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巨大構造物をミリ単位の精度で!? 「核融合発電」を支える技術


巨大構造物をミリ単位の精度で!? 「核融合発電」を支える技術

この記事の要点は…

巨大構造物をミリ単位の誤差で製造するITERプロジェクト

1970年代から核融合機器を設計してきた東芝の開発基盤が強みを発揮

2025年運転開始、2035年から核融合反応開始―遠大なプロジェクトに臨むメンバーの気概

私たちの暮らしに欠かせない電気。その電力を得るために、火力発電、水力発電、原子力発電、再生可能エネルギーなど様々なアプローチでインフラが整えられてきた。そして、発電に伴って発生してしまう火力発電のCO2や原子力発電の高レベル放射性廃棄物などを出さずに大規模発電ができると期待されているのが、夢のエネルギー、「核融合発電」である。

そしていま、世界の英知を結集させて、核融合発電の実験施設の建設が進められている。それが「ITER(イーター、国際熱核融合実験炉)」だ。

日本をはじめ世界7極が連携するITERプロジェクト、そして核融合発電の仕組みは「地上に太陽を作り出す!? 夢のエネルギー・核融合の最前線」にて紹介したが、本編では日本が調達するITER機器設計・開発の最前線をクローズアップ。巨大にして遠大なプロジェクトに携わる若きメンバーの奮闘、そして熱い思いに迫る。

東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子力先端システム設計部 先端システム設計第二担当 坂口香織氏、京浜事業所 設計第三部 原子力機器開発設計担当 吉澤裕一氏、
新技術営業部 新技術応用システム担当 鈴木由実氏

(左から)
東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子力先端システム設計部 先端システム設計第二担当 坂口香織氏、
京浜事業所 設計第三部 原子力機器開発設計担当 吉澤裕一氏、
新技術営業部 新技術応用システム担当 鈴木由実氏

「地上の太陽」を実現する巨大構造物、その設計を巡る奮闘

核融合発電は1億度以上に加熱したプラズマを利用して発電する。太陽の内部で起きている核融合反応を再現することから、「地上の太陽」と称されるほど。それだけに、核融合炉は人類史上で最も複雑な構造体として、世界各国が最先端の工学技術を駆使して開発、設計を進めている。

日本が担当するのは、超高温のプラズマを閉じ込める磁場を発生させる超伝導コイルだ。東芝エネルギーシステムズは国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(以下QST)より、トロイダル磁場コイル(TFコイル)を受注した。ITERで使用する全18体のうち、TFコイル4体と欧州で製作するコイル用の構造物6体の製作を担当。事前の製作検証を経て2014年から試作をスタートさせている。

日本が調達する機器

ITERとTFコイル

TFコイルは高さ16.5m、幅9m、総重量300tという構造物でD字型の形状が特徴だ。5階建てビルの高さに相当するサイズながら、超高精度な製造技術が求められる。京浜事業所でTFコイルの製造に携わる吉澤氏、坂口氏にとって、この課題は難易度の高いものだった。

「D字型をした巻線部はコイルを巻いて作り上げていきますが、その長さの誤差は±0.02%。つまり、10mで±2mmという精度が求められます。縦16.5m、横9mというサイズの機器で、ここまで精度を突き詰める製品は京浜事業所内にはありません。試作を経るとはいえ、やり直しがきかない個所の製造設計、組立です。いかにして精度を担保するかがポイントになりました」(吉澤氏)

「精度だけではなく、国際プロジェクトならではのスケジュールもあります。日本はじめ各国が責任を持って機器を調達する中、限られた時間でどう進めていくのか、長いプロジェクトであってもスピード感を意識しながら進めていきました」(坂口氏)

営業部門のフロントでITERプロジェクトの入札、契約から検収に携わる鈴木氏も、チームの一体感がプロジェクトを後押しする、と語る。

「現場をスムーズにするためには、お客様であるQSTの仕様、意向を的確に伝えていかなければなりません。営業としては契約が一つのゴールですが、プロジェクトは長く続いていくものです。情報や仕様の共有に注力し、目の前の課題一つひとつに取り組んでいきました」

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