SDGsにおける企業の情報開示:その課題と可能性

2021/04/15 globalreporting

SDGsにおける企業の情報開示:その課題と可能性

2016年のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の発表以来、SDGs目標12:「つくる責任つかう責任」でも採択されているように、「アジェンダ2030」達成に向けた取り組みでの民間セクターの役割は広く認識されてきている。しかし、企業がこれらのグローバル目標に向けて実際にどれほど貢献しているかを評価するには、当該企業の取り組みや影響についての情報公開を進めて、透明性をより高める必要がある。

 

グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI: Global Reporting Initiative)はこの4年間、SDGs推進活動の成果を評価するように、企業を主導してきた。SDGs達成に必要な行動の10年(Decade of Action) を見据えると、民間セクターの貢献を増やす活動行うなど、さらなる進捗が必須である。

 

これまでの進展

2020年の終わりに、GRIと国連グローバル・コンパクトにより、4年間のSDGsの情報開示に関するアクション・プラットフォームがまとめられた。ここには、わかりやすいSDGs報告書の作成に貢献したコーポレート・アクション・グループ(CAG: Corporate Action Group)という、ビジネス担当者同士を繋げ共に協力し学び合うピア・ラーニングの環境も含まれている。

また、CAG参加企業への調査により、以下のことが明らかになった。

 

  1. ビジネス的な観点からSDGsに対してどう取り組むべきかが明確化された
  2. SDGsに関するパフォーマンス測定方法が改善された
  3. 最も関連性の高いSDGsの優先順位付けが改善した
  4. SDGsとビジネス意思決定プロセスとの統合が推進した

 

しかし一方で、多くの企業が自社のSDGsへの貢献を理解して開示するという点に依然として難しさを感じており、SDGsにおける企業の情報開示をさらに適切で効果的なものにする余地があることも、この調査結果から明らかになっている。

 

データ品質の向上とギャップの解消

特に見落とされがちなのは、SDGs達成という全体目標の中で、SDGsの個々の達成すべき目標に対して優先順位付けをした報告や、SDGsの達成すべき目標と企業の事業戦略を結び付けた報告である。全体として、SDGs達成を念頭に置いた重要なトピックと企業活動の優先事項との間には、より深いつながりが必要である。また、SDGsの優先事項と、企業が事業を展開する国や商圏への貢献との関連性をさらに調査する必要があることもわかっている。

 

最も重要なことは、SDGsにおける企業の情報開示は多くの場合、企業がSDGsに対して行う貢献に焦点を当てており、マイナスの影響に対する明瞭な報告がないことである。この問題は、2020年12月に実施されたKPMGの調査でも触れられている。

 

影響力のある情報開示

バリューチェーン全体にわたるSDGsの優先順位の設定は、SDGsへの貢献と業績との因果関係を実証するのと同様に、複雑な作業である。さらに、SDGsの目標は相互に関連し依存しているため、企業はプラスの影響とマイナスの影響の間の相乗効果とトレードオフを明らかにして考慮する必要がある。

 

SDGsへの企業の影響を定量化し、その根拠や状況などを、SDGsにおける社会的な
しきい値やプラネタリー・バウンダリー(地球の限界)などを考慮しながら、明文化するための取り組みを強化していく必要がある。そのため、「活動」や「成果」の評価を超えて、「成果」や「影響」をどのように開示するかに焦点を当てるべきだ。この考えは非常に重要である。企業は上記の取り組みによって業績を管理し、その影響に対する説明責任を示すことができるからである。

 

ステークホルダーに価値のあるSDGsの情報開示を行う

企業がどのようにしてSDGsの目標に沿った製品、サービス、ビジネス戦略を展開しているかなど、SDGsに対して企業がどう貢献しているかについての関心が、政策立案者、投資家、消費者、労働組織、市民社会といった各方面のステークホルダーから多く寄せられるようになっている。また、企業は質の高いデータやバランスの取れた報告を行うことで、進捗を明らかにすることが、様々なところから求められている。

 

ただし、企業に対する期待やデータの要求は、ステークホルダーによって異なる。よって、企業がより戦略的で、関連性の高い情報を提供するためには、以下の手順をとるとよい:

 

  • ステークホルダーがその企業のSDGsに対するパフォーマンスや貢献度合いを評価できるように、集約された情報や細分類された情報を提供する
  • SDGsに関する長期的なパフォーマンス目標を設定し、進捗状況を定期的に報告する
  • 事業戦略がSDGsとどのように一致しているかを明確に示す

 

企業とステークホルダーの両方にとっての重要課題に関して、積極的にコミュニケーションを取ることが重要である。ステークホルダーは企業の持続可能性に関するパフォーマンスと影響を評価するために必要な情報を提供してくれるだけでなく、SDGsに貢献する重要課題に対する意思決定を下すことすらできるのである。

 

SDGsの情報開示を通して、事業活動を推進する

これまでの進展と今後の可能性に触発され、SDGs達成の推進力となることを期待して、GRIは企業のSDGsの情報開示に関するビジネス・リーダーシップ・フォーラムを立ち上げた。このフォーラムは2020年3月に発足し、参加企業は主に、持続可能性についての情報開示に関する実践的な見識を形成し、情報開示の品質向上や戦略的関連性に焦点を当てた報告ができると考えられる。

 

このフォーラムはオンラインセッションを中心とした構成で、企業のレポート作成者に加え、投資コミュニティ、政府、規制当局、サプライチェーンのメンバー、市民社会、学界といった、主なステークホルダーの団体の代表者が一堂に会する場となる。

 

この4年間の取り組みから、企業とステークホルダーはどちらも、SDGsに関する戦略的かつ関連性の高い情報が有益であることがわかっている。持続可能性についての情報開示は、SDGs達成に必要な変革を促す重要な推進力である。「行動の10年」とパンデミックからの復興に目を向けたとき、意義深いSDGsに関する企業の情報開示を行うことが、かつてないほどに求められている。

 

この記事は3BL Blogs のグローバルレポートを元に執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

 

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