TOP > 人・取り組み > ジャパンラグビーを育てた 廣瀬選手が語る究極のリーダー論

ジャパンラグビーを育てた 廣瀬選手が語る究極のリーダー論


ジャパンラグビーを育てた 廣瀬選手が語る究極のリーダー論

ジャパンラグビーの人気が止まらない。2016年1月24日に行われたLIXIL CUP 2016ファイナル「東芝ブレイブルーパスvsパナソニックワイルドナイツ」では、24,000人を超えるファンが集結し、今シーズンのチャンピオンを決める一戦を盛り上げた。

試合終了間際、意地のトライを決め、決まれば優勝というコンバージョンキックは惜しくも外れ、東芝は1点差でパナソニックに敗れた。しかしその健闘を讃えて客席からは大きな拍手が送られた。選手、チーム、観客が一体となって感動を分かち合った瞬間だった。この一戦により、多くの人が改めてラグビーの魅力を体感したに違いない。2019年のワールドカップ日本大会へ向け、国内のラグビー熱は高まるばかりだ。

ジャパンラグビーを支え続ける男

東芝ブレイブルーパス 廣瀬俊朗選手

そんなジャパンラグビーの成長を支え続けている男がいる。東芝ブレイブルーパスの廣瀬俊朗選手だ。廣瀬選手は高校、大学、東芝、日本代表とすべての組織でキャプテンを経験しており、エディー・ジョーンズ氏に「自分がラグビー界で経験した中で、ナンバーワンのキャプテン。日本代表の根幹をつくったのは間違いなく彼だ」と言わしめるほど、キャプテンシーに優れていることでも有名だ。

2015年に日本代表の主将を外れてからも、廣瀬選手はチームのために自分に何ができるのかを熟考し、相手国の動きを徹底研究した。コーチ陣からも南アフリカのアタック分析を頼まれるなど、チームの戦略を立てるうえでも重要な役割を果たしたほか、自主的に関係者700人からのエールVTRを制作し、南アフリカ戦前に控え室で上映。ベンチ入りこそ果たせなかったものの、チームの団結を促し歴史的な勝利に貢献した。

今回はそんな廣瀬選手にラグビーの第一線で培った、組織をひとつにするためのリーダーの心得を訊いた。

勝つチームには大義がある

インタビューに答える廣瀬選手

勝つチームには大義があります。これはラグビーに限らず、すべての組織に共通していることだと思います。そのチームがなぜ存在するか、という意義を皆で考え、共有できるチームは強い。というより、それがないとチームはなかなか前へ進めないんです。私が日本代表でキャプテンを任されていたとき、エディーと常に口にしてきたのは、”日本のラグビーのファンを幸せにできる喜び”と”日本ラグビーの新しい歴史を築いていく楽しさ”の2点でした。実を言うと、エディーには最初の頃、苦手意識をもっていました。これでもかというくらいにきついことを言うし、言葉のかけ方も辛辣です。しかし、彼は日本ラグビーを変えたいという大義を持っていた。だからこそ、一緒に頑張れたという気がします。ラグビーという素晴らしいスポーツに多くの人に触れてもらいたい、そして、そのために私たちは勝利を目指す。それが日本代表の大義となっていました」

勝つためにプレーをするのではなく、ファンにラグビーの素晴らしさを伝えるために勝利を目指す。後者のような大義を皆が共有することで、たとえ試合に負けてしまったとしてもそこには必ずチームの「ストーリー」が生まれる。実際にワールドカップの時も、選手たちは日本代表を応援してくれる人たちとともに喜びを分かち合えるようなプレーを精一杯しようと心掛けていたという。果たして、結果は素晴らしいものとなったが、たとえ結果が出なかったとしても、チーム全員がそういった想いでプレーをしているチームというのは、非常に強い組織に違いない。次の機会に向け、必ず成長していけるだろう。

「ですから、リーダーはどんなに拙い言葉でもよいので、自分の言葉で話をしなければいけません。初めから大義を語ることが難しいなら、自分の言葉で自分の想いを語ればいい。きっと誰しもがチームのメンバーに思っていることがあるはずです。それを素直に伝えればいいんです。私の場合であれば、大事な試合の前には”みんなのことが好きで、みんなと試合ができることが本当に幸せだ”という感謝の気持ちを伝えます。そこから、”ここで日本のラグビーファンを喜ばすことができるのは自分たちだけだ。だから、その使命を果たせる幸せを感じながらプレーしよう”と大義にまで踏み込む。大義があることで、人はつらいことがあってもその先の喜びを想像することができます。使命感が生まれ、頑張れる。そうするとチームが動き出すんです。そのためには、リーダーが自分の言葉で大義や想いを語ることが不可欠だと思います

> 次ページよりよいリーダーになるために、個人としての進化を楽しむ

Related Articles Related Articles
  • 渋谷のイメージが大きく変わる! 学生視点とデザイン思考の化学反応

    渋谷のイメージが大きく変わる! 学生視点とデザイン思考の化学反応

  • アイデア創出でつながる若手 パッションが生み出す技術コラボ

    アイデア創出でつながる若手 パッションが生み出す技術コラボ

  • モーションキャプチャで探る 技能の匠の動きの秘密

    モーションキャプチャで探る 技能の匠の動きの秘密

  • 逆境をチャンスに! 受け継がれる超電導技術の未来とは?

