誰もが体に良い食料を手にする権利がある。ではなぜ、食料は大量に廃棄されるのか?

2021/03/05 consumergoodsforum

誰もが体に良い食料を手にする権利がある。ではなぜ、食料は大量に廃棄されるのか?

コンシューマーグッズフォーラム(CGF: Consumer Goods Forum)が開催したサステナブルリテールサミット(SRS: Sustainable Retail Summit)では、フードシステムや健康的な食事に関するトピックがたびたび取り上げられ、この2つの概念がどこでどのように重なり合っているのかを多くのパネリストが指摘した。

 

CGFは2020年のSRSより前に、世界の食料システムの本格的な改善の必要性をすでに理解していた。というのも、飲食のために生産された食料の約3分の1、推定約13億トンは毎年消費者に届かず、その一方、2019年には約6億9千万人、つまり約9人に1人が飢餓に苦しんでいたからだ。2020年の初めに発表された国連の報告書『世界食料・栄養白書』では、飢餓人口は2018年から推定で1千万人増加し、この5年間で6千万人近くの増加となっている。また、栄養と食品ロス・廃棄の関連性は、「栄養のための農業と食料システムに関するグローバルパネル」が最近発表した食料システムの未来に関する報告書でも注目されており、食料システムを通した食事の質を改善する政策的な解決策を示している。

 

SRSの多くのセッションで食品が注目されたことからも明らかなように、CGFの「より健康的な生活(Healthier Lives)」と「環境的サステナビリティ(Environmental Sustainability)」のディレクターとしてのそれぞれの立場から見て、2030年までに「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」を達成するには、食料システムの改善が世界にとっていかに重要か、われわれの業界は理解している。つまり、食事の栄養品質や、そうした食料の利用のしやすさを改善すると同時に、われわれは食事に適した食料の損失や、食料生産が環境へ与える影響の削減に取り組まなければならない。サプライチェーンにおいても、感染拡大が止まらない新型コロナウイルスによるパンデミックが世界規模で食料安全保障に影響を与えていることを考えると、回復力の高さと適応力の両方を備える必要性が際立った。

 

SDGsの達成に残された時間が10年をきった今、われわれは持続可能な食料システムの構築を2021年以降の最優先課題の一つに据えるべきである。われわれは、CGFのCEOが率いる一連の行動と共に、SDGsの達成に向けた歩みを加速させるために、消費財業界が今必要とされている大胆な措置を講じるための支援を行っている。

 

CGFのより健康的な生活のための活動への協力と共に、われわれはより健康的な食料の量的距離的な入手可能性、手頃な価格、質の向上に取り組んでいる。また、CGFの会員は、消費者が健康的で持続可能な選択をできるかどうかは、自らが果たす役割にかかっていることを理解している。現地の「より健康的な生活」への取り組みと合わせて、われわれはステークホルダーと協力して、より健康的でさらに持続可能な食品への取り組みを支援するビジネスモデルの調査、実験、改革に取り組んでいる。例えば英国では、顧客がより健康的な食品を容易に選択できるように、小売業者や製造業者による店頭での支援(すなわち、価格設定やプロモーション、棚の表示や配置など)を過去1年間試行した。

 

一方、CGFの食料廃棄に対する一連の活動は、サプライチェーンの管理と改革の3つの重要な要素に優先順位をつけて、会員のサプライチェーン内の食料ロスを半減させる支援を行っている。その3つの要素とは、適切な食料廃棄管理と報告手順、この問題に関するサプライチェーンの動員拡大、そして、食料の30%が廃棄されている収穫後における重要な関与である。さらに、この一連の活動は、WRAP(Waste & Resources Action Programme)、WRI(the World Resources Institute)および、CGFのマネージングディレクターであるWai-Chan Chanがサポーターの一人となっている「チャンピオンズ12.3」のネットワークなどと提携して、これらの複雑かつ重要な課題に関してメンバーの調整を支援している。こうした取り組みは必ずしも消費者の目に触れるものではないが、アルゼンチンのCGFメンバーによる最近の研究で明らかになったように、サプライチェーン、特に生鮮食品のサプライチェーンにおける廃棄を確実に減らし、より多くの食品が消費者の食卓に届くようになるので、さまざまな取り組みが食料システムに与える影響は非常に現実的だ。

 

私たちが直面している食料をめぐる課題の克服には、協力と集団的アクションが不可欠である。つまり、世界的な問題として世界規模での対応が求められている。国連のAntónio Guterres事務総長は、「世界が毎年10億トン以上の食料を無駄にしている時代に、飢餓が増加傾向にあるのは容認できるものではない。人類として、飢餓のない世界の実現が私たちの義務である」と述べている。

 

この行動喚起を念頭に置いて、CGFは2021年に開催される、国連初の年に一度の食料システムサミットを支援したいと考えている。Wai-Chan Chanはすでに、食料システムのサポーターになることでネットワークを準備し、情報を共有し、当サミットを支援することを約束している。また、私(Sharon)も、すべての人々が安全で栄養価の高い食品を容易に手に取ることができることを目的とした、「栄養改善のためのグローバルアライアンス(GAIN:Global Alliance for Improved Nutrition)」においてCGFのパートナーが主導するアクション・トラック1の公式メンバーとなっている。

 

このサミットに先立ち、2020年のSRSの「健康と持続可能性」に関するセッションにおいて、われわれは国連事務総長特使のAgnes Kalibata博士に話を伺うことができた。また、世界食料デーにも博士からのメッセージが届いた。Kalibata博士はCGFのメンバーに対して、このサミットの支援に向けた明確な行動を求める演説を行い、消費財産業は毎日何十億もの人々の手に彼らの商品を届けるという、重要な役割があると強調した。

 

われわれはCGFでさまざまな連合を主導しているが、健康と持続可能性の両分野におけるCGFメンバーの努力が、食料システムにおいて好ましい変化の促進に役立っていることを意識しながら、Kalibata博士の呼びかけに応じている。われわれは、地球を守り、持続可能な雇用を提供しながら、すべての人々のために健康的な食料を十分生産できる世界を実現させるという大志を共有している。2030年がすぐそこに迫り、われわれの持続不可能な食料システムの至る所で目に見える形で影響が出ている今、こうした行動はかつてないほど重要である。われわれには無駄にする時間も食料もないのだ。

 

この記事は3BL Blogsのconsumergoodsforumが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

 

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