空を見える化するために。技術と誠実さで未来の安全インフラを築く~理念ストーリー We are Toshiba~

2025/02/27 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 70年以上にわたる気象レーダの研究を通して、豪雨や雹などを高精度で予測する「気象データサービス」を提供
  • 「誠実でありつづける」ことは、「何のためにやる研究なのか」を突き詰めること
  • 東芝に入ってよかったことは、自由で挑戦を後押しする研究環境が整っていること
空を見える化するために。技術と誠実さで未来の安全インフラを築く~理念ストーリー We are Toshiba~

空を「見える化」し、社会の安心・安全を守る。その取り組みは脈々と受け継がれてきた。東芝グループの理念や価値観を体現し、社会に新たな価値を創出する『理念ストーリー』シリーズ。気象データサービス事業の最前線で解析技術の開発に挑むのが、研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所の越智将太氏だ。試行錯誤を実装していく過程が、気象データ解析の未来を切り開くステップになる。社会の防災・減災を見据える研究者の思いに迫った。

レーダと解析が紡ぐ革新とは。気象データ技術の現在地

1955年に初めて気象レーダ装置を納入してから70年。東芝は気象レーダ技術と観測データ解析のノウハウを磨き上げ、社会の安全と安心を支える強固な基盤を築いてきた。豪雨や雹(ひょう)などの災害をもたらす可能性が高い気象現象を予測する「気象データサービス」は、これまで培われた知見の結晶だ。

気象レーダの生データをクラウド上で高度に処理する「気象データサービス」
気象レーダの生データをクラウド上で高度に処理する「気象データサービス」

現在、全国で稼働する国土交通省設置の気象レーダは65基(2024年6月時点)※。気象データサービスは、レーダから得られる観測データをクラウドに取り込み、加工・解析して雨や雪、雹(ひょう)を判別したり、風の向きや強さを推定したりする技術によって支えられている。

「社会インフラ」×「気象データサービス」により社会全体の安心・安全を守る。
「社会インフラ」×「気象データサービス」により社会全体の安心・安全を守る。

このサービスを、国や自治体、鉄道、道路、電力などの社会インフラ事業者に提供することで、突発的な天候の変化があっても迅速に対応してもらい、人々の危険を軽減してもらうことを期待している。例えば、30分先のゲリラ豪雨を高精度に予測することができるので、急な天候の変化により発生する道路の冠水や河川の氾濫からいち早く避難することもできる。結果として、社会全体の安心・安全を守るためのインフラは強靭なものにつながっていく。「空の見える化」という開発思想が、防災・減災への具体的な道筋を描く。

「観測機器が集めたデータを取り込み、使いやすい形に加工してサービスを提供していきます。東芝の気象データ解析は、このような一貫した体制が特徴です」と語るのは、研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所の越智将太氏だ。

「予測の精度に課題が出てきても、アルゴリズムの微調整に留まらず、観測データそのものの品質を見直すことも含め、根本的な対策を考えることができます。これこそ、長年にわたり気象レーダのデータ解析技術を磨いてきた東芝の強みなのです」

株式会社東芝 研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所  ワイヤレスシステムラボラトリー 越智 将太氏
株式会社東芝 研究開発センター 情報通信プラットフォーム研究所 ワイヤレスシステムラボラトリー 越智 将太氏

「レーダ開発の知見を活かした解析により、これまで見落とされていた現象を捉えられるようになるなど、予測データの精度も格段に向上しています。研究開発とサービス事業の体制が一体化した強みを最大限に活用し、気象データ解析の可能性をさらに広げていきたいと思います」

長年培われたレーダ技術とデータ解析の融合によって、社会に役立つ価値を提供していく取り組みは、まだ成長の途上にある。その中で、越智氏が挑み続ける課題とは、いかなるものか。さらなる挑戦を追う。

自由でフラットな研究環境が、挑戦を後押しする

「気象レーダの計測原理はシンプルですが、全国に設置されているレーダはそれぞれに特性や癖があり、その解析は一筋縄ではいきません。ある意味、“泥臭い”と感じられる作業を地道に重ねていくことも大切です」と、越智氏は語る。それはレーダごとの個体差や、ノイズによるものだ。気象レーダはX帯とC帯という2つの異なる周波数を持つものが混在しており、さらにそれぞれのレーダには部品の違い等から生じる個体差がある。加えて、他レーダからの電波干渉や地面からの反射波など、観測データにノイズが混入することも多い。レーダごとの個体差やノイズをきめ細かく把握し、適切に処理するノウハウが不可欠だ。実際の観測データから課題を発見し、精度を高める技術開発に取り組んでいく。現場の課題を解決する技術を生み出すことが、研究者のやりがいになる。

