長距離ドライバーの健康を管理 安全な社会をつくる見守りサービス

2016/06/08 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • ドライバーの日々の健康状態を把握
  • 2016年5月より中日臨海バスで導入開始
  • 健康状態の把握はマネジメントにも有効
長距離ドライバーの健康を管理 安全な社会をつくる見守りサービス

新たなクラウドサービスが、新しい健康マネジメントの形を生み出すかもしれない。
近年、自動車運送業界では、ドライバーの健康状態と交通事故の関係が指摘されている。国土交通省が発表した「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」(※1)によると、ドライバーの健康状態に起因する事故や、運転者の疾病発症による運行の取りやめ・中止の報告件数は年々増加している。

健康起因事故等発生状況の推移
健康起因事故等発生状況の推移(「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」(※1)出典のデータを元に作成)

自動車運送事業では、多くの利用者の安全を守るため、安全対策への取り組みは非常に重要だ。2014年には国土交通省によって「運転者の体調急変に伴うバス事故を防止するための対策」(※2)が方針として発表されている。企業として、ドライバーの健康状態をしっかりと把握・管理することは、もはや必須事項となっている。

 

東芝ではそういったニーズに応えるため、「日常健康見守りサービス」を開発。本サービスは、ドライバーのバイタルデータをクラウド上に集約し、そのデータを元に日常の健康状態を把握することが可能になる。ドライバーの健康状態をデータで把握することができれば乗務前の点呼などで運転者の健康状態が明確になり、事故防止につながるだけでなく、運行管理者側も判断がしやすくなるためマネジメント面でも非常に効率的だ。

 

新たなマネジメントの可能性を秘めた「日常健康見守りサービス」の魅力とはどんなものだろうか。

「安心・安全な運行を」中日臨海バスで導入開始

「日常健康見守りサービス」を導入している中日臨海バス

「日常健康見守りサービス」を導入している中日臨海バス

送迎バスや観光バスを運行する中日臨海バスでも、「日常健康見守りサービス」を2016年5月より導入した。

 

中日臨海バスでは安全な運行を守るため、かねてからドライバーの健康状態の把握や改善に力を入れていた。年に2回行われる健康診断では、産業医による指導などを実施するなど、積極的に対策を講じていたが、なかなか健康状態の改善につながらなかった。

 

そういった経緯から、運転手の健康状態を日常から把握することに重要性を感じ、ドライバーの日々の生活から健康状態を把握できる仕組みを探していた。評価導入を経て、同社のニーズとマッチしたことから導入が決まった。

 

本サービスでは、活動量計から睡眠時間と歩数情報を収集し、血圧計、体組織計、体温計からもデータを蓄積し、分析データをクラウド上でタブレットから簡単に見ることができる。睡眠時間の推移、血圧推移や体温の推移などがグラフで表示され、異変やその予兆をしっかり捉えることが可能だ。
運行管理者だけでなく、ドライバーたちも毎日自身の健康状態をチェックすることができるので、ドライバーたちの健康管理意識の向上や、普段から健康に意識を向けることによる健康促進効果も期待される。

安全だけでなく、ビジネスの効率化にも

東芝では実証実験などを通して運輸事業者の意見を収集したところ、乗務前の健康状態確認にニーズがあることが分かり本サービスを開発したが、今後は他業種への進出も見込んでいる。

 

例えば、工事現場、物流倉庫、製造ラインなどへの応用だ。作業前に作業員の健康情報を収集し、現場監督者が作業者の健康情報を確認する。これにより、健康情報に通常時と乖離する値を発見した際には、作業者と直接会話をして対応することができる。

 

自分でも気付かないうちに体調に異変が起きていることもあるだろう。しかしデータで可視化し管理することで、事故を未然に防ぐことにつながる。

 

東芝情報システムの柳秀之氏は、「本サービスを利用することで日々の運転手健康管理促進に役立てていただくとともに、運転手の健康意識の向上につながることを期待します」と語るなど、自動車運送事業の健康管理に新しい流れを生み出そうとしている「日常健康見守りサービス」。

 

今後は乗務中の眠気や疲労を見逃さない「運転手見守りサービス」や「点呼システム」、「勤怠管理システム」などのビジネスの効率化を図るシステムとも連携をし、ソリューション価値を高めていく見通しだ。

 

■出典

(※1) 事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/jg/manual_kenkoukannri.pdf

(※2) 運転者の体調急変に伴うバス事故を防止するための対策
http://www.mlit.go.jp/common/001036729.pdf

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