お笑いジャーナリスト・たかまつななさんと学ぶ「SDGs×東芝」

2017/12/27 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 従業員にSDGsを楽しく学んでもらうには
  • 広がるアイデア、「東芝×○○」で課題解決!
  • SDGsに対する東芝の思い
お笑いジャーナリスト・たかまつななさんと学ぶ「SDGs×東芝」

2030年までに「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」「平和と公正をすべての人に」といった世界の課題解決に向けた共通の目標として2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)。目標達成に向け、企業に対してもSDGsの視点を取り入れた活動が求められている。「企業としてSDGsの達成にどのように貢献するか?」。その答えへの第一歩は、従業員がSDGsの趣旨を理解すること。今回は東芝の啓発活動を紹介する。

SDGsを身近なものだと感じてもらうために

「SDGsと聞くと、大半の人が『何だろう?』と思うのが現状だと思います。CSRを担当する私たちは、SDGsをまったく知らない人が参加したくなるような、そしてSDGsに興味を持ってもらえるようなイベントを企画しようと考えました。集合研修やe-Learningなどという方法もありますが、教育というよりは楽しみながらSDGsを知ってもらうきっかけづくりができないかと思いました。
そんな時、高校生向けに政治について分かりやすい授業をしたり、JICA(注)の「なんとかしなきゃプロジェクト」の著名人メンバーとして新興国を取材訪問するなど、活躍しているお笑いジャーナリストのたかまつななさんのことを知りました。彼女ならSDGsについても、きっと楽しく分かりやすく説明してもらえるのではないかと思い講演をお願いしたところ、すぐに快諾いただき、今回のイベントのために新たなコンテンツを作成してもらいました。実際にお会いしてみると、24歳という若さにも関わらず海外での経験も豊富で、社会をよくしたいという強い意志を感じました。」(CSR経営推進室長 相馬季子氏)

 

注:JICA(独立行政法人国際協力機構/Japan International Cooperation Agency)
日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力
を行っている独立行政法人。

CSR経営推進室長 相馬季子氏

株式会社東芝 CSR経営推進室長 相馬季子氏

こうして企画された「お笑い講演会『たかまつななのSDGsを召し上がれ』」は業務終了後に社員食堂で開催されることになった。SDGsを教育ではなく楽しんで知ってもらいたいという思いが好評を得て、定員150名を超える応募があった。

みんなでSDGsを考えよう

講演では、たかまつななさんがお笑い芸人のユリオカ超特Qさんと掛け合いやクイズをしながら、自身がこれまで海外で取材してきたことなどを通じて、どういった活動がSDGsにつながるのかを紹介した。

 

例えば、食材が並ぶスーパーマーケットの写真を見せながら、「どんなスーパー?」と問いかける。その答えは「賞味期限切れ間近の商品を無料で提供するスーパー」。参加者はこのスーパーを運営する市民団体の活動がSDGsで掲げる目標「1.貧困をなくそう」や「2.飢餓をゼロに」の達成につながっていることに気付かされる。

会場の笑いを誘いながらSDGsを説明する
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会場の笑いを誘いながらSDGsを説明する
たかまつななさん(左)とお笑い芸人のユリオカ超特Qさん

講演会の後半は、参加者全員が参画するワークショップ「東芝×SDGs」を実施。内容はSDGsを推進するために、東芝の事業と他業種のコラボレーションで何か新しいことができないかというアイデア出しをするものだ。コラボレーションする相手は、「新聞社」「商店街」「ファッション」など、たかまつななさんからお題として提示され、くじ引きで決まる仕組みだ。隣り合わせた従業員同士で6人一組のグループになり、それぞれ意見を交わすことで自分たちの事業を通じてSDGsに貢献できないかを考えてもらうきっかけとするのが狙いだ。アイデアの例を紹介しよう。

 

「東芝×商店街」
これは自分が気に入っている商店などの情報を東芝が提供するプラットフォームで世界に発信しようというもの。ただ、世界に発信するには言語の壁がある。そこを東芝の音声認識、音声合成、自動翻訳、画像認識などのAI技術を活用し、世界中の人々に伝わる情報として届けることで地域の活性化につなげようというのである。SDGsが掲げる「11.住み続けられるまちづくりを」につながるアイデアといえよう。

会場の様子

実際にビジネスとして成立するかはさておき、こうしたアイデアを出し合うことで、参加者はSDGsを自分の身近なものとして捉えることができたのではないだろうか。

社長に聞いた。SDGsに対する思いとは?

