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組織を超えた繋がりが生む ボトムアップのイノベーション


組織を超えた繋がりが生む ボトムアップのイノベーション

イノベーションを通じ、人々の生活と世の中を変える――。そんな高い志を持ってスタートアップを立ち上げる起業家が増えている。

一方、企業の中でも「イノベーションを通じ社会を変えていきたい」という想いを持っている社員の活動が活発になってきている。しかし大企業になるほど、多様な人材がいるにもかかわらず、普段の業務は細分化されており、部署が違えば出会うことも少なく、新しい何かを積極的に相談できる場も限られている。想いをもって何かを前向きに始めたいと考える人たちを部署やグループを超えて繋げる場が必要だ。

そこで東芝では組織を超えて、「何かを始めたい」人たちが集える場作りを有志で始めた。前のめりな人たちが集い、新たなネットワークを形成していくため有志で社内コミュニティを立ち上げた。

「0→1」を生みたい人をつなぐ

社内コミュニティの生みの親である千木良氏(左)と金子氏(右)

社内コミュニティの生みの親である千木良氏(左)と金子氏(右)

「この活動はコンセプチュアルにいうと、未来の花を咲かせるための根っこをそだてることを目的としています。ロゴには人と人とがつながり、明日の根になるという意味が込められています」

そう語るのは、千木良康子氏だ。千木良氏は金子祐紀氏とともにこの社内コミュニティを立ち上げた。

コミュニティでは、主体的に考え創造できる人を対象にした東芝グループ内のネットワーキング活動として、社内の多様な部門から新価値創造に関心が高い人材を集め、イノベーション感度の高い有識者の講演会やワークショップなどを支援している。“0→1を生みたい人をつなぐ”をキャッチコピーに、17時以降や休日などの業務時間外を使って、集まりたい人が集まるというシステムだ。

参加者には若者が多いと思いきや、管理職クラスの「もっと新しいことをやらねば!」と危機感を持っている人たちの参加も多いという。年齢だけでなく、性別、職種などもバラバラで、参加者に多様性があるのも大きな特徴のひとつだ。

社内コミュニティのロゴ。「人」が重なり、「根」を形成している様子を表現している

社内コミュニティのロゴ。「人」が重なり、「根」を形成している様子を表現している

大企業で自分のアイディアを実現させるには

多くの人たちの交流の場となっているこのコミュニティだが、その誕生の経緯はどのようなものだったのだろうか。金子氏は以前から抱いていた想いをこう振り返る。

金子祐紀氏

「自分はテレビのエンジニアをしていたのですが、今思うとその頃は周りにいる同じ部門の数十人としか話をしていませんでした。本社のことや別のカンパニーの人がどんなことをしているかはわからないままです。そんな中、本社の商品企画に異動になり、これまでとは違う、色々な部門の方と話をしているうちに、新しい視点でものを見ることができるようになってきました」

印象的だったのは「現場」という言葉の使い方も部門によって変わってくるというエピソードだ。例えば、商品企画は競合他社がこれからどういう機能を出してくるかなど、トレンドを読みそこに合わせて企画をしていくが、時にはかなり厳しいスケジュールで開発部に依頼をすることがある。それに対し開発部から、それは無茶だと返答があった場合に、商品企画の人間は、開発部は「現場」をわかってないという。

一方、エンジニアからすれば、言うのは簡単だが実装するのは我々だ、商品企画は「現場」をわかっていないとなる。さらに営業からすれば、すでに量販店の棚の枠を抑えていたりするため、開発が遅れるというのはまるで「現場」をわかっていないというようになっていく。

“現場”というのは非常に主体性のある言葉でもあるのですが、よくない面としては、皆それぞれが自分のところだけを現場ということです。それは結局のところ、社内の横のネットワークがないことが原因なんです。他の仕事を知る機会がないために、自分たち中心で物事を考えてしまうわけです。そういった経験から、普段の業務をスムーズに進行させるためにも、横のつながりは大事だなという想いがありました。それがネットワークをつくるコミュニティの必要性を強く感じるきっかけになったと思います」

千木良康子氏

一方の千木良氏は、大企業で自分のアイディアを実現していくことの難しさを感じていたという。

「元々はプロダクトデザイナーとして入社し、音楽プレーヤーやアイロンなどのデザインをしていました。企画から踏み込んで関わることにやりがいを感じていたため、3.11があったときに被災地に対し何か貢献できることはないかと、特設提案チームにアサインされたんです。被災地の声を聴いて、一年がかりで案を練って提案をしたのですが、いざ実行しようというフェーズでビジネスサイドにぶつけても動かせなかった。一度ミーティングをやったきりになってしまい、全くの力不足でショックを受けました。そのときに学んだのが、社会の役に立とうとして外の人といろいろ約束をしても、社内にも人脈がなければ現実には何も動かすことができないんだということでした。社内の人脈は、アイディアをブラッシュアップさせるのにも有効です。頑張ってつくった提案でも自分たちの狭い世界だけで考えたアイディアは、ちょっと外の風にあたると全然ダメということもあります。違う部署や違う立場からの視点が入ることで、よりよい提案ができるようにもなります。大きな組織で何か新しいことをやるには社内のネットワークが不可欠ですね

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