    逆境をチャンスに! 受け継がれる超電導技術の未来とは?

  • 電気抵抗ゼロの世界 超電導技術の大いなる飛躍

    電気抵抗ゼロの世界 超電導技術の大いなる飛躍

  • レジのプロが教える 意外と知らない5つのトリビア

    レジのプロが教える 意外と知らない5つのトリビア

  • クレイアニメーションが魅せる ボーダーレスな世界

    クレイアニメーションが魅せる ボーダーレスな世界

  • お笑いジャーナリスト・たかまつななさんと学ぶ「SDGs×東芝」

    お笑いジャーナリスト・たかまつななさんと学ぶ「SDGs×東芝」

  • モノづくり現場の「技」の伝承 若きホープと匠の絆

    モノづくり現場の「技」の伝承 若きホープと匠の絆

  • 文芸評論家で東芝研究者 奥野健男と探る文学と科学の交差点

    文芸評論家で東芝研究者 奥野健男と探る文学と科学の交差点

  • 日本人に最適化したゲノム解析ツール 『ジャポニカアレイ®』が拓く未来とは!?

    日本人に最適化したゲノム解析ツール 『ジャポニカアレイ®』が拓く未来とは!?

  • 東芝 技能の人 ぶれない「技」への思い

    東芝 技能の人 ぶれない「技」への思い

  • 東芝 技能の人 明日へのメッセージ

    東芝 技能の人 明日へのメッセージ

  • スタートアップと大企業が組んだ オープンネイルの“確信”

    スタートアップと大企業が組んだ オープンネイルの“確信”

  • 指先がデバイスになる!? “革新”のオープンネイル

    指先がデバイスになる!? “革新”のオープンネイル

  • IoTで変わる!未来エレベーター 柔軟な発想がビジネスのヒントに

    IoTで変わる!未来エレベーター 柔軟な発想がビジネスのヒントに

  • スポーツ映像アナリティクスの最前線 ディープラーニング×画像認識技術の可能性

    スポーツ映像アナリティクスの最前線 ディープラーニング×画像認識技術の可能性

  • ICTの力で戦略立案や選手強化を! 日本ラグビーはさらなる進化へ――!

    ICTの力で戦略立案や選手強化を! 日本ラグビーはさらなる進化へ――!

  • 震災復興を支えるチカラ 次代を担う人材の育成

    震災復興を支えるチカラ 次代を担う人材の育成

  • 元東電社員の奮戦 太陽光発電がけん引する、被災地の再生

    元東電社員の奮戦 太陽光発電がけん引する、被災地の再生

  • モノやサービス、そしてライフスタイルも― UX視点のデザインには終わりがない

    モノやサービス、そしてライフスタイルも― UX視点のデザインには終わりがない

  • うれしい体験をつくり出す UXデザイン視点のモノづくり

    うれしい体験をつくり出す UXデザイン視点のモノづくり

  • 次世代の科学リーダーが集結! 日米高校生の未来アカデミー

    次世代の科学リーダーが集結! 日米高校生の未来アカデミー

  • 「空港の顔」、総合案内表示盤リニューアルPJ を支えたANAと東芝の“共創”

    「空港の顔」、総合案内表示盤リニューアルPJ を支えたANAと東芝の“共創”

  • 僕らの未来はここから始まる 歴史と科学と楽しく触れあえる「東芝未来科学館」

    僕らの未来はここから始まる 歴史と科学と楽しく触れあえる「東芝未来科学館」

  • 組織を超えた繋がりが生む ボトムアップのイノベーション

    組織を超えた繋がりが生む ボトムアップのイノベーション

  • 新エネルギーの確立へ 水素エネルギーのいまと未来

    新エネルギーの確立へ 水素エネルギーのいまと未来

  • 社会を支えるリチウムイオン電池 ある日本人の貢献

    社会を支えるリチウムイオン電池 ある日本人の貢献

  • ASEANが変わる TYCAが育む次世代リーダー達

    ASEANが変わる TYCAが育む次世代リーダー達

Archives
  • エネルギー
  • 社会インフラ
  • 電子デバイス
  • デジタルソリューション
  • 研究開発
  • 人・取り組み