講演会の締め括りは、たかまつななさんと綱川社長が会場で紹介されたアイデアも含めて東芝のSDGsに対する思いについて対談。ここではやり取りの一部を紹介しよう。

たかまつななさんと網川社長の対談の様子

たかまつなな:東芝が制作したSDGsのポスターがありますが、ここに書いてあるサインのようなものは何ですか?

綱川社長:これは「Tsuna」という私のニックネームです。私は高校生の時は「ホワイト・ツナ」、アメリカ駐在時には「ビッグ・ツナ」と言われていました。そこでメールを送る時に署名に「SDGs Tsuna」と書くことにしました。するとメールを受け取った人が「SDGsって何だ?」ということになりますよね。少しでも普及すればと思っています。
たかまつなな:社長自ら普及させているのですね。

 

たかまつなな:そもそも社長がSDGsを知ったのはいつですか?
綱川社長:昨年ですね。そういった意味ではまだ一年生です。国連で開催された国際フォーラムで岸田外務大臣とピコ太郎さんが日本の取り組みを宣伝していましたよね。今度は安倍首相とななさんが一緒に国連で日本の取り組みをアピールしてもらいたいと思います。
たかまつなな:それは、ぜひ社長から政府へ一言お願いします!

 

たかまつなな:東芝のSDGsはどのような活動をしているのですか?
綱川社長私たちのミッションは社会の課題を解決することだと思って事業をしています。SDGsという言葉ができる前からやっていますので、SDGsは出会う前から知っていたことになりますね。先ほどのワークショップで発表があったように、これからも我々の技術を使って社会に貢献するという思いで事業をしていきます。

 

たかまつなな:社員の方からSDGsに貢献できるからワークショップで出たアイデアをやりましょうと言われたらどうしますか?
綱川社長:提案されたアイデアが良いものだということは理解できると思うのですが、問題は「その資金は誰が出すのか」ということですね。でも、その商品やサービスを多く提供できればコストも安くなるので、実現できれば社会に貢献できるのかなと思います。

 

たかまつなな:SDGsへの取り組みは個人でやることも大事だと思いますが、社長が個人的に興味を持っていることはありますか?
綱川社長:私はもともと医用機器の事業を担当していて、ななさんがJICAを通じて世界を回っているのと同じように、世界中に医用機器を販売していました。なので、個人的には「3.すべての人に健康と福祉を」という目標が一番ピンときますね。

 

たかまつなな:SDGsを実際のビジネスに落とし込むのは難しいと思うのですが・・・。
綱川社長「社会で困っていることは何か、それを助けられないか」という発想で事業計
画を作ることが、自然とSDGsにつながるのではないかと思います。目標設定やビジネスモデルを作る時に17の目標を指標にすると、より力強い事業計画になると思います。

 

たかまつなな:今後、東芝でどのようにSDGsに取り組んでいきたいかなど、考えはありますか?
綱川社長:今はSDGsを理解して意識する段階だと思っています。それを深めるには時間がかかると思いますが、「我々のミッションは社会の課題を解決し続けることだ」という
思いを世界中の従業員に広げることが重要です。我々は500社以上のグループ会社がありますが、ななさんにも行ってもらって・・・。

 

たかまつなな:私は「笑える!政治教育ショー」という出張授業を始めた時に一人ではできないと思い、有名な芸人さんを集めました。私が行けなくでも他の芸人さんが出張授業として全国を回る活動をやっています。ぜひ、芸人を集めるので行かせてください!

握手をするたかまつななさんと網川社長

SDGsの理解に向けて持続的な活動を

「今回の講演会は、参加した方から『SDGsを知る良いきっかけになった』という声が多くありました。ただ、これに満足してはいけないと思っています。大事なのは一人ひとりがSDGsで掲げられた17の目標を意識して、何ができるのかを考えて行動してもらうことです。参加された方には社内でSDGsのインフルエンサーになってもらえればと思っていますが、もっと多くの従業員にSDGsについて考えるきっかけを継続的に提供していく必要があると思っています。
CSR部門としては、SDGsを実際に事業に落とし込んでいくには関連部門との連携が欠かせません。そのために、経営層の方々にもSDGsについて理解を深めていただくとともに、多くの従業員にSDGsを知ってもらうための勉強会や説明会などを継続して開催していきたいと思っています。」(相馬氏)

 

持続可能な開発目標であるSDGs。その達成に向けては、企業においても地道な啓発活動を継続的に行うことで、一人ひとりが「社会の課題に対して自分がどう貢献できるか」を意識するようになることが重要なカギとなるのではないだろうか。

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