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サイバーとフィジカルの融合 技術トップが語る未来像(前編)


サイバーとフィジカルの融合 技術トップが語る未来像(前編)

この記事の要点は…

サイバー技術とフィジカル技術の関係

両者が融合する世界にビジネスチャンスがある

二次電池、半導体、AI・・・。東芝の技術開発の強みとは!

インターネット検索やSNSでのコミュニケーション、写真や動画をクラウド上で保管するなど、「GAFA*」と呼ばれる企業を中心に展開されている多様なサービスは、今や私たちの生活に欠かせないものとなった。しかし、サーバーやネットワーク上に存在するサイバー空間の活動だけでは私たちの生活は前進しない。リアルな生活はアナログだからだ。実世界に存在するモノにつながってこそ、データは本当に意味あるものになるのだ。

東芝が目指すのは、サイバーとフィジカル(実世界)が融合した技術で社会課題を解決する企業。東芝にはどのような技術の強みがあり、どのような世界の実現を目指すのか。技術を統括する執行役専務・斉藤史郎氏に聞いた。
*GAFA:Google(グーグル)Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)Amazon.com(アマゾン・ドット・コムの4社の頭文字をつないだ造語

-東芝は、今後の5か年計画のなかで、「世界有数のサイバー・フィジカル・システム・テクノロジー企業を目指す」としています。これからは「サイバー」と「フィジカル」が融合した技術が求められるということでしょうか?

東芝 執行役専務 斉藤史郎氏(以下 斉藤) 1990年代以降、インターネットや半導体技術を核としたIT革命が世界の発展を支配し、インターネット技術をどう利用するかといったビジネスモデルを開発することによって価値が創出されてきました。以前はマイクロソフト社も含めて「GAFMA」と呼ばれていましたが、最近では個人のデータを集めて価値を提供するというデジタル革命を担ってきた4社で「GAFA」と呼ばれるようになりました。その一方で、これまでの産業革命を起こしたような革新的な技術が登場したとは言い難く、技術による本質的な価値の創造が困難な時期が続いてきました。

しかし、ここにきてAIやディープラーニングなどの分野が著しい技術進化を遂げています。今後はこういった「サイバー技術」を、バイオやロボティクス、センシングなど実世界にある技術といかに融合させるかがカギとなってくると我々は考えています。

株式会社東芝 執行役専務 斉藤史郎氏

株式会社東芝 執行役専務 斉藤史郎氏

-「サイバー空間」の技術が「フィジカル(実世界)」の技術にどのように関係してくるのでしょうか?

斉藤 まず、「サイバー」という言葉ですが、これは人間の脳をイメージしてください。「フィジカル」は世の中にある様々な部品・部材などの製品やシステム、サービスと理解してもらえば良いでしょう。

まず、製品の稼働やシステム、そしてサービスによって得られる情報をセンシング技術やネットワーク技術で収集できるようにします。そして、それをサイバー空間でAI技術などを使って理解・分析して、実世界の技術や製品・サービスに付加価値を与えるような最適な解や予想、計画などをアウトプットとして実世界にフィードバックします。そのサイクルを繰り返すことで、さらに新しい技術や製品・サービスの創出につなげていきたいと考えています。

こういったサイクルを「サイバー・フィジカル・システム(CPS)」と呼んでおり、我々が目指す企業の姿です。この言葉は特段新しいものではなく、私が以前に研究開発センターの所長をしていた2012年に研究の方向性として示していたものです。当時、研究開発部門で目指すとしていたものが、事業として具現化していく段階になったと言えます。

サイバーとフィジカルの技術が融合する世界のイメージ

-「サイバー」と「フィジカル」の技術が融合する世界で、東芝の勝機はどこにあると考えていますか?

斉藤 先に述べたように、サイバーとフィジカルの技術サイクルをうまく回していくことが、価値の創造につながっていくと考えています。つまり、サイバー空間で扱うデータを生み出す現場に機器やシステムを納めたり、保守やオペレーションを担ったりしている企業が収集したデータを有効に活用でき、この技術サイクルを回していくことができるのではないでしょうか。

東芝は発電所などのエネルギー分野や、ビルシステムや鉄道などの社会インフラの分野で、長年培った技術をもとに様々な製品やサービスを提供してきました。そこでの実績や信頼は、長年のビジネスの積み重ねのなかで得られるものであり、一朝一夕には獲得することができないものです。そして、そこで得たフィジカルの領域での知見、我々は「ドメイン資産」と言っていますが、それらが多くある一方で長年にわたるAI技術の蓄積もあります。

これは、技術によってモノづくりをしてきた企業だからこその強みであり、今後、これらを融合していくことで、「サイバー」と「フィジカル」の技術が融合する世界をリードする存在になれる潜在力は十分あると思っています。

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