AIがいかにしてサプライチェーンの運用を簡素化・合理化・強化するか

2021/07/14 Arthur Cole

AIがいかにしてサプライチェーンの運用を簡素化・合理化・強化するか

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックに伴う規制が緩和されつつある今、世界の経済活動は回復基調にある。しかし、操業停止をなんとか切り抜けたサプライチェーンなど通常状態への回復は何も問題がなかったわけではない。

 

とはいえ、これまでの10年で主流だった、手動による操業体制に戻りたいと強く思う組織はほとんどない。経営層における高度な自動化とAI(人工知能)へのシフトは、パンデミック前からすでに進行中だった。そしてこの変化は、ますますデジタル化される経済のニーズを満たすために、オペレーションの簡素化・合理化・強化の動きを加速させている兆候がある。

準備は整った

1,000人以上の企業幹部を対象にNTT DATAとOxford Economicsが最近行った調査では、ビジネス・リーダーの4分の3以上が、重要な事業分野のみあるいは全社的に、試験的なプログラムとしてAIを導入していると回答した。こうしたAIの導入で取り組もうとしている最大の課題は、依然としてサイバーセキュリティが最も多く、サプライチェーン管理が僅差で2位だった。しかしながら、もっと幅広く活用するために最大の障壁になっているのは、その技術が複雑だからだ。最大の恩恵を生み出すには、広範なプロセスや異質なインフラに対して、この技術を横断的に展開する必要がある。

 

それにもかかわらずほとんどの組織は、AIをサプライチェーン管理の次のステップだと捉えている。単にパンデミックからの回復のためだけでなく、将来的に競争優位性を維持するためだ。機械学習(ML)やその他のAIは、トラック輸送や運輸といった、これまではテクノロジーには疎いと思われた業界にまで浸透している――AIによる輸送管理プラットフォームのプロバイダー、PCS Softwareの最高技術責任者(CTO)であるPaul Beavers氏は先ごろ、『Supply & Demand Chain Executive』にこのように書いていた。データ内に隠れているパターンを見つけ出す能力があるAIは、帰路で発生した空荷走行距離を減らしたり、特定の貨物について最適な輸送手段を特定したり、荷積み、燃料補給、その他の作業を合理化したりすることで、コストを削減し生産性を向上できる。

 

しかしAIをサプライチェーンに適用するということは、単にさまざまなプロセスにAIを使ってみて何に効果があるか判断すればいいという簡単な話ではない。Noodle.aiの開発担当者Mike Hulbert氏は、サプライチェーン管理情報サイトSupplyChainBrainの中で、生産性を向上させる重要な要素としてデータの数字に焦点を当てるもっと戦略的なアプローチが必要となると書いている。

リスクを管理する

これを実現する1つの方法に、AIを使ったリスク評価がある。最近の管理ツールは、優先順位を付けずに従業員に洪水のようにアラートを浴びせてしまいがちだ。AIはリスクを数値化できる。そのため、効率的な運用にとって最も深刻な弊害が何かを、組織に分かりやすいよう視覚化できる。たとえその問題が時間や専門知識を必要としても、価値ある支出を行い、最も望ましい結果を生むにはAIと人間がどう力を合わせるべきかの解決法を示してくれる。

 

サプライチェーンでのAIにまつわる考えは、ほとんどが現在のプロセスをいかに強化してくれるかというものだ。しかし市場が新しい時代へと進化していく中、AIは、高度に仮想化されたクラウドベースのビジネスモデルにサービスを提供する、まったく新しい形の多層構造の動的チェーンの作成と管理にも役立ちます。今日新たに出現しているオムニチャネルの環境でさえ、顧客と接するインフラ、倉庫、輸送、受注から配送までの全体、その他のさまざまな異なる要素の間での、正確な調整が必要となると、Global Trading MagazineのRumzz Bajwa氏は言及していた。このほとんどは、事業のスピードに合わせるべく自動化する必要がある。そしてそれは、人間が合間合間に監視しつつ、互いにコミュニケーションをする高度な知的システムによってのみ実現できるだろう。

 

AIは、配置されたらすぐに魔法を生み出すようになったこれまでのテクノロジー開発とはまったく異なるという点は留意が必要だ。AIは、他の従業員同様に、訓練し、改良し、経験を積ませていかなければならない。飲み込みは確かに速いが、それなりに間違いもする。パンデミック後の移行において、重要な供給ラインを再スタートさせるという課題について、AIが瞬間的な解決策を提供してくれる、ということはないだろう。しかし、事業活動におけるAIによる真の恩恵は、長期的に見ればはっきりしてくるはずだ。

 

この記事はVentureBeatのArthur Coleが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

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