AIで製造業がさらに進化する

2021/04/28 Oleksii Tsymbal

AIで製造業がさらに進化する

産業用モノのインターネット(IIoT: Industrial Internet of Things)、人工知能(AI)、機械学習、アドバンスト・アナリティクスの進歩により、インダストリー4.0への移行がここへ来て急激に進んでいる。企業は競争力を維持するために、機器の故障をメーカーに警告し、メンテナンスの予定通知を設定し、品質管理方法を改善し、プロセスを自動化するといったことを、AIを活用したIoTツールを利用して行っている。

機械学習によるプロセス最適化

機械学習アルゴリズムを過去のエネルギー消費履歴に適用することで、エネルギー消費のパターンや傾向を検出でき、これにより将来のエネルギー消費量を予測することが可能になる。

 

例えば、製造設備が高品質の製品を生産しているものの、生産コストが高い場合、データがこの設備がエネルギーを使い過ぎていることを明らかにする可能性がある。この場合、データサイエンティストはエネルギー使用の周期的なパターンを明らかにする自己回帰モデルを実行することになる。ディープニューラルネットワークはパターンを定義して検出し、エネルギー使用量を迅速に予測できるため、その結果をもとに必要に応じた生産量を管理できる。

 

このようにデータ品質を改善することで、AIを利用したIoTセンサーに入力される情報が正確になり、カスタマイズされ、ユーザーの興味や関心、そして、利用しているツールに合った適切な情報を手に入れることができるようになる。

機械学習による予知保全

作業量が多かったり、稼働時間が長かったりする製造拠点では、機械学習を予知保全に利用することができる。多くの場合、機械学習モデルを利用することで、工場内の機械や設備の不具合、障害などによる全体的なシャットダウンを防ぐことが可能になり、少なくとも製造時間のロスを軽減することができる。

 

前述の通り、機械学習モデルの設計にあたってはデータの品質が結果を左右する。しかし、期待する結果が得られるような最適なモデルを選択することも重要なステップである。製造部門内で頻繁に発生する問題に対処するためには、複数の機械学習モデルが使用される。

 

異常検知には、通常のシステム動作と障害が起こった時の動作を比較するという手法が取られる。機器の一部で基準値から外れた値が検知されると、モデルはその機器にフラグを立てる。このフラグを元に、現場監督と保守点検スタッフは問題を調査し、必要に応じてその場で修正できる。

回帰モデルを使用することで、機器の残存耐用期間を予測できる。このモデルでは使用履歴と静的データを比較して、機器が故障するまでに生産を継続できる期間を予測する。製造業者はこの予測により、メンテナンスに必要なダウンタイムの予定を立てる前に、受注をさばくために必要な機器の稼働期間や負荷をどの程度に設定すれば良いか知ることができる。

 

また、分類モデルを使用することで、選択した期間内に起こりうる障害パターンを予測できる。この障害には、重大な生産量の低下を引き起こすものから日常的に起こるものまで、様々なものがある。保守点検チームは、メンテナンスをいつ、どのようにスケジュールするかを判断できるようになる。

コンピューターの目による品質管理

AIは製造プロセスを改善できるだけでなく、製品の品質管理を助けることもできる。コンピューターイメージング技術と高解像度な画像データを使用することで、AIを利用したアルゴリズムで効率的に品質チェックができる。

 

AIによる目視検査は、製造業者が製品の品質をリアルタイムで監視する、費用対効果の高い方法だ。品質管理にコンピューターの視覚を使用することは、規制の厳しい業界の製造業者にとっては特に有用である。例えば、アウディなどの自動車メーカーは、品質管理チェックを補助する目的でAIを使用している。

 

カメラをベースにしたコンピューターの目視システムでは、高解像度の画像とGPUテクノロジーを利用して部品をスキャンする。このシステムではリアルタイムでのビデオ処理が可能であるため、AIによる品質管理チェックでは、生産中に突然品質の低下が検知された場合、監督者に警告することができる。

 

各部品はスキャンされた後、正常な部品の履歴画像と比較される。これは、ディープラーニングとニューラルネットワークを統合した手法を採用することで実現したシステムである。このテクノロジーは、個別の物体領域を抽出するインスタンス・セグメンテーションを用いたアルゴリズムを元に開発され、他のコンピュータースクリーニングよりも高い精度を誇っている。このシステムは部品の表面に見られる欠陥の画像を常に収集しているため、品質管理システムは継続的に改善されていく。履歴画像と比較して基準を満たさない部品は、AIプログラムによってフラグが立てられ、選別エリアから弾かれる。

エッジAI:製造業の未来

IoTの実用例からわかることは、製造業者はエッジAIを利用することでIIoTによるプロセスを強化できるということだ。

 

エッジAIテクノロジーの大きな特徴は、クラウドや通信の帯域幅に依存しない点である。このテクノロジーを製造現場に導入することで、同じネットワークに接続されているデバイスが多すぎる場合に起こる通信速度の低下を避け、帯域幅の制限を緩和できる。そして最終的に、生産サイクルを早めて生産量の向上につなげられるのである。

 

私たちは、新しいテクノロジーを導入することでさらに洗練されたエコシステムが構築されている事例を数多く目にしている。日本の産業用電子機器メーカーの株式会社ダイヘンは、エッジAIとデータアナリティクスを利用することで、変圧器の製造で必要だったデータの手動入力にかかる時間を、年間で5000時間削減することに成功した。

 

現代の製造システムは、稼働率が90%に届いていないという。機械の故障などが原因となり、残りの10%を埋めることができないのだ。エッジAIの核となるアイデアは、稼働中のシステムを決して停止させないことである。今後スマートシステムに投資する製造業者が増えていけば、こうした投資が世界規模で経済の効率化を大いに高めていくことだろう。

 

この記事はTechBullionのOleksii Tsymbalが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

 

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