排ガスを食い止めろ!CO₂(二酸化炭素)の回収・利用・貯留とは?

2020/11/11 Jillian Ambrose Energy correspondent

排ガスを食い止めろ!CO₂(二酸化炭素)の回収・利用・貯留とは?

専門家によると、増大し続ける気候クライシスに立ち向かうためには、排出されるCO2(二酸化炭素)が大気中に放出されて地球温暖化を助長させることを防ぐ技術が必要不可欠である。しかしながら、その技術はどのような仕組みで、なぜ気候クライシスを食い止める闘いで重要な役割を果たすのだろうか。

CO2回収・利用・貯留(Carbon Capture, Usage and Storage: CCUS)とは

CCUSとは、主要な工場や発電所で発生するCO2が大気に到達して地球温暖化を助長することを防ぐ一連の各種技術を意味する。第一段階では、工場の煙突に溶媒フィルターを取り付け、放出される前にCO2を回収する。回収後は、利用または貯留できる場所にパイプで排出ガスを送ることができる。大半のCO2は石油燃料ガスが元々あった地下深部に注入され、気象に害を及ぼさない場所に貯留される。一部は、プラスチック製造、温室栽培、さらには発泡性の炭酸飲料に利用される。

CO2回収技術が利用されている地域

民間では約20件のCCUSプロジェクトが実施されているが、世界の排出炭素を一掃するには程遠い。初期段階で先を走るのは、アメリカ、カナダ、ノルウェー、中国である。出だしこそ時間がかかったものの、国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)によると、過去3年間に30件の新しいCCUSプロジェクトが合意された。IEAは、「排出炭素による地球温暖化を産業化前のレベルの1.5°C以内に抑えるには、さらに多くのプロジェクトが必要である」としている。イギリスでは、ハンバー川河口付近および北海石油・ガス産業の中心地であるアバディーンで、初期段階のプロジェクトが進行中である。

CO2回収が必要な理由

IEAによると、CCUSプロジェクトにより、全世界のCO2排出量を約1/5、気候クライシス対策費用を70%削減できる可能性がある。CCUSが必要な主な理由の1つは、肥料製造業者、製鋼所、セメントメーカーなどの重工業では、よりクリーンなエネルギーに適応するのが困難で高額な費用が必要となる。また、石油ガス由来の水素利用の可能性の扉を開けることも、CCUS開発が必要である主な理由である。

水素は燃焼による大気汚染が少なく、飛行機、電車、トラック、工場、さらには家庭用の暖房でも石油燃料に代わって使用できる可能性がある。ただし、CO2回収技術を使用して石油燃料ガスから水素を生成しなければ、排出炭素は大気に放出される。再生可能エネルギーを使用する電解槽装置で水分子を水素と酸素に分解して水素を生成することも可能だが、CO2回収技術を使用して石油燃料ガスから生成した水素を用いる場合に比べ費用がはるかに高額になる。

イギリスのCO2回収技術に対する取り組みの現状

イギリスは、コスト面の懸念からイギリス政府が2015年に石炭火力発電所と平行してCO2回収プロジェクトを立ち上げるという10億ポンドの計画を断念したが、その3年後、より少ない金額と重工業向けにCCUSを活用するという新たなアイデアを携えて閣僚協議を再開した。

協議再開以降、ナショナル・グリッドDrax、ノルウェーの石油会社Equinorなどの大手エネルギー企業は、ハンバー地域で本格的なCCUSプロジェクトに着手しており、アバディーンではイギリスの大学数校が別のプロジェクトを進めている。

ナショナル・グリッドは、気候に関する目標を達成するために、より多くの再生可能エネルギーとともにCO2回収技術を使用すれば、イギリスの電気系統からの排出炭素量は早くも2033年にはマイナスに転じると語っている。

 

この記事はThe GuardianのJillian Ambroseエネルギー担当特派員が執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

※本記事の文中リンクは英語のページに遷移します。

 

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