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使用済みプラスチックからエネルギー!? 「水素ホテル」の前例なき挑戦


使用済みプラスチックからエネルギー!? 「水素ホテル」の前例なき挑戦

この記事の要点は…

使用済みプラスチックをエネルギーとしてリサイクルする「水素ホテル」が川崎市に誕生

川崎市内の昭和電工と東芝による企業間連携で地産地消の水素サプライチェーンをつなぐ

水素社会のモデルケースを世界に広げる挑戦は続く

プラスチックがもたらす海洋汚染は、今や全世界共通の課題だ。2019年度のG20でも主要な議題にのぼり、私たちの身の回りでもプラスチックストローの廃止やレジ袋の有料化など具体的な対策が始まっている。

また、2018年5月には「プラスチック資源循環戦略」が策定され、プラスチックを廃棄物にせず、有効活用していく具体的なロードマップが敷かれるなど、官民一体で対策を急ぐ。

その一つの答えは意外にも都心から目と鼻の先にあった。神奈川県川崎市が進める先進的な取り組み「川崎水素戦略」だ。今でこそ毎年人口が増加し続ける人気エリアだが、かつては公害に悩まされた苦い過去を持つ。だからこそ、川崎市には公害を克服する過程で蓄積された優れた環境技術を持つ企業が数多く集まっており、川崎市はそれらの企業と共に水素エネルギーの積極的な導入と利活用を進めている。

その取り組みの一つとして、使用済みプラスチックから水素を地産地消する、世界でも類を見ない「水素ホテル」が2018年6月に誕生した―――プロジェクトをけん引してきた昭和電工株式会社と、プロジェクトを陰で支えた東芝エネルギーシステムズ株式会社の担当者たちの話を通してその舞台裏に迫ってみよう。

世界に類を見ない「水素ホテル」

川崎市に世界初となる「水素ホテル」川崎キングスカイフロント東急REIホテルが2018年6月1日に誕生したことは当時、大きな話題となった。使用済みプラスチックから水素を作り出し、ホテルの約30%のエネルギーを供給する画期的な取り組みだ。さらに、ホテル開業から1年間、歯ブラシやくしなどホテルで使用したアメニティ類も水素原料としてリサイクルする試験を行っており、利用者からも「自然とエコ意識が高くなる」と好評を博している。啓発にも一役買っているというわけだ。

使用済みプラスチックのリサイクルイメージ

使用済みプラスチックのリサイクルイメージ

水素サプライチェーンのピースをつなげ

この水素ホテルを実現したのは、昭和電工と東芝が持つ技術だった。
「このプロジェクトは、使用済みプラスチックとホテルをつなぐサプライチェーンを一つずつつないでいく作業です。川崎市内における水素サプライチェーンをどうつないでいくかが重要でした」昭和電工株式会社 川崎事業所 企画グループマネージャーの高山翔太郎氏はこう振り返る。

昭和電工株式会社 川崎事業所 企画グループマネージャー 高山翔太郎氏

昭和電工株式会社 川崎事業所 企画グループマネージャー 高山翔太郎氏

昭和電工は、1日あたり195tの使用済みプラスチックをリサイクルし、アンモニアの原料として利用する画期的な製造プロセス「川崎プラスチックリサイクル(KPR)」を導入・稼働している。水素ホテルで使っているのは、この過程で分解・抽出された水素であり、水素社会サプライチェーンを実現するには水素を電力と熱に変える技術が必要だった。

一方、川崎市に本社を置く東芝エネルギーシステムズ株式会社では、1960年代から培ってきた燃料電池技術を応用し、CO2を排出することなく水素を電力と熱に変換する純水素燃料電池システム「H2Rex™」を製品化。すでに青果市場やコンビニエンスストアなど100カ所以上での導入事例があった。

この二つの技術がマッチングするのにそう時間はかからなかったが、水素サプライチェーン構築への道のりは容易ではなかった。

純水素燃料電池システム「H2Rex™」にとって、「水素ホテル」のような大規模なホテルへの導入は初めての事例。試運転の際に、ホテルの電力負荷が想定以上に急激な変動をしていることが分かり、独自の制御を加える必要があった。

「他の事例から得られた知見を取り入れながら試行錯誤を繰り返し、システムが無事に完成したのはホテルオープンの数日前のことでした。オープンに間に合うかどうか焦りはありましたが、昭和電工さんと当社の営業・技術部隊が一丸となって、ホテルへ安定的に電力を供給する燃料電池システムを作り上げることができました」(東芝 阿部氏)

東芝エネルギーシステムズ株式会社 水素エネルギー事業統括部 システム設計部 主務 阿部孝彦氏

東芝エネルギーシステムズ株式会社 水素エネルギー事業統括部
システム設計部 主務 阿部孝彦氏

しかし、導入に向けてさらなる課題が待ち受けていた。

> 水素パイプラインをつなぐ難しさ

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