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東芝 技能の人 ぶれない「技」への思い


東芝 技能の人 ぶれない「技」への思い
この記事の要点は…

技能者に大事なのは小手先ではなく基本

競技会に参加して終わらず、その経験を業務に生かす

新素材、技術にも目を向けて切磋琢磨すべき

1990年入社以来、溶接一筋で腕を磨いてきた技能の人。アーク溶接で技能を磨き、社内外で高い評価を得てきたのが、インフラシステムソリューション社 府中インフラシステムソリューション工場の皆川悌士氏だ。2013年には、卓越した技能者に贈られる厚生労働大臣表彰「現代の名工」に選ばれるなど、技量の向上、技の伝承に注力してきた皆川氏に、「技能の人」の自負を聞く。

株式会社東芝 インフラシステムソリューション社 府中インフラシステムソリューション工場交通システム部 交通装置製造第一課 皆川悌士氏

株式会社東芝 インフラシステムソリューション社 府中インフラシステムソリューション工場交通システム部 交通装置製造第一課 皆川悌士氏

ビッグプロジェクトも部品の接合も同じ「溶接」。フラットに、実直に火花と向き合う

技能の人が一貫して携わってきたのがアーク溶接だ。鉄道関連の部品をはじめ、多くの溶接をこなしてきた。

「私は福島県の工業高校から東芝に入社したのですが、高校時代はラグビー漬け。高校3年生の10月まで部活動に没頭していました。正直、進路のことを考える暇がないままの就職でした。東芝で溶接を手掛けることになったのもたまたまだったんですよ」

皆川氏が配属されたのは府中工場だった。90年当時は中堅、ベテランの溶接工が多士済々。当時は体系立てられた育成プログラムはなく、OJTで技能を叩き込まれた。技能工が多かったため、はじめは単純な部品などの溶接に従事する日々。車両の本体を早く任せられるようになりたい。そんな一心で技能の習得に邁進していた。

「一人前の仕事を任せられるようになったのは入社3年目ぐらいでしたね。ただ、痛い失敗もあります。自分が手掛けた製品が、仕上げの前に先輩によって修正されて納品されていたんですね。

『なぜうまくできないんだ!』と怒られるならまだいいんです。怒られることもなく、黙って直されていたのがショックでした。今考えたら、『お前はまだまだだ』という先輩からの暗黙のメッセージだったのでしょう。悔しかったですよ……それからです。どうやったらうまくできるかを考え始めたのは。手順や姿勢、物の置き方に至るまで、先輩のやり方を徹底的に見て、自分とどう違うのかをチェックしました

以来、研鑽を積んだ皆川氏は多くのビッグプロジェクトに携わり、挑戦を求められる溶接で腕を発揮してきている。技能者として、誇りを感じた溶接作業を聞いてみよう。

「私にとっては、どれも同じ“溶接”で、いずれも得難い経験です。それぞれのプロジェクトでは、基幹部品などの重要性で差はあるかもしれません。しかし、『小さな部品だから適当でいい』『重要な部品だから集中してやる』と差をつけていては、気持ちのよい仕事はできない、と私は考えています。日々の仕事に新たな気持ちで、フラットに臨む。それが溶接工の誇りではないでしょうか

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