COVID-19で加速する、2021年の3つのテックトレンド

2021/03/15 Honeywell and Usman Shuja

COVID-19で加速する、2021年の3つのテックトレンド

パンデミックの恐怖に晒された2020年、私たちがテクノロジーに求めるもの、期待するものが変化している。中でも大きな影響といえるのが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によってデジタルトランスフォーメーションが加速化されたことである。従業員が在宅勤務をするようになったのもその一例で、これに合わせて企業は、リモートワークを容易にするAIシステムや、そのシステムをサポートするコンピューティング性能を必要としている。

 

その中で企業は、昨今で変わってしまった現実と今後の新しいテクノロジーの登場に備えるにあたり、2021年には自社の資源をどのように集中させるべきか、という疑問を抱いていることだろう。2021年以降に大きな注目を集めると予測する3つのトレンドを、以下に紹介する。

 

1. AIが実用レベルに

AIの進歩は、ほぼすべてのビジネスに大きな価値を付加できる地点にまで到達している。COVID-19により、リモートソリューションのニーズが生まれデジタルトランスフォーメーションの必要性を切迫感をもって感じることになった。ボストンコンサルティンググループのレポートによると、デジタルトランスフォーメーションの加速を計画している企業は80%を超えるものの、その目標値を達成、または上回っている割合は30%に留まっているという。

 

企業におけるAIプロジェクトの多くは小規模だ。マッキンゼーによる「2020年AIの現状(The State of AI in 2020)」は、収益に大きな影響があった企業は4分の1に満たないと報告している。これは、フィジカルとデジタルの要素を合わせ持つ産業でとくに当てはまる。

例えば、自律的な製造施設や製油所、さらには昨今のコロナ禍においてはオフィスビルでも、リモートからの操作が大いに必要とされている。基盤となるテクノロジーはすでに存在するものの、規模拡大には依然として懸念事項があり、デジタル時代のリーダーには2021年、その障壁を克服するという責務が課されることになる。規模拡大の障壁としては、統制のとれたアプローチや、企業全体における共通認識、および信頼できるパートナーのほか、データの流動性など管理方法の変更が欠如していることが考えられる。

 

ここで言うソリューションの中には、データサイエンティスト以外でも運用できるソリューションを構築することが含まれており、つまりリモートから操作する人は誰でもプログラムを管理することができる。もしテスラが、データサイエンティストだけが運転できる自動運転車を発明したとしたら、その車のセールスポイントは一体何だろうか。

 

テクノロジーとは、エンドユーザーがデータセットやコードを細かく調べなくてもひな形を操作できるものでなければならない。つまり、AIはバックエンドで手間のかかる作業を行いつつ、説明やUIがユーザーフレンドリーであれば、利用者は安心してそのテクノロジーを使える。例えば、施設管理責任者は、スターバックスでコーヒーを飲みながらタブレットで世界中の施設をまとめて管理できるようになるのだ。彼らはオペレーションや、施設使用者の状況、コストなどを完全に可視化することにより管理業務ができ、さらには自動オペレーションも可能となるだろう。

 

2. ディープラーニングでソリューションがさらに自律的に

ディープラーニングのパイオニアであるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)博士は最近、「ディープラーニングは『すべて』をできるようになる。言い換えれば、人間の知性すべてを複製できるようになる」と、MITテクノロジーレビューに語っている。ディープニューラルネットワークは、数学関数における最も関連性の高いサブセットの近似値を求め、推論の課題の克服を期待させる、並外れた能力を有していることが実証されている。

 

しかし、完全な自律化の実現に向けて、真っ先に克服しなければならないステップがあると私は考えている。カーネギーメロン大学のマヌエラ・ヴェローゾ(Manuela Veloso)教授が言うところの「共生的な自律(symbiotic autonomy)」である。この共生的な自律では、フィードバックと修正のメカニズムがAIに組み込まれ、人間と機械が相互に流動的に情報をやり取りする。

 

例えば共生的な自律では、直接的なフィードバック(Netflixのサムズアップ・サムズダウン(親指の上げ下げ)による評価など)ではなく、携帯電話のバーチャルアシスタントと話し合って目的地への最適なルートを決定する、といったことが可能になるだろう。AIはこうした形でのやり取りにおいて、なぜこのルートを勧めるのか、なぜこうするように指示するのか、といった理由を説明することができるようになるため、より自然な会話ができるようになる。

 

ディープラーニングにより、ニューラルネットワークは複雑な数学関数をより単純なものに近づけることができるため、増え続ける要因にも対処できるよう少ないコンピューティングリソースでスマートな決定を下すことができ、それが自律化実現の要因となる。新興企業からトップテクノロジー企業、大学に至るまで、こうしたディープニューラルネットワークの能力の研究に多額の投資が行われていくことを、私は期待している。

 

完全な自律ソリューション実現に向けたこのステップは、AIを大規模に実装するための重要なステップとなる。複数の施設、従業員、サプライチェーンを自律的に運用しているグローバル企業で、企業全体を一括で可視化してコントロールできる企業運用管理システムの実現を想像してみてほしい。ここのシステムはシステム単体でのオペレーションや学習もも可能だが、間違いが起こった時には人が介入して教えることができるのだ。

 

3. パンデミック終息を目指す取り組みが、量子コンピューティング研究を加速

量子コンピューターは、ソリューションの逐次処理ではなく並列処理が可能であるため、複雑なアルゴリズムを処理する計算能力を備えている。量子コンピューターがワクチンの開発と供給にどのように影響するかを考えていく。

 

まず創薬の段階で、研究者は新しい分子をシミュレートする必要がある。このシミュレーションは、現在の高性能コンピューターで行うのは非常に難しいのだが、量子コンピューターがこの問題解決に最終的に役立つと考えられている。量子コンピューターは、分子である「量子システム」に位置付けられるものだが、結合エネルギーと化学的転移の強度という、どの創薬の前段階でも必要となるものをシミュレートすることができる。

 

また、AIと量子コンピューティングの可能性は、ワクチンの開発に留まらない。ワクチンの製造および供給に関わるロジスティクスにはコンピューティング上の大きなチャレンジを伴うが、これも当然、量子コンピューティングとAIを組み合わせたソリューションが適している。

 

量子機械学習はごく最近誕生した、非常に有望な新しい分野であるが、投資家の注目を集める大きなきっかけを必要としている。テクノロジーに先見の明がある人は、特にナノ粒子の理解、分子地図と原子地図による新素材の開発人体構造のより深い観察といった分野で、この分野が将来どのような影響力を持つのかをすでに理解し始めている。

 

また、最も成長を期待したいのが、ここまで紹介したシステムの研究が相互に作用し合うことである。これらのシステムが組み合わさることで、ただ一緒に利用するよりも多くの結果を生み出し始めると私は確信している。AIと量子コンピューティング、5GとAIといった、すでにつながりのあるテクノロジーの組み合わせはあるが、これらのテクノロジーがすべて連携することにより、飛躍的な結果を生み出すことができる。

 

AIや量子などのテクノロジーがバイオテクノロジーにどのような影響をもたらすのかを考えると、私は興奮を禁じ得ない。そこには超人的な能力が秘められているかもしれないのだ。これ以上にエキサイティングなことが他にあるだろうか。

 

Usman Shujaは、Honeywell Connected Enterpriseのコネクテッド・ビルディング部門におけるVP兼ゼネラルマネージャーです。

 

この記事はVentureBeatのHoneywellおよびUsman Shujaが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

 

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