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電力需要予測にAI導入! ディープラーニングで発電所を効率化


電力需要予測にAI導入! ディープラーニングで発電所を効率化

この記事の要点は…

東京電力が開催した「第1回電力需要予測コンテスト」で東芝が最優秀賞を受賞

電力の「同時同量」を保つために不可欠な需要予測

高精度な需要予測を実現したのは、AIによる多地点のデータ解析と予測値のブレンド技術

東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力)が2017年に開催した「第1回電力需要予測コンテスト」で、東芝の研究開発センター システム技術ラボラトリーが最優秀賞を受賞した。需要が読みにくい端境期(はざかいき)にあたる9月初旬の9日間を対象に実施され、前日までの電力需要データを受け取り、翌日の電力需要を1時間単位で予測し、その精度を競い合った。

今回は、国内外から約100件のエントリーがあったというこのコンテストを勝ち抜いた、東芝の需要予測システムにスポットをあてよう。

新電力、再生可能エネルギーの台頭で需要予測のニーズが拡大

電力需要予測とは、電気事業者が日々の供給計画や取引計画を立てるために行われるもの。電力には「同時同量」という原則があり、需要量と供給量のバランスを常に一致させなければならない。電力はストックができず、過度な発電所の運転は事業者の損失につながるため、需要に応じた無駄のない供給が求められているのだ。2017年、東京電力が「第1回電力需要予測コンテスト」を開催した背景には、2016年の電力自由化に伴い、新電力と呼ばれる小規模事業者の増加や、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーの大量導入が進んだことで、効率的な供給計画の策定が難しくなり、高精度な需要予測技術のニーズが急激に高まっている事情があると考えられる。

従来は過去の実績値の蓄積や気象条件、イベント情報などをもとに、人力で需要量の予測作業が行われてきたが、今回の技術では、東芝がかねてより研究開発を進めていた気象予測技術、そして大きな強みであるAI技術を駆使しているのがポイント。東芝 研究開発センターの進(しん)博正氏、高田正彬氏、志賀慶明氏は次のように語る。

左から株式会社東芝 研究開発センター 進博正氏、高田正彬氏、志賀慶明氏

左から株式会社東芝 研究開発センター 進博正氏、高田正彬氏、志賀慶明氏

「需要予測の精度が低いと、余裕を持たせた供給計画を立てなければならず、その分、発電所の待機運転など無駄が生じてしまいます。そうした課題を解決するために、これまでもAIを導入する試みは存在しましたが、オペレーションや業務フローの問題から完全に自動化するには至らず、どうしても予測作業に人手が必要でした。しかし、小規模事業者が増え、予測に十分な人手を割くのが難しい現場が増えてきたことから、AI活用による高精度な自動予測の実現が急務とされてきたのです」(進氏)

では、長らく実用レベルに達しなかったAIによる電力需要予測技術は、今回どのようなアップデートを遂げたのか?

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