti™は、今でこそ大きな期待のかけられる製品へと成長を遂げることができた。しかし、開発初期の2008年ごろは、決して順風満帆とは言えなかった。初代のVisconti™はビジネスとして成立する販売実績を残すことができず、結果として、Visconti™開発チームは解散を余儀なくされてしまう。

当時を振り返り岡田氏は言う。
「研究開発センターでも研究チームは解散し、車載向け画像認識の研究継続は風前の灯でした。」

そんな苦境のさなか舞い込んできたのが、ある自動車部品メーカーからの問い合わせだった。ちょうど、前を走る車をレーダーやカメラで認識してブレーキを制御することで、追突を避けたり、衝突時の被害を最小限に収めたりできる自動ブレーキ搭載車が話題となっていたころだった。そうした需要の高まりから、Visconti™に期待する問い合わせであった。

「そのお声がけがもう少し遅ければ、おそらくVisconti™の開発は途絶えていたでしょう」(岡田氏)

これがきっかけとなり社内でのVisconti™の持つ潜在価値が再評価され、経営陣による開発継続へのゴーサインが出されたのだった。

しかし開発は困難を極めた。「安全」と「安心」という自動車開発の根幹に関わる技術だけに、お客様が要求するレベルは想像以上に高かったのである。また、消費電力についても、非常に高いレベルを要求された。

「限られたリソースの中で、高性能と低消費電力を両立させることは簡単ではありませんでした。岡田さんのチームと議論を重ねつつ、お客様の求めるレベルを実現するため、メンバー全員が必死に開発に取り組みました」(宮森氏)
このようにVisconti™は、社内だけでつくり上げたものではなく、お客様の声を聞きながらともに生み出したものとも言える。東芝独自の技術に、実際にそれを使うお客様のニーズを盛り込んで初めて、技術は「製品」となるのだ。

「Visconti™の開発を通して感じたことは、お客様からの要望をただ待っているのではなく、先回りしてお客様が求める性能や機能を想定し、答えをいくつも用意しておくことなのです。そうすれば、東芝の強みを反映した製品仕様にすることが可能となります。その後のビジネスを考えると、こうした提案力こそが必要なのです」(岡田氏)

Visconti™として花開いた画像認識技術の未来は、さまざまな可能性に満ちている。しかし、当事者の二人でさえ、スタート地点では現在の姿を予想してはいなかった。

宮森氏が東芝に入社したのは、30年以上前。そのころ大規模集積回路(LSI)の開発はようやく始まったところで、配属された部署はできて2~3年、新人ばかりたくさんいるような部門だった。上司が手取り足取り指導してくれるはずもなく、皆が手探りで進めるしかなかった。
「しかし、苦労した半面、いろいろなことにチャレンジできる自由がありました。職場には、『これをやりたい!』『自分はこんなモノがほしい!』という思いが渦巻いていました。Visconti™もそんな熱い思いを持った人たちが引っ張ってきたから、今があるのだと思っています」(宮森氏)

実は、岡田氏も同様の経験をしていた。最初に配属されたのは関西の研究所。そこでは、ユニークなキャラクターの先輩たちが、自分のやりたい研究に没頭する自由な風土があったそうだ。

「私たちは、自分の研究が成功するかどうかわからない中、仕事をしています。そこで粘り強く研究を続ける最大のコツは、『自分が楽しいと思うことをやる』ことだと思います。たとえ依頼された案件であっても、その中から面白いと思うものを見つける。そんな姿勢を若手には望みたいです。」(岡田氏)

基礎研究サイドと事業サイドと、立場の違う二人の研究者。しかし二人の変革への情熱は変わらない。これからの未来、どんなことが起こり、どんなモノが求められるのか。その先の未来を探求し思い描きながら、部署や社内外の垣根を超え、一つのモノをともに生み出していく。社会をよりよい場所へ変えていく、Visconti™を携えた東芝の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

岡田氏と宮森氏

Visconti™は、東芝デバイス&ストレージ株式会社の商標です。

■関連リンク
Visconti™参照リンク(Clip):
https://www.toshiba-clip.com/detail/5886
製品紹介:
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/product/automotive/image-recognition.html
万年時計:
https://toshiba-mirai-kagakukan.jp/learn/history/toshiba_history/clock/index_j.htm
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