デザイン思考×SDGs 驚きのビジネス活用術!

2018/08/08 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 社会課題や経営課題を解決する「デザイン思考」とは?
  • 共創・協働が「デザイン思考」のカギ!
  • SDGsを切り口にデザイン思考で新時代を切り開く!
デザイン思考×SDGs 驚きのビジネス活用術!

ビジネスのキーワードとして耳にする機会が増えているSDGs(※)。だが、まだまだ自分ゴトとして捉えるのが難しいビジネスパーソンも少なくないだろう。

 

※国連が定めた持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)

それもそのはず。SDGsは2030年までに世界が一丸となって取り組む目標であり、そのロードマップは遠大だからだ。

 

しかし、考え方次第では、SDGsを目の前のビジネスに取り入れることは十分に可能である。SDGsを「デザイン思考」とマッチングさせ、自分ゴト化するヒントを提案するのは、東芝デザインセンター、センター長の湯嶋彰氏だ。

デザイン思考って?

「デザイン思考」とは、デザイナーの課題解決の思考パターンを、誰もが使える方法にしたもの。社会課題や経営課題の解決への適用が期待されている。

 

「一口にデザイン思考といっても、その手法は様々です。今回、水素エネルギーを例に『ストーリーテリング』という手法をご紹介しましょう。

 

クリーンエネルギーとして注目される水素ですが、身近に感じられない方も多いはず。その要因の一つには、水素を使う意義や有効性を社会に真に理解・賛同してもらえていないことが挙げられます」(湯嶋氏)

株式会社東芝 デザインセンター センター長 湯嶋彰氏

株式会社東芝 デザインセンター センター長 湯嶋彰氏

東芝では、発生させた水素をためて必要なときに使用する自立型水素エネルギー供給システム「H2One™」を提供している。H2One™の特長にストーリーテリングを掛け合わせると、どのように水素エネルギーの普及を図ることができるのだろうか。

自立型水素エネルギーシステムH2One™

自立型水素エネルギーシステム「H2One™」

「ストーリーテリングとは、ストーリーによって真の価値を具現化し伝える手法。この手法では、そのストーリーを効果的に伝播させるための媒体なども考えることが重要です

 

水素であれば、自治体や一般の人々に身近に感じてもらうことが課題。そこで私たちは、多くの人が行き交う場所にH2One™が設置されたことを想定したストーリーを描き、検討を深めました。そして、H2One™をJR南武線溝ノ口駅構内の利用者から見えるところに、あえて置くことを提案したのです」(湯嶋氏)

JR南武線溝ノ口駅構内のH2One™

JR南武線溝ノ口駅構内のH2One™

通常、インフラ設備である電源装置などは見えないところに置く。だが、H2One™それ自体を媒体にすることで、通りかかる人々に水素エネルギーの将来性を訴えることができれば、間違いなく水素エネルギーの意義を社会に理解してもらえる。

 

また、“見せる”インフラ設備であることから、H2One™は意匠にもこだわった。

 

「水素はエネルギーの未来。それを示すには無骨な箱であってはいけません。そこでH2One™はエネルギーの未来を感じさせるクリーンなイメージで、なおかつ未来を担う子どもたちにとってのエネルギーの象徴となるべく、子どもでも描けるシンプルでアイコニックなデザインにしました」(湯嶋氏)

H2One™のデザイン画

H2One™のデザイン画

デザイン思考を用いて、様々な課題に取り組んできた東芝デザインセンター。その中で近年、デザイン思考を用いる際に役立てているのがSDGsだ。その背景には、SDGsが持つ、デザイン思考と親和性の高い、ある特長があった。

デザイン思考×SDGsでビジネスチャンス!

SDGsを単なる「目標」や「課題」として捉えるだけではもったいない。SDGsは2030年に向け世界全体が進む方向性を示したもの。今や、多くの人が理解する世界の共通言語であり、全てのビジネスがこのトレンドと無縁では進められない。

 

そこで、事業の方向性を検討する際のひとつの指針としてSDGsを用いることで、ビジネスにおけるチャンスとリスクを見つけることができる。

 

「私たちがデザイン思考を用いる際に重要視しているのは、『共創』と『協働』です。顧客やパートナー企業と一緒に新たな価値、社会を作るのが『共創』。技術者や営業、事業構想者が一体となって取り組むことが『協働』です。SDGsはこうした共創・協働の相手と、進むべき方向性を確認し合い、共通の課題を見つけるための切り口として活用できます」(湯嶋氏)

 

先ほどの水素の事例でも、SDGsを前提としている。水素普及の取り組みに参加する人々は当然、様々な価値観を持つ。だが、皆が目指すべき方向性はSDGsの「目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」だ。そのグランドコンセプトが揺らぐと、共創・協働はうまくいかないし、ビジネスとしての成功も危うい。

目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

このようなSDGsをコンセプトとして活用する際に有効なのが、東芝のIdea Wall Map®というツールである。

 

「ホワイトボードにアイデアを書き出してくださいと、唐突に言われても出てきませんよね。発想を誘発したり、問題を抽出したりするアイデア創発ツールの一つがIdea Wall Map®です」(湯嶋氏)

 

Idea Wall Map®
この動画は2018年8月8日に公開されたものです。

このツールでは、個人と社会を取り巻く様々なファクター、解決すべき課題、未来予測などをビジュアル化。様々な事象を一元化して捉えられるのが特長だ。

 

「SDGsの17の目標や下部レイヤーの169のターゲットも盛り込まれています。それらを見ながら、共創・協働相手と一緒に議論したり、出てきたアイデアをソフトウェア上のバーチャル付箋に書いて貼り付けたりすることで、自ずとSDGsを起点にビジネスのアイデアを発想し、またそのビジネスの種を育てていくことができます」(湯嶋氏)

Idea Wall Map®にはデフォルトでSDGsが設定されている

Idea Wall Map®にはデフォルトでSDGsが設定されている

もちろん、デザイン思考で課題に取り組む際、必ずしもSDGsが切り口である必要はない。だが、2030年の未来というマクロな視点から問題を考えるときには非常に有効な手段となるだろう。

 

「Idea Wall Map®のようなツールは、デザイン思考を支える重要な要素の一つです。東芝の強みは、SDGs登場以前から様々な社会課題に、多彩な事業領域で応えてきたこと。そういった事業における共創・協働で得られた知見を集約したツールだけに、SDGsとフィットするのは当然なのかもしれません」(湯嶋氏)

関連サイト

※ 関連サイトには、(株)東芝以外の企業・団体が運営するウェブサイトへのリンクが含まれています。

東芝レビュー 75巻5号(2020年9月)

東芝レビュー 75巻5号(2020年9月)

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