2035年までにロサンゼルス市が100%クリーンエネルギーへの移行を達成すると決議

2021/10/06 Jason Plautz

2035年までにロサンゼルス市が100%クリーンエネルギーへの移行を達成すると決議

概要: 

  • ロサンゼルス市議会は、2035年までに100%クリーンエネルギーへ移行することを2021年9月に決議した。この移行はバイデン大統領の国家目標に沿ったものであり、市が当初定めていた計画から10年の前倒しを目指す。
  • 同市のLA100プランは、天然ガスによる発電を風力、太陽光、蓄電池に置き換えると同時に、エネルギー効率や送電の改善を目指すものである。これは市議会で審議されて、12対0の賛成多数で承認された。
  • ロサンゼルス市議会は、ロサンゼルス水道電力局(LADWP)に、クリーンエネルギー関連の仕事において環境的および経済的に恵まれない地域からの雇用を増やし、「プロジェクト労働協約、一般的な賃金、および対象となる雇用要件の確保」に焦点を当てるように指示する、公平な雇用計画の実施を決議した。同市は、クリーンエネルギーへの移行に関連して約9,500件の新規雇用が創出されると見込んでいる。

詳細:

今回ロサンゼルス市が決議した目標を受けて、アメリカ最大の公益事業団体であるLADWPは、国に対して1つのモデルを示すことになるだろうと後援者に言わしめたアグレッシブな移行を軌道に乗せるべく舵を切った。カリフォルニア州ではディキシー(Dixie)とカルドア(Caldor)での山火事との戦いを余儀なくされ、国連の気候変動政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)において著者が「人類に対する緊急警報(Code Red for humanity)」と呼ぶ提言を発行してからわずか数週間後に、ロサンゼルス市議のMitch O’Farrell氏は、今回の2035年に向けたアグレッシブな目標は不可欠なものであるとコメントしている。

 

O’Farrell氏は、同じく市議のPaul Krekorian氏と共に2035年目標達成の法案を市議会に上程する際、「LA100は夢想家による見せかけの計画ではありません。危機に瀕した世界を救うための作業計画です」と述べている。

 

国立再生可能エネルギー研究所(NREL: National Renewable Energy Laboratory)は2021年3月、ロサンゼルス市からの委託により、同市が停電や経済の混乱なしにクリーンエネルギーへの移行を10年以内に98%、2035年までには100%達成できると結論づけたレポートを発表した。このレポートでは実際、経済全体のモデルを用いて経済的混乱が論じられており、「雇用件数390万件、年間生産高2,000億ドルというロサンゼルス市の経済全体の規模を考えると、経済的混乱は小さいだろう」という報告と合わせて、クリーンエネルギー産業で数千件の新規雇用が創出される可能性があることが言及されている。

 

ただし、この目標を達成するには、風力資源や太陽光資源の大幅な拡充と、エネルギー需要を削減する効率化対策の両方が必要となる。NRELの調査ではロサンゼルス市が100%クリーンエネルギーの目標を達成するための手段がいくつか示されているが、そのすべてが、ヴァレー発電所(Valley Generating Station)をはじめとする市内のガス発電所の停止を必要とするものであった。ロサンゼルス市では、調査対象である2021年から2045年の間に平均して年間470~730 MWを供給できる風力発電、太陽光発電、蓄電池を導入する必要がある。この調査では2045年まですべてをモデル化し、同市が2035年以降も再生可能エネルギーを継続して追加すると想定している。調査で特に強調されているのが、一戸建てや集合住宅の屋上太陽光発電が電気料金の削減と再生可能エネルギーの生成に大きな役割を果たすことである。 

 

2021年9月に市議会で行われたプレゼンテーションで、LADWPのゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアのMartin Adams氏は、建物および輸送の電化を鑑みてLADWPでは2035年までに現在の2倍の電力を供給することを計画していると述べた。また、NRELの報告書では、LADWPは同市内および周辺の市で信頼性の高い新しいエネルギー生成手段が必要となることが記されている。Adams氏の話では、こうしたニーズを満たす可能性があるのがグリーン水素であり、水素を動力源とするタービンプラントが長期貯蔵と必要に応じて電力を供給する役割を担うとのことだ。LADWPでは、現在ロサンゼルス市の電力の5分の1を供給しているユタ州のインターマウンテン発電所(Intermountain Power Plant)で水素発電システムの試験運用を計画している。

 

アメリカ最大の天然ガス配給業者であるSouthern California Gas Companyは声明の中で「水素や再生可能な天然ガスなどのクリーンな燃料は将来のネットゼロ達成に不可欠であり、信頼性の高い電力網を促進し、運輸や産業など電化が困難な産業分野からのCO2排出の抑制につながる」と記しており、クリーンな水素の利用を促進させるためにEUで働きかけている点を述べた。Sempra Energyの子会社はこの春、2045年までに温室効果ガス排出量ネットゼロを達成することを誓約している。

 

Adams氏は、ロサンゼルス市がクリーンエネルギーへの移行を達成するには数百億ドルのコストがかかる可能性があるものの(NRELレポートでは570億ドルから870億ドルのコストがかかると推定されている)、その作業の多くは既存のインフラの改修のために「追加」される可能性があると付け加えている。アメリカ議会の複数の民主党員は、グリッドの改善のコスト730億ドルを含む1兆ドル規模のインフラ法案と、クリーンエネルギーへの移行に必要な高額な送電網構築への資金提供につながる、3.5兆ドルの予算調整法案の可決を目指して尽力している。

 

NRELレポートの諮問パネルに参加した、Food&Water WatchのシニアオーガナイザーであるJasmin Vargas氏は、目標達成への取り組みは「エキサイティング」であると述べる一方、LADWPは「汚染を引き起こすプロジェクトと最前線で向き合い、食い止めようと取り組んでいる」コミュニティに手を差し伸べる必要があると強調している。LADWPは先月、2年間の株式戦略プロセスに着手し、利害関係者への働きかけを含む独自の長期資源計画プロセスを構想している。

 

「非常に幅広い多様なコミュニティのリーダーと交流して声を聴く」ことで、クリーンエネルギーへ移行するメリットが市全体で、特に、化石燃料による汚染の影響が深刻なコミュニティで実感できるようになる、とVargas氏は言う。また、同氏はこう述べる。「不平等こそ私たちが解決に乗り出していることです。グリッドに何メガワットのクリーンエネルギーが投入されるか、ということ以上に真摯に取り組むべきなのです。」

この記事はConstruction DiveのJason Plautzが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

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