変革への情熱を抱き、機械翻訳の未来を創造する‐We are Toshiba【中国編】

2020/05/13 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 自分の仕事の価値を実感できる瞬間とは?
  • 「変革への情熱を抱く」という価値観が与えてくれること
  • 巨大な市場で「新しい未来を始動させる」
変革への情熱を抱き、機械翻訳の未来を創造する‐We are Toshiba【中国編】

東芝ブランドを現場で育む社員の想いや大切にしている価値観を紹介している“We are Toshiba”。今回は東芝中国社の研究開発センターで研究者として働く、ディ・フイ氏に話を聞いた。機械翻訳研究の面白さや、未来の技術にかける想いに迫る。

新しい技術と需要が、仕事にかける情熱の源

ディ・フイ氏は、大学生の頃からITと外国語に強い興味を持っていたという。もちろん、日本語もその一つだ。彼女は、その興味が今の自分の仕事につながっていると考えている。

 

「大学時代から20年以上にわたり、IT技術の急速な進化を目の当たりにしながら、仕事としても深く関わってきました」

 

ディ・フイ氏はこれまで、日本人ユーザー向けのシステム開発プロジェクトに数多く携わってきた。機械翻訳データベースの改良や言語モデルのテストをはじめ、外国語ライティング支援システムの開発など多岐にわたる。現在は、主に機械翻訳と対話システムの研究開発を担当している。

 

「私たちが手掛けてきたシステムが、実際に人々や企業の役に立っているのを見ると、自分の仕事の価値を実感します」

 

ディ・フイ氏の職場での様子

 

次々に出てくる新しい技術や需要が、ディ・フイ氏の好奇心をかきたて、尽きることのない仕事への情熱となっているのだ。

 

「東芝中国社の研究開発センターはオープンで自由な雰囲気で、才能豊かな同僚たちと、最先端の技術や製品の開発に取り組んでいます。この環境の中、自分自身を成長させつつ、会社や社会にも貢献できていると思います」

 

ディ・フイ氏は、この人工知能(AI)全盛の時代に、研究開発センターで口語対話システムと機械翻訳に携わり、常に新たな学びを得ながら価値ある技術の開発を続けるチャンスを得られていることを、「本当に好運で幸せなこと」だと語る。彼女にとって、新しい経験をし、新しい課題に取り組むことは、この上ない楽しみなのだ。

 

ディ・フイ氏の職場での様子 その2

変化に素早く反応し、新技術を取り入れ、イノベーションを続ける

東芝グループ理念体系の私たちの価値観の一つである、「変革への情熱を抱く」に、ディ・フイ氏は特に刺激を受けているという。

 

ディ・フイ氏は、人工知能(AI)技術の急速な進化は、機械翻訳に大きな変化をもたらしていると語る。例えば機械翻訳技術は、ルールベース(人間が与えた条件をもとに、判断・識別すること)の翻訳から統計ベース(大量のデータベースをもとに判断・識別すること)の翻訳へ、そして近年のニューラル機械翻訳(人の脳内にある「ニューロン」の働きをまねた仕組みで、与えられた条件ではなく、大量のデータベースによる学習を用いた翻訳)へと、驚くほどのスピードで発展しているという。

 

「私たちは変化に素早く反応し、新技術を取り入れ、イノベーションを続けなければなりません。常に変革への情熱を抱いて物事に取り組むことが重要です」

 

昨年、ディ・フイ氏のチームが手掛けるニューラル機械翻訳技術と、コーポレートの研究開発センターが開発したリアルタイム音声自動字幕システムを組み合わせ、リアルタイム字幕翻訳システムを開発した。

 

「私たちは短期間で翻訳モデルをシステムに組み込んだのですが、実際の性能テストでは、専門用語の翻訳精度が低いなど、課題がいくつか見つかりました。そこで様々な改善策を試して、最終的に、ユーザー辞書挿入とドメイン適応(学習済のデータと識別したいデータが異なる分野である場合に、それぞれの分布を近づけるように学習し、翻訳精度を向上させる手法)という方法を選びました」

 

その結果、専門用語を多く含む文章でも翻訳レベルを大幅に上げることに成功したという。

 

「『変革への情熱を抱く』という価値観は、研究者として常に意識をしなければならない姿勢であると同時に刺激を与えてくれる言葉でもあります」

 

ディ・フイ氏の職場での様子 その3

巨大な中国市場を舞台に、中国の新しい未来を始動させる

グローバル化が加速し、多数の地域言語が存在する中国では、言語サービスは巨大な市場であり、かつ競争がとても激しい市場の一つでもある。

 

「例えばローカライズ、同時通訳、翻訳機器では、すでに機械翻訳技術が広く利用されていますし、音声対話などのカスタマーサービス(カーナビ等のカスタマーサービス)には口語対話技術が欠かせません」

 

ディ・フイ氏のチームでは、差別化が可能な技術の研究開発に専念している。

 

「東芝における研究開発体制の中で、機械翻訳技術の研究開発を担う主力部隊として、私たちのチームは重要な責任を担っています。チームは現在、大学機関と積極的に連携して、ニューラル機械翻訳の品質評価と編集を自動で行うアルゴリズムの研究開発を進めています。この研究によって機械翻訳の用途を広げることができます」

 

今後は、応用技術の研究開発にいっそう力を入れ、そうした技術をできるだけ早く製品化したいと語る。

 

「人々の役に立つ機械翻訳の技術で、私は中国の新しい未来を始動させたいと思っています」

 

ディ・フイ氏の職場での様子 その3

 

東芝理念体系

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