進化する次世代自動車 ケーブルなしで充電できるEVバス

2016/07/06 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • ケーブルなしで充電可能なEVバス
  • 数年後、一般車へも普及が見込まれる
  • ワイヤレス充電は自動車以外の応用も
進化する次世代自動車 ケーブルなしで充電できるEVバス

環境に配慮した次世代の自動車と期待される電気自動車(EV)。さまざまな国や企業で研究が進んでおり、国内でも近隣拠点間連絡用の企業バスや、空港や観光地などで使用される巡回バスにEVバスが取り入れられるなど、私たちの生活にも浸透してきている。

 

富士経済の調査結果によると、2015年のPHV、EVの合計世界市場は55万台。2035年には22倍超となる1,232万台にまで達すると予測している。

EVバスをネクストステージへ!早稲田大学との共同開発

しかし、実用化へはまだまだ課題も多く、充電時間が長いことや、燃費の問題が挙げられる。例えば、長距離を走るためには電池の搭載量を増やす必要があるが、搭載量が増えると電池の重さで燃費が悪くなってしまうなど難しい問題を抱えている。また、雨天時は充電用ケーブルの着脱が面倒という声もあり、現場のオペレーション面で大きな負担があった。

 

東芝ではそうした課題を解決するため、環境省委託事業「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の一環として、早稲田大学理工学術院紙屋雄史教授研究室と共同で独自の中型EVバスを開発。

この動画は2016年5月30日に公開されたものです。

バス電動化の促進に向け、実証実験がスタート

東芝のEVバスは、2016年5月より、国際戦略総合特区である川崎市殿町のキングスカイフロント地区および羽田空港、それらの周辺地域において、川崎市・全日本空輸株式会社の協力を得て、小型・中型2台のEVバスを運行。ワイヤレス充電システムを共用する実証試験を行っている。

羽田空港で実証試験を行っているEVバス
羽田空港で実証試験を行っているEVバス

本試験では、ディーゼルバスと比較した場合のCO2削減量を公道ルートでの走行に基づいて実証するほか、長期間の実証実験でワイヤレス充電技術の耐久性・耐候性などもチェックしていく。

 

今回のEVバスは利便性が格段に増すとともに、最高速度は時速94km(※)にまで上がり、これまで難しいとされていた高速道路の走行も可能になった。共同で開発を進めた紙屋教授も普及へ向け大きな期待を寄せている。

 

「今回のプロジェクトでは、完成度の高い”短距離走行・高頻度充電型電気バスシステム”を構築することに成功しました。今回実施する試験は,当コンセプトを採用した電気バスを高速道路運行に初めて応用することを目的としています。ここで得られる知見は、今後のバス電動化の促進に大きく寄与すると確信しています」

(※)車両性能試験結果

進化を支えた2つの技術

今回開発したEVバスは、ケーブルを接続しなくても充電ができる「ワイヤレス急速充電システム」と急速充放電を繰り返しても劣化の少ないリチウムイオン二次電池「SCiB™」を搭載している。この2つの技術により、実用化への大きな壁となっていたさまざまな課題の解決が期待されている。

 

「SCiB™」は、15,000回以上の急速充放電を繰り返しても劣化が少ない耐久性に優れた電池である。1日に何度も充電する必要があるEVバスにはうってつけだ。急速充電できる「SCiB™」の特性を生かし、電池の搭載は少なくして軽量化した。「短距離走行・高頻度充電」で、運行ごとに短時間の繰り返し充電を行うことで重量および燃費の問題を解決した。

リチウムイオン二次電池「SCiB™」

一方「ワイヤレス充電システム」は、小型EVバスと中型EVバスに共通で使用することができ、約15分で充電を完了することができる。

 

また、これまでの充電システムでは、充電をする際にバスから受電パッドと呼ばれる機器を降ろし、道路上の送電パッドに近づける必要があった。上げ降ろしの機構を別途取り付けなければならず、メンテナンスの上でも課題となっていた。

 

本システムでは、ワイヤレスでの充電を可能にしており、送電パッドと受電パッドが13cm離れていても給電が可能だ。さらに、送電パッドと受電パッドが左右20cm、前後10cmまでならずれていても充電できる。駐車時の位置合わせも簡単になった。

EVバス充電用送電パッド
道路中央の送電パッド上に、車体を停車させるだけで充電が可能だ。
充電のために送電パッド上へ向かうEVバス
充電のために送電パッド上へ向かうバス

東芝では今後、さらなる充電時間の短縮のために100kWを超える受電電力を持つワイヤレス充電システムの開発を目指す。本システムでは給電設備自体の普及が重要であるため、関係企業や国の協力も不可欠だが、バス以外の自動車など、さまざまな移動手段に展開することで、環境負荷低減と利便性向上に大きく貢献するはずだ。

 

さらには、ワイヤレス充電技術は、携帯電話やタブレットPCなどへの応用も進んでいる。現在、安全面や他の無線機器への影響の低減も含め、研究開発を進めている。EVバスの進化を支えたワイヤレス充電システムは、今後もさまざまなシーンで活躍してくれそうだ。

 

■出典

富士経済(「2016年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」)
https://www.fuji-keizai.co.jp/market/16051.html

関連サイト

※ 関連サイトには、(株)東芝以外の企業・団体が運営するウェブサイトへのリンクが含まれています。

東芝の二次電池 SCiB™ | 東芝

東芝:ニュースリリース (2016-05-31):リチウムイオン二次電池「SCiB™」を搭載したワイヤレス充電中型EVバスの実証走行を開始

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