安全で快適な空の旅を支える 空港の施設を大解剖!

2017/08/30 Toshiba Corporation

この記事の要点は...

  • 東芝の技術は空の玄関口のここにも生かされている!
  • 利用者の安心と安全を追求した、東芝の技術とは?
  • 舞台裏で積み重ねられている、空港の進化と発展に着目!
安全で快適な空の旅を支える 空港の施設を大解剖!

国内外への交通インフラとして、多くの飛行機が行き交っている空港。当然、その管理運営にはさまざまな先端技術が用いられている。日頃、乗客として何気なく利用している施設から、一般の人が触れることのない運航システムまで、その領域は多岐に渡っている。
空の玄関口とも言うべき空港で、東芝の技術がどのように使われ、貢献しているのか――?その舞台裏を紹介していこう。

LED化が推進される空港内の照明設備

空港で最も目につきやすい設備の1つが、構内や駐機スペースを照らす照明だろう。中でも、羽田空港に隣接するJALメインテナンスセンターにおけるLED照明へのリニューアルは、東芝が最近手掛けたものだ。

 

1993年に竣工したJALメインテナンスセンターは、航空機の整備点検はもちろん、航空機の運行を支えるさまざまな業務を担う施設。一般見学客も受け入れているので、ご存じの読者も多いかもしれない。今回のリニューアルにおける改修工事では、航空機の運行に必要な業務を妨げることなく、既設の照明設備について段階的にLED化が進められた。

 

例えば航空機のメインテナンスを行う格納庫であるハンガードックでは、奥行き100メートルにも及ぶ広大な空間を照らす強力な照明が必要となる。しかも点灯時間は1日あたり10時間というから、LED化による省エネ効果の大きさは想像に難くない。今回のリニューアルでは、平均照度(※1)を従来の100ルクスから約3倍の300ルクスに向上しながら、大きな省エネ効果も実現できたのである。
※1平均照度:ある光源によって照らされている面の明るさの度合い。単位はルクス。

 

空港内の照明設備といえば、他にも施設の一般照明をはじめ、エプロン(※2)照明や航空灯火(※3)など、枚挙にいとまがない。すでにエプロン照明や誘導路灯火ではLED化が進められており、今後は滑走路灯火のLED化も視野に入れられているという。
※2 エプロン:乗客の乗降や貨物の積み降ろしなどを行うために、航空機を駐機する場所のこと。
※3 航空灯火:滑走路や誘導路の路面に点灯している灯火のこと。

乗客をナビゲートする案内板にも技術の粋が……!

旅行や出張をする乗客の多くが、空港に到着してまず探すのが、向かうべき搭乗ゲートを示す案内板ではないだろうか。全日本空輸株式会社(ANA)が就航する国内線の空港50拠点のうち、東芝が34空港に納入した総合案内表示システム、通称「Canary(※4)」もまた、舞台裏で日々進化し続けてきた重要なアイテムの1つである。
※4「Canary」:Comfortable ANA’s Navigation Machineryの略称

総合案内表示システム Canary

以前のデザインでは、出発時刻や行き先、便名、運航状況と、左から右へ順に視点を移動させるうちに、いつの間にか見ている行がずれてしまうという難点があった。そこで、情報を見やすくするためにレイアウトや表示する文字サイズやコントラストなどを改善し、瞬時に視認しやすい表示を実現させている。また、日・英・中・韓の4カ国に対応したことも、昨今のインバウンド需要をサポートしているに違いない。

運航情報システム

さらに、運航情報の管理においても基幹システムの進化は著しい。先般、東芝が納入したANAの運航情報システム(FIS)は、コードシェア便(※5)を含めると、国内線・国際線で1日約1,200便のダイヤを管理している。
※5 コードシェア便:提携する複数の航空会社の便名を、1つの定期航空便に付与して運航するもの。

 

ダイヤ統制から駐機中の作業工程管理、スポット情報管理、乗継旅客管理まで、毎日の運航に直結するシステムであり、トラブルの発生は直ちに運航に支障をきたすことにつながる。ANAが就航する全ての空港で、日々、安全・定時・快適な運航が保たれている背景には、このようなシステムの進化と適切な運用が大きく貢献しているのである。

世界の空港で活躍、東芝の航空管制用レーダーシステム

運航情報システム以外にも、空港エリアや航空路を運航する航空機の飛行状況を探知し、航空機の位置情報を地上の管制官に提供する航空管制用レーダーシステムや、パイロットに地上から航空機の方位情報を提供する無線標識装置、空港エリアの気象を観測し、雨や風の情報を知らせる空港気象ドップラーレーダーにおいても、東芝の技術が活躍している。いずれも取得する情報のアップデートを重ねながら精度や利便性を高め、とりわけ無線標識装置は、国内のみならず、フィリピンやマレーシア、インド、スペイン、ポルトガルなど、多くの国で導入、運用され、今後もさらにグローバルに広がっていくものと期待される。

レーダーシステム

コンパクト設計の「動く歩道」が登場

乗客の視点で身近な施設にも目を向けてみよう。空港といえばそれぞれが広大な敷地を持つ大規模施設であるために、空港内での移動がひと苦労と思う人も多いだろう。そんな時、エレベーターやエスカレーターの他に、空港の至る所で見かける「動く歩道」もまた、空港利用者の重要な移動手段なのである。これらもより使いやすく、より便利になるよう、進化を続けている。

 

例えば関西国際空港第1ターミナルビルで稼働している新しい「動く歩道」は、設置に必要なピット(掘り込み)を浅くしたコンパクト設計が特徴で、設置の自由度が増していることから、今後もさらに多くの空港や駅などの公共施設への導入が進み、乗客の移動をサポートすることができるだろう。

動く歩道

こうした進化は、あまり目に留まりやすいものではないが、確実に利用者に恩恵をもたらしている。国内外への移動がより安全で快適に行なえるのは、その舞台裏で日々多くの技術が研さんされているからなのだ。

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