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バンコクの交通に革命を 新鉄道パープルラインの開通へ


バンコクの交通に革命を 新鉄道パープルラインの開通へ

タイ王国の首都バンコクが、深刻な交通渋滞に悩まされている。首都バンコクに人口が一極集中し交通量が激増したのも大きな要因のひとつだが、鉄道環境が整備されていないことも大きな課題となっている。現在タイ王国では、国有鉄道を中心に約 4,000kmに及ぶ路線を保有しているが、車両老朽化などの原因により効率性や定時性は決してよいものとはいえない。

2013年時点で総人口6,745万人のうち1,033万人が、東京の3/4ほどの面積のバンコクに集中しているといわれるタイ王国において、周辺地域とバンコクを結ぶ交通網の整備は国をあげて解決を図る必要がある重要事項となっている。

こうした流れを受けて、タイ政府は2016年の8月に運航開始予定の都市鉄道「パープルライン」の建設を決めた。地下鉄ブルーラインの終点バンスーから1km西側にあるタオプーン駅とノンタブリー県のクロンバンパイ駅までの22kmを結ぶことで、人口の増加が続くノンタブリー県とバンコク中心部への移動をスムーズにし、交通渋滞の解消を目指す。

パープルライン路線図

東芝は、丸紅、JR東日本、東芝の三社からなる日本企業連合の一員として、本プロジェクトを受注。パープルラインで必要な車両・信号・運行管理設備・変電設備・通信設備などの鉄道システムを丸紅と共同で行い、10年間のメンテナンス業務をJR東日本、丸紅と共同で行っていく。今回はプロジェクトメンバーへのインタビューを通して、新興国の課題を解決する東芝の技術の秘密に迫った。

日本企業連合が実現するソリューション

「パープルラインは、欧州メーカーの寡占状態にあったバンコク都市交通市場で本邦企業が初めて受注し、また日本のオペレーター、商社、メーカーが共同で海外の鉄道メンテナンス業務にまで参画する初めてのケースとなります」

河野氏

「重要な商談の際にはパープルラインと同色のネクタイを身に付ける」と河野氏

そう語るのは、鉄道・自動車システム事業部の河野力氏だ。河野氏はパープルライン事業の受注時の中心人物の一人として活躍し、工事着工後は東京本社からタイの現地スタッフをサポートしている。

本プロジェクトは、タイ国運輸交通局が日本政府の円借款を活用して実現し、同局からタイの鉄道運営会社のBangkok Metro Public Company Limited社が鉄道運営・運行システム一式の納入・建設を受託した。まさに国を挙げての巨大プロジェクトとなっているが、パープルラインは現地にどのようなメリットをもたらすのだろうか。

「パープルラインは、1日に20万人もの人々の利用が想定されています。日常生活に欠かせない新しい生活の足として、渋滞緩和に貢献するのはもちろん、定時運行が実現することも大きなメリットとなります。特に現在のタイでは目的地への到着時間が読めないことが多く、ビジネスマンにとってはたいへん不便な環境です。定時運行が実現することで、ビジネスシーンにも非常によい影響を与えると思います」

目的地に時間通りにたどり着くという、日本においてはごく当たり前のことが現在のタイでは実現していない。これはタイに赴任した日本のビジネスマンが困窮する事のひとつでもあるという。言うまでもなく、ビジネスにおいて時間の把握は生産性を上げるためには非常に重要な要素だ。パープルラインの完成は、日本人ビジネスマンだけでなく、タイ全体に大きな経済効果を生むことになるだろう。

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