温暖化対策のキーワードは「X」 エックスフォルムが空調を変えた

2016/07/27 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 産業用の空調ではヒートポンプが活躍
  • 家庭用エアコン技術の転用で力を発揮
  • 通風性能を大幅に向上させた独創的な筐体
温暖化対策のキーワードは「X」 エックスフォルムが空調を変えた

電力消費で大きなウェイトを占めるのが「空調」だ。大量のエネルギーを消費するビルの空調システムは、省エネ・温暖化対策が求められている。そこで注目が集まっているのがヒートポンプだ。

 

これは、空調機の中を血液のように循環する冷媒を経由して低温部分から高温部分に熱を移動させる技術のこと。石油など化石燃料を燃焼させるより高いエネルギー効率が得られるため、空調だけではなく給湯や、冷凍・冷蔵庫、身近なところでは自動販売機や洗濯乾燥機、除湿器などにも用いられている。

 

東芝は、大規模空間の空調システムにヒートポンプ技術を投入することで、省エネ・環境対策や生産性の向上に寄与する空調システムを提案してきた。このヒートポンプ技術は、世界的にも期待を集める温暖化対策の切り札なのだ。企画・営業チームの担当者に、業界をリードする産業用空調・熱源システムの特長を聞いてみよう。

X型のフォルムが目を引く「スーパーフレックスモジュールチラー」
X型のフォルムが目を引く「スーパーフレックスモジュールチラー」

「1997年の京都議定書では温暖化を促進するCO2排出の規制に向けた動きが始まりました。それまで業務用・産業用分野で広く使われてきたのは、化石燃料をふんだんに使う吸収式冷温水発生器やボイラー。CO2排出量、そして省エネの面で大きな課題があり、これら従来の熱源をヒートポンプに置き換える動きが2000年頃から活発になってきたのです。

 

そこで、2006年に投入したのが、「スーパーフレックスモジュールチラー」です。前身の東洋キヤリア工業時代からモジュールコンセプトの熱源機はラインナップしていましたが、東芝キヤリアとして開発したのが本モデル。東京電力と共同開発したことに加え、東芝が持っていたルームエアコンのコンプレッサ技術が見事にマッチングし、格段に性能を向上させることができたのです」(東芝キヤリア株式会社 ソリューション・サービス事業統括部 ソリューション営業部 部長 加藤富生氏)

ソリューション営業部 加藤富生氏
ソリューション営業部 加藤富生氏

1980年、世界で初めてインバータエアコンを商品化して以来、東芝は空調機器のインバータ化を推し進めてきた。インバータエアコンは運転スタート時には高速でコンプレッサを回転させ、パワフルに稼働。設定温度に近づくと低速連続運転にシフトするため、大きな省エネ効果が得られる。

 

家庭用エアコン向けに開発した技術を業務用、産業用に展開

家庭用エアコン向けに開発したコア技術は、このように業務用、産業用に展開され、各業界をリードする画期的なモデルを生み出してきた。そして、「スーパーフレックスモジュールチラー」がエポックメーキングだったのは、そのフォルムだ。箱型ばかりだった産業用空調機器において、「X」字の筐体は極めてユニーク。デザイン性が高い意匠のコンセプトを聴いてみよう。

営業技術部 立石章夫氏
営業技術部 立石章夫氏

「気流解析から生まれた独創的なフォルムです。デザインを気に入って建物の前面に設置いただいたお客様もいます。しかし、この筐体は奇をてらっているわけではありません。モジュールを並べて設置する場合、モジュール間に、ひし形の空気取り込みスペースができる筐体設計とすることで、空気熱交換器の通風性能を大幅にアップしており、連結設置のしやすさも格段に向上。東日本大震災では、このような設備機器も倒壊や損傷を受けたとの報告が多い中、当機器において倒壊した筐体はほとんどなく、しっかりした強度も証明されました」(営業技術部 部長 立石章夫氏)

 

モジュール連結方式の採用により、狭い場所へも導入が可能になり、段階を追っての増設も自在。修理・点検はモジュールごとに行えるため、故障時や点検時でも全体の運転を止める必要がない。

 

そして現在、東芝の「産業用空調・熱源システム」のフラッグシップモデルが「ユニバーサルスマートX」シリーズ。同シリーズの特徴は、世界最大容量というインバータツインロータリ圧縮機(コンプレッサ)の採用。「スーパーフレックスモジュールチラー」の1.4倍に高められた高効率性が目を引く。このブレイクスルーは、いかにしてもたらされたのだろうか?

モジュールコンセプト、Xフレームを引き継いだ「ユニバーサルスマートX」「スーパーフレックスモジュールチラー」に続いて省エネ大賞を連続受賞
モジュールコンセプト、Xフレームを引き継いだ「ユニバーサルスマートX」
「スーパーフレックスモジュールチラー」に続いて省エネ大賞を連続受賞

「ロータリーコンプレッサも、家庭のルームエアコンから開発が始まった技術です。しかし、業務用への転用で要求されるのは加工精度。コンプレッサを大型化させて設計することはできても、精度を高めた加工はなかなか追随できないのです。

 

空調機におけるコンプレッサは自動車におけるエンジンと同じです。この性能が優位性をもたらし、大型チラーでトップシェアを獲得しています」(国内事業本部 国内商品企画部 部長 齋藤裕氏)

国内事業本部 国内商品企画部 齋藤裕氏
国内事業本部 国内商品企画部 齋藤裕氏

データセンター、美術館や博物館の空調システムとしても活躍

低温から中温、高温領域まで幅広いレンジの送水温度を実現できているのもポイント。産業用・業務用だけではなく、道路の融雪の熱量に使われているほか、熱量が多いデータセンター、温度・湿度の制御が求められる博物館、美術館でも活躍している。

 

本シリーズは「スーパーフレックスモジュールチラー」に続いて省エネ大賞を連続受賞しており、その高効率性にはお墨付きがある。

 

省エネ大賞で評価されたのは、機器単品の性能向上だけではない。空調機の省エネには各部材、機器の効率化も必須。さらに、設置性に優れて経年による交換がしやすいスイッチングコスト面など、空調・熱源システムとしてトータルのコスト削減努力も高く評価されている。

 

データセンター、美術館などに加え、今後は私たちの日常を支えるオフィスビル、商業施設などでの活躍も視野に入るだろう。そこでは、集中制御によるエネルギー管理のニーズも高まっている。機器の性能向上をトップランナーとして実現した「ユニバーサルスマートX」は、ネットワーク制御への対応も先駆して進めている。今後、高度化する熱源のニーズに幅広く応えていけるはずだ。

Related Contents