この記事の要点は…
✓ 東芝と順風路が次世代モビリティに向けた実証実験を開始!
✓ 普通では持て余す膨大な運用データ。東芝のAIが解析できる理由とは?
✓ 最先端だからこそ見える「AI×次世代モビリティ」の課題とは?
これは、出発地から目的地までの移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念のこと。ライドシェアなどが注目される今、所有から共有という車両のあり方の変化など、交通業界に地殻変動が起こりつつある。
MaaS(Mobility-as-a-Service)は、ビッグデータ、AI、クラウドなどの最先端のICT技術を活用し、シェアリングなどだけに留まらない、私たちの想像を超える移動手段の変革をもたらし、様々な社会課題の解決につながることも期待されている。
都心部にお住まいであっても、自宅から駅まではバス利用という読者も多いはず。だが、運が悪ければ20分以上の待ち時間が発生。やきもきすることもしばしばだ。しかし、だからといってタクシーを使うほど財布に余裕はない。
低料金かつ待ち時間なしにDoor-to-Doorを実現するサービスがあれば――そんな将来の交通の夢を胸に、2018年7月、東芝と順風路株式会社がタッグを組み、一つの実証実験に乗り出した。
「この実証実験で私たちが提供するのは、予約があったときのみ運行するオンデマンド交通システム『コンビニクル』です」
順風路株式会社 代表取締役社長兼運用推進部部長 吉富広三氏(右)、同社 取締役兼企画開発部部長 神谷聖二氏
そう語るのは、順風路・代表取締役社長 吉富広三氏だ。利用者はコンビニクルをネットで予約し、近くの乗降場で待つと車両が到着。同じような利用者を拾ったり降ろしたりしながら、車両の定員まで乗り合って使用する。
コンビニクルによる運行計画イメージ。乗降場はごみステーションに設置されることが多く、家からごみを捨てに行くほどの距離感覚でコンビニクルを利用できるという。
このコンビニクルの特異な点は、予約があるたびにルートやダイヤを設定することだと、同社・企画開発を担当する取締役、神谷聖二氏は述べる。
「バスだとすでにルートが決まっているため、利用者にとっては無駄な回り道が発生します。しかし、コンビニクルは予約のあった複数の乗降場を最も効率的に結んでルートを組むため、快適に利用できるのです」
コンビニクルに加え、今回の実証実験でもう一つキーとなるのが東芝アナリティクスAI「SATLYS™」である。SATLYS™とは東芝が扱ってきた様々な事業から得た知見を生かしたAIのこと。東芝の入本勇宇次氏に実証実験の目的を伺ってみよう。
東芝デジタルソリューションズ株式会社 ソフトウェア&AIテクノロジーセンター 入本勇宇次氏(左)と、同じく今回の実証実験に携わる、同・上田弘樹氏(右)
「実証実験では、順風路さんがコンビニクル事業で得た運行データを、気象庁のオープンデータや曜日の情報を組み合わせてSATLYS™に分析させ、数週間先までの乗降車場所や時間、人数の需要を予測します。様々なデータを組み合わせるのは、『雨の日にはこの地域に車両を通常の1.2倍回す必要がある』、『日曜日のこのルートは2倍の時間がかかる』などと予測が精緻になるからです。
同時に複数人も乗せて効率的なルートを組む順風路さんのノウハウには本当に驚きます。順風路さんのノウハウと運行データ。ここにSATLYS™と関連する情報を組み合わせれば、私たちが模索する交通の未来に一歩踏み出すことができるでしょう」
実証実験の概要
特にデータはAI解析に必須といえるもの。
「コンビニクルを開始して今年で9年目。千葉県柏市など42カ所の地域で月に7万人を輸送してきました。開始当初から活用法が明確に見えていたわけではありませんが、運用データには必ず価値があると思っていました。ログを取ること。これが私たちの信念だったのです」(吉富氏)
コンビニクルには大量かつ非常に良質なデータがそろっている。SATLYS™を使って、途方もなく膨大なデータをどれほど上手く処理・解析できるか。ここに東芝の腕が試されていた。
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