loading
TOP > 研究開発社会インフラ > 見えないものを見るために 非破壊検査装置が迫るナノレベルの世界

見えないものを見るために 非破壊検査装置が迫るナノレベルの世界


見えないものを見るために 非破壊検査装置が迫るナノレベルの世界

   
「非破壊検査装置」と聞いても普段あまり耳にすることがないため、ピンと来る人は少ないかもしれない。実は社会の様々なところで活躍している。

そもそも非破壊検査装置とは、読んで字のごとく、機械部品や構造物の内部を、対象物を壊さずに覗き見ることができる機械だ。同じような技術を使用している身近な例を挙げれば、空港の手荷物検査や病院のレントゲン検査の装置などがイメージしやすいかもしれない。

今回紹介する東芝の非破壊検査装置は、産業用に特化したものだ。例えば、電子部品のように非常に微細なものや、逆にマンモスの化石のように巨大なもの、さらには文化財のように触れることすら注意を要するものなどの中身の構造を検証、解析することができる

今回様々な用途に向けた非破壊検査装置を生産している、東芝ITコントロールシステムの府中技術センターに潜入。実際にオウムガイの貝殻などを使って透視実験をしてみたほか、立体的に対象物の「復製」にも挑戦。2016年1月13日より販売開始した最新の非破壊検査装置「TXLamino」を中心に、モノの中を透視する最新技術の魅力に迫った。

オウムガイの貝殻で透視実験

東芝ITコントロールシステム 検査・メカトロシステム営業技術部長 富沢英行氏

東芝ITコントロールシステム 検査・メカトロシステム営業技術部長 富沢英行氏

「弊社の非破壊装置の検査対象は、人でなければなんでもOKです。今回はこんなものを用意してみました」

そう話してくれたのは、東芝ITコントロールシステムの富沢英行氏だ。普段あまり馴染みのない非破壊検査装置の真価を体感できるようにと、富沢氏が用意しておいてくれたのは、オウムガイの貝殻。インタビューの前に、早速、非破壊検査装置で製品を透視するとどのように見えるのか実験してもらった。

非破壊検査装置によるオウムガイの透視の様子

いざオウムガイの貝殻を設置!

非破壊検査装置によるオウムガイの透視の様子

一体、内部はどんなふうになっているのだろうか?

非破壊検査装置によるオウムガイの透視の様子

あらゆる角度からの解析で、オウムガイの貝殻の内部が丸裸に!

「非破壊検査装置はX線を応用したシステムです。X線が製品を透過できる性質を使って、外から見えない製品の内部を画像化することができるので、このようにオウムガイの貝殻の内部もしっかり画像化することができます。病院にあるレントゲン装置やCTスキャナなどは医療用ですが、私たちがつくっているのは産業用の非破壊検査装置です。対象物は何でもOKです

製品の安全や品質を守る

さまざまモノの内部を把握できる非破壊検査装置だが、どのようなシーンで使われることが多いのだろうか。

「一番多いのは自動車関係ですね。例えば、車の部品などは不備があると、人命にかかわることもあります。ですから、車のエンジンやアルミホイール、ハンドルなどは、素材内部に小さな気泡が入っていないかなどをチェックするために、非破壊検査装置で全数検査を行います。その他に、半導体などでも全数検査が行われます。半導体の場合は、回路をつなぐワイヤの結線が切れていないかをチェックしたり、はんだで接合しているところがきちっとつながっているかなどを見ていきます」

富沢部長自らホイールを解析

富沢部長自らホイールを解析!

非破壊検査装置による解析例:小型鋳物(アルミニウムダイカスト)

解析例:小型鋳物(アルミニウムダイカスト)

新製品「TXLamino」は、ナノフォーカスのX線発生装置(X線照射寸法は0.25μm)と有効400万画素のカメラを搭載しており、これまでの技術では存在が確認できなかった対象物内部の微細な部分まで確認することができる。従来の非破壊検査装置ではX線照射寸法は1μm、カメラは100万画素であり、どちらも単純に4倍精密さに磨きがかかったことになる。

非破壊検査システム

非破壊検査システム(東芝ITコントロールシステム) 
http://www.toshiba-itc.com/cat/index.html

また製品名に冠されている「Lamino(ラミノ)」は、傾斜をすることで様々な角度から製品を捉えることができる「ラミノCT」という技術からきている。ラミノCTを採用することで、特定の角度からだけでは見逃してしまうような位置にある構造物内部の傷などの検出にも対応可能だ。これらの技術により、電子基板や各種電子部品の検査がより高い精度で行えるようになった

品質が求められる半導体や電子基板。全数検査が必須だ

品質が求められる半導体や電子基板。全数検査が必須だ。

基盤を「TXLamino」で透視する様子

今度は半導体を実装した基板を最新機器「TXLamino」へ

基盤を「TXLamino」で透視する様子

どのように見えるのだろうか?

基板 実装部品の拡大撮影画像

実装部品の拡大撮影画像:微細な内部構造もしっかりと確認できた

> 次ページ3次元の解析も可能に