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モーターには希少資源が使われていた!? 忘れられた磁石リバイバルへの挑戦


モーターには希少資源が使われていた!? 忘れられた磁石リバイバルへの挑戦

この記事の要点は…

なぜモーター用磁石には希少な重希土類が欠かせないのか?

重希土類フリー磁石のウィークポイントを克服するために

開発者が受賞した産業界で大注目の賞とは?

ネオジム磁石のウィークポイント解消に向け、走り出した開発陣

今後、さらなる需要が見込まれる風力発電や電気自動車、ハイブリッド車――これらのモーター用磁石には、世界的に極めて貴重な資源とされる重希土類が使われているのをご存じだろうか。

こうしたモーターに一般的に用いられているのは、最も磁力が強い永久磁石として知られる「ネオジム磁石」。磁力が大きければ大きいほどモーターには大きな回転力が得られ、小型化と高効率化が可能になる。環境を考えた社会を目指していくためには、モーターに使われる永久磁石のさらなる強化、効率性向上が欠かせないのだ。

しかし、そんなネオジム磁石は極めて熱に弱いのがウィークポイント。このため、高温時の出力低下を防ぐべく、「ジスプロシウム」「テルビウム」といった重希土類を用いた耐熱型ネオジム磁石が採用されてきた。

ただ、この耐熱型ネオジム磁石にも供給が不安定というリスクがある。重希土類の鉱山は特定の国・地域に集中。このため、その国や地域の政治情勢によっては調達が難しくなったり、市況が乱高下しやすくなったりするという問題を抱えているのだ。

安心・安全で環境に配慮した社会を支えるためには、耐熱性を保持しつつ供給が安定しているモーター用磁石が待望される。そこで東芝と東芝マテリアルが開発したのが、サマリウムコバルト磁石(SmCo磁石)を用いた耐熱モーター用磁石だ。しかし研究当初、SmCo磁石をモーターに適用するのは困難だったと、長年モーター用磁石の研究・開発に従事してきた株式会社東芝 研究開発センターの桜田新哉氏は語る。

株式会社東芝 研究開発センター 桜田新哉氏

「SmCo磁石は磁力ではネオジム磁石に一歩譲ります。そのため現在、一部の用途でほそぼそと使われるのみ。すっかり過去の存在になっていました。しかし、耐熱には極めて優れていますし、もちろん重希土類フリー。この特徴は課題解決には最適です。SmCo磁石の磁力を高めて耐熱型ネオジム磁石に近づけることさえできれば――高鉄濃度化、高磁力化へのチャレンジが始まりました」

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