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地上に太陽を作り出す!? 夢のエネルギー・核融合の最前線


地上に太陽を作り出す!? 夢のエネルギー・核融合の最前線

この記事の要点は…

エネルギー問題・環境問題を解決する夢の核融合発電とは

世界各極が参加する巨大プロジェクト「ITER(イーター)」の一端を担う日本

近未来の実用化を目指し、技術者たちの志は連鎖する

人工の太陽を地上に作る――壮大なプロジェクトが進んでいる。それは、私たちが抱えるエネルギー問題、環境問題のソリューションとして期待される核融合発電だ。

国際協力によるITER(国際熱核融合実験炉)やJT-60SA(Super Advanced)などの実験炉の建設が進んでおり、日本をはじめ世界各極が連携をとって進める巨大プロジェクトとして着実に歩を進めつつある。

火力発電のようにCO₂を排出することがなく、原子力発電よりも安全な大規模発電ができる、「夢のエネルギー」核融合発電の最先端に迫った。

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部 先進プラズマ実験グループ 若月琢馬氏
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 超伝導磁石開発グループ 梶谷秀樹氏
東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子力先端システム設計部 石井祐介氏

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部 先進プラズマ実験グループ 若月琢馬氏
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 超伝導磁石開発グループ 梶谷秀樹氏
東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子力先端システム設計部 石井祐介氏

燃料は無尽蔵にあり、原発よりも安全――核融合発電のしくみとは

核融合発電とは、太陽の内部で起きている「核融合反応」を地上で再現するものだ。まずは、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下QST)で核融合発電を研究する若月琢馬氏にかみ砕いて解説していただこう。

若月氏

「万物を構成する原子の中には原子核と電子があります。その原子核を高速でぶつけ合うことで、また新たな原子核が生まれます。これが核融合反応というものです。耳慣れない方も多いかもしれませんが、みなさんもこの核融合反応のエネルギーを享受しています。それは、さんさんと降り注ぐ陽の光のもと――太陽です。太陽の中では水素の原子核による核融合反応が起きていて、その熱、光が地球上の私たちに届けられています。

太陽からも分かるように、核融合反応では膨大な熱エネルギーが発生します。その熱エネルギーを活用して行うのが核融合発電なのです。燃料に用いられるのは水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)。燃料1gで石油8トンを燃やした時と同等のエネルギーを生みだすことができます。発電の方式にも様々ありますが、少量の燃料でこれほどのエネルギーを生み出せるのは原子力発電、核融合発電をおいて他にありません」(若月氏)

核融合反応

原子力発電は福島第一原子力発電所の事故以来、安全性が懸念されている。しかし、核融合発電は原子力発電に比べて極めて安全性が高いという。

「原子力発電は核分裂反応で発生する熱を利用して発電を行うものです。原子炉の中では核分裂反応が連鎖的に起こるため、制御棒などを用いて、暴走しないよう制御しながら運転をしていく必要があります。原子炉内には数年分の燃料が入っており、それを制御しながら少しずつ発電を行っていきます。

一方核融合発電の場合は、炉の中にある燃料は核融合反応を持続させるのに必要な量だけで、供給を止めればすぐに反応は止まってしまいます。また、たとえ大量の燃料が炉内に導入されたとしても、燃料自体がプラズマ(※)を急激に冷却することで自発的に反応が止まるため、核分裂のような連鎖的な反応は起こりません。核融合発電は、原理的に暴走が起こらないしくみになっているのです」(若月氏)

(※)プラズマ:固体・液体・気体に続く物質の第4の状態。一般的に数千度以上では、どんな物質も原子核に捕捉されていた電子が自由に運動できるようになりプラズマ状態となる。核融合炉では一億度以上の高温プラズマを生成し、それを固体等の容器に触れることなく閉じ込める(保持する)必要がある。
参照:量子科学技術研究開発機構HP(https://www.qst.go.jp/site/jt60/5108.html)

しかも、原子力発電で発生する高レベル放射性廃棄物にあたるものが核融合発電では発生しない。また、発電時にはCO₂を排出することがなく、クリーンなのも特徴だ。

燃料の重水素は水を電気分解することで得ることができ、実質的に無尽蔵。もう一つの燃料である三重水素(トリチウム)は自然環境から採取されているが、核融合炉の中で人工的に作ることが可能とされており、サプライチェーンの面からも懸念はない。

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