loading
TOP > 「東京都トップレベル事業所」に選出 東芝・府中事業所の5つの実験的取り組みとは!?

「東京都トップレベル事業所」に選出 東芝・府中事業所の5つの実験的取り組みとは!?


「東京都トップレベル事業所」に選出  東芝・府中事業所の5つの実験的取り組みとは!?

この記事の要点は…

2017年度「東京都トップレベル事業所」に選出された東芝の府中事業所を見学!

「PoC(概念実証)」で生み出された数々の取り組みのうち、5つの秘密に迫る!

広大かつ歴史ある事業所の設備変革が生み出す未来とは?

地球温暖化対策の推進が特に優れた事業所として東京都が認定する「東京都トップレベル事業所」。2017年度では、たった10の事業所しか選ばれなかった狭き門である。

その10の事業所のうちの一つが、東芝が有する東芝の府中事業所だ(※)。その先進性は様々な自治体や団体が見学に訪れるほど。
※府中事業所は、東京都トップレベル事業所(優良特定地域温暖化対策事業所)のうち、区分Ⅱ(工場など)において認定された。区分Ⅱにおいて認定された事業所は、府中事業所を含め2事業所のみ。なお正式な被認定者は「東芝インフラシステムズ(株) 府中事業所」。

府中事業所の竣工は1940年。敷地面積は、東京ドーム14個分の65.5万㎡である。このような大規模かつ歴史ある事業所がトップレベル事業所に認定されるのは非常に難しい。というのは、認定には一定数以上の新しい高効率設備の導入から最適な運用管理まで求められるからだ。古い事業所では、必然的に古い機器が多く、設備の数が膨大になるため、管理が難しい。

今回、事業所の設備管理の立場から受賞に関わった3人に、アイデアなどの実証を目的とした、試作開発の前段階における検証である「Proof of Concept=PoC」をキーワードに行っている、様々な実験的取り組みを特別にガイドしてもらおう。

取り組みその1.地域から愛されるヤギ・ひつじ

はじめに案内されたのは、事業所内にある緑地だ。緑地面積が約10万㎡となる事業所では、緑地管理での除草機によるCO2排出や多大なリソース投入が大きな問題となっている。そこで2014年からヤギを、翌年からひつじも事業所内で飼育し、雑草を食べさせて除草を行っている。年間で削減できるCO2は613.3kgにもおよぶ。

好奇心旺盛なヤギたちは、見慣れない旗に興味津々。左から、東芝インフラシステムズ株式会社 府中事業所 村田禎(ただし)氏、同・グループ長 松元康一郎氏、同・鎌田英昭氏。

好奇心旺盛なヤギたちは、見慣れない旗に興味津々。
左から、東芝インフラシステムズ株式会社 府中事業所 村田禎(ただし)氏、
同・グループ長 松元康一郎氏、同・鎌田英昭氏。

夏場のみ専門業者から借りていたが、4年目となる2018年は、府中市内にある東京農工大学から子ヤギを預かり、冬も継続して作業にあたってもらっている

「農工大では教育を目的として小中学校にヤギを貸し出していますが、夏休みなどの長期休暇は管理が難しいため、放牧する緑地が完備されている府中事業所で引き受けています。今年は2頭を冬に預かることとなりました」(鎌田氏)

ヤギ・ひつじを通じて近隣の大学や小中学校などとの地域交流も活発になっている。

「今年の1月、東京では積雪23 cmを記録するほどの大雪の日もあり、ヤギやひつじたちがどうなるか心配だったのですが、事業所内の工場で使用するコンプレッサ(※)の排熱で子ヤギの体を温めることで冬を乗り越えました。」(鎌田氏)

※工場の製造過程では、機械を動かす動力として、コンプレッサという機器によって空気を圧縮・供給する。

取り組みその2.電力使用量管理システム「デマンドEYE」

ヤギたちと別れ、普段彼らが執務する建屋に入ると、村田氏はパソコンの画面を開いた。

これは、府中事業所の電力使用量を把握するシステム『デマンドEYE』です」(村田氏)


「デマンドEYE」は、府中事業所にある建屋を電力使用量ごとに信号機の色で示し(左図)、加えて、事業所全体ならびに各建屋における時間ごとの使用量をグラフで見える化(右図)

※クリックで画像拡大(別タブで開きます)
「デマンドEYE」は、府中事業所にある建屋を電力使用量ごとに信号機の色で示し(左図)、加えて、建屋のフロア、時間ごとの使用量をグラフで見える化(右図)

2011年の東日本大震災では、企業に対して15%の電力のピークカットが求められた。スマートメーターが普及していない当時、自作したのが「デマンドEYE」だった。通常のスマートメーターであれば30分程度の間隔で電力量を把握するのに対し、この「デマンドEYE」は1分単位で使用量を測定できる点が大きな特長だ

また、「デマンドEYE」は事業所全体のみならず、建屋ごとに電力量も把握できるため、それぞれの業務に見合った電力のピークカットが可能となった

「当時、ピークカットの要請から実施まで短期間で製作し、効果を検証して、改善につなげましたこれはその後の取り組みのヒントとなります。短期間で見える化・情報共有することへの成功体験となりました」(松元氏)

議論ばかりで実際の運用フェーズにまでたどり着かないという職場も多いだろう。だが、ここでは事業所をモデルとして実験的な取り組みと検証が行われている。これが現在の改善につながっているのである。

> 次ページ 3.たった数千円のIoT設備!?

  • ↓ スクロールで続きを読む ↓