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アイデア創出でつながる若手 パッションが生み出す技術コラボ


アイデア創出でつながる若手 パッションが生み出す技術コラボ

この記事の要点は…

東芝の人材育成・交流活動の新しい取り組み「技術コラボ」とは?

技術のコラボレーションでアイデア製品を創出

部門を越えてやる気と熱量を持った若手が全力で楽しむ

ビジネスモデルや働く環境の変化に伴い重要性が増し、各企業が力を入れる人材育成。
新人教育に始まり、職種で分かれた専門教育、事業部や年次ごとの教育、社外研修など、育成のプログラムは多岐にわたる。

若手の人材育成のひとつの取り組みとして、東芝に今までになかった新しい活動が広がっている。小向事業所(神奈川県川崎市)独自で行われている「技術コラボ」だ。社内を横断して若手を中心とした従業員がチームを組み、多様な視点と技術のコラボレーションからアイデア製品を考え、発表する。2015年の「技術コラボ」で出たアイデア製品のひとつのコンセプトがもととなり、2016年には東芝初のクラウドファンディング製品の学習型アルコールガジェット「Tispy(ティスピー)」が生まれている。

一体どんな活動なのか、詳しく見ていこう。

あえて事業化を第一目的にしない

「技術コラボ」とは、2012年から始まった東芝の小向事業所における若手の活動で、目的は人材育成と人材交流。部門の垣根を越えてチームをつくり、毎年6月から12月までの約半年間でアイデアを練り、成果発表会を行う。2018年は40名6チームで活動をスタートした。

さまざまな技術を組み合わせて、チームで近未来的な製品やサービスを考えるが、事業化を最優先にはしない。参加メンバーが「やってよかった」、「楽しかった」と言ってもらえることをゴールにしており、アイデア創出はあくまで手段。成果発表会でも、事業採算性は採点対象にされておらず、想像力の豊かさ、おもしろさ、社会貢献度といったポイントで評価される。経営幹部が選ぶ「最優秀賞」、「ユニーク賞」以外にも、見学者の投票で「ワクワクした賞」、「買いたい賞」などが決まる。

きっかけは大企業であるがゆえの悩み

この活動が生まれたのは、「せっかく大企業にいるのに他の部門の技術を知る機会が少ないのはもったいない」という若手技術者の想いがはじまりだった。

当時の企画者で現在も事務局を務める東芝インフラシステムズ株式会社 小向事業所 技術管理部の緒方 勝氏はこう語る。

「当時の小向工場では、社会インフラ系の二つの事業部が在籍していましたが、交流はほとんどありませんでした。工場設立75周年記念の時に、若手で新しい企画を考えることになり、お互いの技術を重ね合わせたらおもしろいのではないかと思い、話し合って生まれたのが、『技術コラボ』です」(緒方氏)

東芝インフラシステムズ株式会社 小向事業所 緒方 勝氏

東芝インフラシステムズ株式会社 小向事業所 緒方 勝氏

その年は若手が数回集まってディスカッションし、技術のアイデアを出しあっただけだったが、「おもしろかったから来年もやろう」という工場長の後押しもあり、翌年も活動することになる。そして、ちょうど同じタイミングで、組織改正に伴い小向事業所として統合し、工場部門だけでなく、研究開発センターや、異なる事業部門、同じ地域の関連会社などにも参加対象を広げていった。

「工場の技術者だけで始まったのが、他部門の研究者、事業部の営業、デザインセンターのデザイナーなど多様な参加者が増えたことにより、さらにいろいろな技術を組み合わせて、新しいアイデアが生まれるようになりました。また、アイデアを出すにも、手助けとなる思考法や発想法が重要だということになり、3年目くらいからUXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)などを学ぶ時間もプログラムに組み込みました。活動内容は参加メンバーの声をもとに、毎年バージョンアップしています」(緒方氏)

最初はただ集まってディスカッションを行うだけの活動が、次第に人材交流に加えて、スキルセットを含んだ人材育成の要素が強まっていく。最近では、UXDや発想法と併せて、未来のシナリオ予測やSDGsといった観点も取り入れている。

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