アパレル・ファッション業界に新しい風を 仮想試着サービスの可能性

2016/04/20 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 仮想試着は「第3の売場」を創る
  • 散らばった顧客データはクラウドで一元管理
  • 髪色や嗜好にあわせた洋服の提案も可能に
アパレル・ファッション業界に新しい風を 仮想試着サービスの可能性

アパレルやファッション業界では今、ネットとリアルの垣根をなくす「オムニチャネル」が注目され始めている。ネットとリアルで同じ購入体験をできるようにするということだ。

 

そこで注目されているのが仮想試着サービスだ。このサービスのメリットは大きく分けて2つあげられる。場所を選ばないことと、クラウドで管理された試着履歴等のデータが、ユーザー自身で収集・管理・分析できることだ。
また、このツールを通してこれまで実現できなかった異業種(美容室とアパレルなど)との連携や新しい市場の開拓が期待されている。

大型ディスプレイでの仮想試着サービス
大型ディスプレイでの仮想試着サービス

異業種をつなげる実証実験

東芝は、2014年にラゾーナ川崎プラザ内に店舗を置く美容室「kakimoto arms」と共同で、実証実験を行った。
「kakimoto arms」は東京を中心に10店舗を展開している株式会社柿本榮三美容室のブランド。地毛の髪色はもちろん、瞳や肌、唇などその人が生まれ持った”パーソナルカラー“を総合的に診断するヘアカラー専門のヘアカラーリストを日本で初めて誕生させた革新的なサロンである。

 

実証実験は、「利用者が髪型・髪色を変えたときの購買意欲をアパレルの実店舗へつなげることができるか」、「システムを設置することで消費にどのような効果をもたらすか」を検証する狙いで行われた。美容室側は、パーソナルカラーを可視化して伝えられるツールとして、アパレル店舗側は、新たなターゲット層へのブランド認知と新規顧客の獲得に期待を寄せていた。

バーチャル試着のフロー

美容室の利用者には、まず自分に合ったカラーが見つかる「パーソナルカラー診断」を行ってもらい、カラーリストがその人に合ったカラーを見つける。そのカラーに合わせて100着以上の洋服から自由にコーディネートを選択。施術後に新しいヘアスタイルやヘアカラーに合わせた洋服の仮想試着を体験してもらった。

 

利用者の60%がアパレル店舗へ

実証実験では、美容室の利用者のうち54%が本サービスを利用、そのうち60%以上が実際の店舗に足を運んだ。利用者からは、「短時間で満足なショッピングができた」「単純に楽しかった」という意見のほか、「着たことのない服に挑戦するのは勇気が必要だが、パーソナルカラー診断に基づいた仮想試着システムが背中を押してくれた」という声も。また、髪型を含む“全身”をコーディネートするため、単品での購入よりもセットで購入する「セット率」も向上し、客単価のアップにもつながった。

 

一方、美容室では、カラーリストが持っている専門知識をさまざまな形で利用者へ提供する機会が生まれた。利用者とより深いコミュニケーションをとることで、カラーリストのモチベーションアップに貢献。対前年度比で客数が300~400名のアップ、ヘアカラー客数も伸びるなど業績は大きく向上した。

スマートフォンアプリへの展開

東芝はこの実証結果を受け、2015年には「Coordinate Plus」という仮想試着スマートフォンアプリを展開。いつでもどこでもコーディネートのイメージを膨らませることが可能になる。好みのコーディネートを見つけてスマートフォン上のアバターに試着させることができ、最新のアップデートでは自撮りアバター作成機能が追加となった。この機能を使えば自分そっくりのアバターを簡単に作ることができる。
アバターを水平方向に360°回転させられるため、自分ひとりではチェックが難しい後姿も確認できる。

拡大した顧客データをまとめるクラウドサービス

顧客接点が増える一方で、顧客管理の課題も発生していく。
そこで東芝では直接の接点となるアプリや、大型ディスプレイの提供だけでなくクラウド上にユーザーの属性・試着履歴等のデータを収集・管理し、分析できるようにする。
パーソナライズされたデータを使いこなすことによりさらなる顧客体験の向上につなげていく。

 

試着して買わなかった服のデータも蓄積することで、より利用者の嗜好にあった衣服を提案できるように、また自分だけでなく家族の情報を登録して購入することも可能になる。場所を選ばずにこれまでにないショッピングがあなたの手の中で実現する。仮想試着にはその可能性が秘められている。

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