「レーダごとの個体差やノイズを無視すると、見落としや誤りのリスクがあります。それを防ぐためにも、観測データの細部を注意深く分析し、適切に対処する技術が必要です。この作業はとてもチャレンジングですが、課題を解決する中で、新しい研究テーマが次々に見つかる面白さも感じています。例えば、レーダの個体差を自動で補正する仕組みをどう作るか、といった課題を見出し、解決を模索したことがありました。現場の課題に取り組む中で試行錯誤し、研究者として成長できる。それがこの仕事の大きな魅力です」

新しい技術や推定方法の提案が評価されれば、実際のサービスに採用されることも。越智氏が考案したアイデアが事業部から評価され、研究プロジェクトとして進んだこともあった。このように積極的な挑戦を後押しするのが、研究所のカルチャーだ。越智氏が所属するワイヤレスシステムラボトリーには、自由でフラットな組織文化が根づく。上司を含むメンバー間で技術ベースの議論が行われ、若手であっても活発に意見できるのだ。

東芝に来てよかったな、と思う大きな要因の一つが、“人”です。上長や先輩・後輩に、人間的にも研究者としても素敵な方が多く、人間関係のストレスなく、良い刺激を受けながら働くことができていると感じています。

新しい挑戦を見据えた提案が奨励され、上長も含めた対等な意見交換が、研究者としての成長になります。このような文化の中で、隣接する技術領域のメンバーとも頻繁に情報共有を行い、新たな可能性を模索しています。研究所全体が、研究者の創造力を最大限に引き出す環境になっています」

新たなアイデアをカタチに。その過程が楽しい

学生時代、越智氏は工学部の航空宇宙学科で「宇宙ごみ」問題に向き合った。研究室ではパッシブレーダのプロトタイプを作成し、宇宙ごみを計測する研究に取り組んだという。

「もともと宇宙開発に興味を持っていたのですが、研究室の選択にあたって、『目の前にある課題を解決する』という教授の姿勢に感銘を受けました。情熱的な指導に触れ、自分も現実に立ちはだかる課題に向き合う研究を志すようになりました。技術を通じて誰かの役に立ちたい。研究者としての原点が研究室にあったのです」

研究室で得た気づきが、越智氏が東芝を志望する起点になった。社会インフラや安全保障といった社会課題の解決に資する技術を開発、実装する環境で研究者として成長したい。この想いは、気象データサービスの高精度化を目指すという現在の取り組みに接続する。

「研究開発センターは国内でもトップクラスの規模と技術者、研究者を擁しており、自分を成長させられる環境が整っています。迷うことなく入社を決めました。東芝の一員として共有し、大切にするのがグループの『私たちの価値観』ですが、その中でも特に『誠実であり続ける』を大切にしています。

例えば、事業部に新しい解析方式を提案する際には、その方式の良い面だけでなくリスクや懸念事項も率直に伝えることを意識しています。そのうえで、サービス実装に向けて達成すべき評価指標やその実現方法について議論を重ねます。透明性の高いコミュニケーションを通じて課題解決の本質を把握することが、社会に実装できる技術を生み出すことにつながる、と考えています。

さらに、相手にも自分にも誠実でいることによって、自分に誇りをもつことができ、仕事の面でも精神面でも良い影響があると感じています。この研究は何のためにやるのか?事業の先にいるお客様やそのエンドユーザのためになるのか?という視点を忘れないようにしています」

誠実な姿勢は、研究者としてのモチベーションに直結する。「新しい解析方法を試し、それが事業部から評価されることが励みになります」と越智氏は語った。課題に誠実に向き合う中で「挑戦への楽しさを感じる」という越智氏は、「技術を広げる努力を惜しまず、挑戦を続けていきたい」とキャリアの先を見据える。目指すのは、技術力と社会的視点を兼ね備え、現実の課題を解決する研究者だ。

私が充実感を覚えるのは、与えられた課題を解決するだけでなく、自分の創意や工夫を付加価値として形にできた瞬間です。日々新たなアプローチを探り、試行錯誤を重ねることで、新しい気づきやアイデアを得ることができます。この『アイデアを形にする過程』が、研究者としての楽しさであり、次の挑戦を導くと信じています」

そんな越智氏は最後、自身の「働く環境」を考えて、就活生にこうエールを送った。 「私は仕事や一緒に働いている仲間が好きで、休日はもちろん平日も楽しく生きています。生活の中で仕事が占める割合は大きいので、自分の仕事や一緒に働く仲間を好きになれることはとても幸せなことだと感じています。就職活動では色々悩むこともあると思いますが、迷ったときにはぜひ『その仕事・職場を好きになれそうか?』と自分に聞いてみてください!応援しています」

インタビュー動画はこちらから

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