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水処理には膨大な電気が必要!?
下水道を支える省エネ技術とは?

この記事の要点は…

人口減少により下水処理場には大きな危機が訪れる可能性が!

下水処理に大きな電力コストがかかる理由とは…?

電力コストの増大を引き起こすジレンマを解決する技術に注目!

トイレや浴室、台所など、私たちの日常生活には「排水」がつきもの。雨水なども含め、人々の生活圏から排出される膨大な下水は、足元のアスファルトの下の下水道を通り、しかるべき施設で浄化処理が行われているのは周知の事実だろう。しかし、この下水処理に使われる電力量は年間で約70億kWh(※1)。これは、211万世帯の年間電力使用量に相当する数値だ。

※1 公益社団法人 日本下水道協会「下水道における地球温暖化対策」
 https://www.mlit.go.jp/common/000172036.pdf

また、下水道は全国への普及が進み今やなくてはならない重要なインフラのひとつであるが、老朽化した施設の維持管理や更新をどのように進めていくかが大きな課題となっている。今後、人口減少が進むと、国や地方公共団体における財政事情が厳しくなることが予想され、下水道事業を継続していくためには、電力コストをはじめとした中長期的な維持管理コストの低減が欠かせないのだ。

下水道処理施設

下水道処理施設

高い水質のための高い電力コスト

「国内電力使用量に対する下水処理の割合が大きいのは、下水処理フローにおける『曝気(ばっき)処理』という処理工程が一つの原因です。曝気処理だけで下水処理全体の電力使用量の約3割から6割を費やしています」(東芝インフラシステムズ株式会社 水・環境システム技術第一部 平岡由紀夫氏)

東芝インフラシステムズ株式会社 水・環境システム技術第一部 平岡由紀夫氏

東芝インフラシステムズ株式会社 水・環境システム技術第一部 平岡由紀夫氏

「曝気」とは水中に酸素を送り込むことをいう。下水処理では、まず沈砂池や最初沈殿池とよばれる池でごみや砂、汚れなどを沈殿させ、その後、下水を反応タンクに送り込み、微生物の力を借りて汚れを分解する。その後、ろ過・塩素消毒して海や川に戻すのだ。だが、この微生物は分解過程で酸素を必要とし、活発に働かせるためには、常に水中に酸素を送り込まねばならない。つまり、この曝気処理は微生物により下水を浄化するために、なくてはならないプロセスなのだ。

下水を浄化し河川に放流するためには厳しい排水基準を満たす必要がある。そのため曝気風量(※2)は過剰になりがち。それが電力使用量の増大に拍車をかけている。消費電力を抑えれば、それだけ水質が悪化する恐れもあるわけだから、単純には電力消費量を削減できない。

省エネをとるか、水質をとるか。トレードオフの関係にあった2つの要素を両立させたのは、一つの意外な着眼点だった。

※2 曝気風量:曝気の際に酸素を送り込む風量のこと。

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