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海芝浦 閉じられた地の開かれた想像力


海芝浦 閉じられた地の開かれた想像力

この記事の要点は…

海芝浦&鶴見線の魅力と高度経済成長の意外な関わりとは?

海芝公園誕生秘話をご紹介!

開かれた公園から閉じられた海芝浦の魅力を堪能しよう!

東京近郊の秘境駅「海芝浦」。鉄道ファンに根強い人気のある駅だ。改札の外は東芝の京浜事業所の敷地となるため、基本的には出られない構造となっている。なぜこのような“出られない”駅が存在するのだろうか。

それは昭和6年まで、この辺りを東芝の自家電車が走っていたから。昭和15年、埋立地の鉄道事業を担っていた鶴見臨港鐵道株式会社が運営する鶴見臨港線が現在の海芝浦駅に通るようになった。その後、第二次世界大戦が勃発し、京浜事業所の前身・鶴見工場も軍需工場に。その関係で、昭和18年、国鉄に買収され、鶴見線の駅として再誕生した。

当時、鶴見臨港線を走っていた車両(鶴見臨港鐵道株式会社様ご提供)

当時、鶴見臨港線を走っていた車両(鶴見臨港鐵道株式会社様ご提供)

海芝浦駅最大の魅力は、国内の駅の中で最も海に近いこと。隣には海芝公園があり、海を挟んで工場風景を楽しめる。「インスタ映え」や「工場萌え」が流行する近年、鉄道ファン以外の人気も上昇中だ。

今回、通常は立ち入ることのできない東芝敷地内から撮影した貴重な海芝浦の写真を交えつつ、海芝浦と海芝公園をより楽しむための魅力をご紹介しよう。

鶴見線それ自体の魅力って?

海芝浦駅は鶴見線の終着駅で、その一つ前が新芝浦駅。どちらも東芝の前身・芝浦製作所が名前の由来だ。新芝浦は東芝用地内にできた「新しい芝浦の駅」という意味、海芝浦は「新芝浦よりも一段と海に近い」という意味である。

「海が近い」が由来であるものの、海芝浦の目の前に広がるのは海というより運河。これは京浜運河と呼ばれ、東京都港区田町付近から、品川区、大田区、神奈川県川崎市を経て、横浜市鶴見区大黒ふ頭まで続いている。

目の前には京浜運河が広がっている

目の前には京浜運河が広がっている

そもそも海芝浦駅のみならず鶴見線それ自体が大きな魅力を持つ。始発駅の鶴見駅以外、鶴見線沿いは全て無人駅であることに加え、景色も住宅地から工場へと変化していくのがポイントだ。

京浜事業所にはタービンの構成機器などがモニュメントとして設置されている

京浜事業所にはタービンの構成機器などがモニュメントとして設置されている

海芝浦に近づくにつれて工場が多くなるのは、この一帯が日本の高度経済成長に大きく貢献した土地だから。この時期、特に目覚ましかったのは重工業の発展だった。

東芝も当時、この地域に工場を抱えていた。現在の海芝浦にある京浜事業所もその一つだ。一方、鶴見川河口にあるタービン工場では単機容量1,000MW級までの超大形タービン製造が可能。150MW以上の大形蒸気タービン製造の単独工場としては、世界屈指のものとされた。

当時から海芝浦に工場を抱え大形蒸気タービン発電機を製造していた

当時から海芝浦に工場を抱え大形蒸気タービン発電機を製造していた

こうして火力発電が主流になる中、350MW、375MWなどの日本最大の超大形タービン発電機や、これに伴う送変電機器を生み出す。そのエンジンとなった地の一つが、まさにここ海芝浦なのである。

海芝浦は高度経済成長を支えた土地の一つ

海芝浦は高度経済成長を支えた土地の一つ

高度経済成長終焉後、バブル景気を経て、1990年代から日本経済は低迷期を迎える。ここで頭を悩ませたのが京浜事業所の総務担当者。時代は“地域に開かれた企業”を求めるようになっていたからだ。

こうした時代の流れが海芝公園を生み出したのだった。

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